第21話 俺に家族や友人は不要

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俺は数日ぶりに不機嫌だった、それは池月が苦し紛れに言った一言に、ほんの僅か自分の心が揺らいだ事に対してだった


『あっ・・そ、そうだ!貴方の幼馴染も、お返しします!ど、どうか!このとおり!』


俺自身、元幼馴染に対し未練も好意も既に持ち合わせて無いが、小学生の頃の一緒に遊んだ楽しい思い出が一瞬頭を過り、躊躇しようとする自分の性根の甘さ苛立ちと吐き気がしてきた


時計を見ると既に、3時間目の授業が始まる所だった


俺は吐き気と、眩暈で下駄箱からグランドの脇に出る小道で壁に寄りかかっていた、額からは嫌な汗が溢れる


【ピぃ~~後2周~】顔を上げて見ると、グラウンドを1年の女子生徒がマラソンしていた、中に元義妹も居るかもしれない・・


男子の方は、いつも通り学校の外回りのマラソンだろう


俺は、校舎の壁に手を付いて体を支えながら、マラソンしている生徒に見つからないように茂みの脇の道をトボトボと歩いていたら急に誰かに腕を掴まれる


「せッ先輩!やっと見つけました!!」


そう息を切らして、後ろから俺の手を掴む女子生徒に俺は見覚えがない


「はぁ?誰?俺は君なんか知らないけど・・つか俺帰る所だし離してくんない?」


俺からの冷たい目で睨まれても、嬉しそうな笑顔の女子生徒は聞いても無いのに自己紹介を始めた


「私、1年の不動 澄恵(ふどう すみえ)です!先日は危ない所を先輩に助けてもらいました!」


そう元気に自己紹介をすると、深々頭を下げる不動と名乗る女子生徒・・・俺はクラクラする頭で純香に以前、聞いてた娘の名前を思い出していた


(しまった・・・油断してたか・・まさか同じ高校に純香さんの娘さんも居たとは・・)


「知らないな・・俺は人助けなんかした覚えもないし、そもそも君とも初対面だ・・勘違いの様だしもう良いか?」


そう言うと俺は腕を振り払い、体調が悪いながらも踏ん張り足早に歩いて校門から出る


(くそっ!どうした俺の体・・全て捨てて復讐を誓ったあの裏山で、神か悪魔かにものすごい力を授かって目覚めたんじゃないかったのか!!)


どうやら冷静な判断も出来ない様だ、中二病のようなありもしない妄想にうなされている・・


校門を出て直ぐの横の壁に倒れ込むと、急に俺の脇に違和感を感じ何かが肩を持ち上げる、そして俺の横から女性の声が聞こえる・・


「い・・・よ・・・ すこし・・・・せんぱ・・・け・・・」












気が付くと、白い天井に液体の入ったビニールの袋・・・俺の左腕には針が刺さっていて動かすと針が食い込み若干痛い



「ここは・・・・病室か・・・・」



独特の匂いに、学校の保健室では無いと瞬時に理解する、ふと点滴と反対を見るとそこには純香さんが座って複雑な表情で笑っていた


「ああ、剣一起きたか・・結構目を覚まさなかったぞ・・気分はどうだ?」


純香さんはそっと俺の額にふれて、体温を確認するその手は、ひんやりしていたが何処か安心できる感覚だった


母さんに頭を撫でてもらい、俺にプレゼントの手帳を渡してくれた時の事を思い出すが・・・直ぐに頭から消し去る


「純香さん、俺はどうなったんですか?・・」


「そうだな・・正直原因は分からないけど医者が言うには過度のストレス疲労らしい・・・ああっそれと、安心しろここは池月病院ではないからな、私が手配した都内の大学病院だ」


まだ、俺は本調子ではないらしい、本来ならここが病室だと気付いた時に池月の病院なのか確認するべきだった、何時もの自分なら直ぐに気付く事が、気づかない今の鈍ってる自分に嫌気がする


「剣一、あんた娘の澄恵に会ったらしいな・・それに先日車に突っ込まれた時に助けたそうじゃないか、有難うな」


俺は首を振る、


「純香さん、娘さんには俺に二度と関わらないように伝えて下さい、そして助けたのも別の人だと言っておいて下さい」


「・・・・理由を・・・聞いてもいいか?」






俺は純香さんから目線を外すと最初に見えた天井を見つめ









「俺に、家族や友人は不要です」









「・・・・・・」









俺から理由を聞いた純香さんが、今どんな表情をしているのか俺には確認できそうもない・・そう俺に家族も友人も不要・・俺の人生は復讐へ費やすと決めたのだから、あの事実を知った中学の時に

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