第48話
〘うわあぁ! 驚いた〜。え、何で怒ってるの? 僕なにか怒らせるような事しちゃった…? ごめんね、ちゃんと落ち着いて話し合おう?〙
(何が『僕なにか怒らせるような事しちゃった…?』よ、そもそもからして論点がズレてんのっ!)
〘うん、うん。ちゃんと聞くからね、あんまり怒らないで、ね、落ち着いて。自分で言うのもなんだけど、僕って結構話の分かる神様だよ?〙
(だから、何でアタシが死んだ前提で話してんの?! あの世? 神界? 断固として拒否するわ! 神様からのサービス? だったら今すぐアタシを生き返らせてよッ!)
〘あ〜〜、あーー、ああ…うん。そうだよね、死んだばっかりじゃまだ受け入れられないよね。これは僕の配慮不足だったよ、ごめんね。でも完全に死んじゃった人を生き返らせるのは随分前に神界全体で禁止されてて無理なんだ。本当にごめんよ〙
(はァ? そんな都合知らないわよ。アタシにはロナが待ってるの、絶対に帰らないと駄目なの! ところで質問なんだけど、
〘わー切り替え早いね〜…。うん、でもとても良い質問だね! 答えは、貰えます〙
(え、本当に貰えるの? ダメ元で言ったんだけど)
〘実はヴァルハラ入りする魂はその地域を担当する神界の神々でオークションやっててね。その落札額の一部がエインフェリア自身にも還元されて支払われるんだ。もちろん期待されてるほど高額になる。支度金みたいなものだと思っていいよ〙
(すかんぴんで神界に放り出されたりはしないってことね。武具も買わないといけないみたいだし)
〘これには更に、担当する神様と正式な契約を結ぶと契約金も支払われます。契約内容は色々だけどね『向こう三十年は転生しません』とか、神様との間で条件を提示してそれに見合った契約金を払って貰う制度だよ〙
(まさか死んでも傭兵をやる事になるなんて…。恐ろしいわね、これが業ってやつなのかしら)
〘あはは!〙
(笑う所じゃないから。こっちは死んでんだよ、全然笑えないだろ)
〘ごめんなさい…〙
(ま、いいわ。えっと、何ていう神サマだっけ)
〘エルドルです〙
(じゃあエルドル様、アタシの支度金っていくらなの? 今すぐ貰っていい?)
〘うん、ピッタリ『10000R《ラド》』になるね。因みにこれってかなりの高額なんだよ?〙
(ふーん、貰っとく。それはそうと、話は変わるんだけど)
〘なになに、僕に答えられる事なら答えるよ?〙
(アタシは絵本とかでヴァルハラには戦乙女が連れて行くって聞いてたんだけど。やっぱりそんなのはお伽噺で、普通は神サマが直接来るものなの?)
〘あ〜うん、その話は本当だよ。でも貴女は特別だね、僕が注目してたから直接来ちゃったっ!〙
(え、ストーカー…?)
〘違うよ! ただその、ラグナロクリーグが近いから手が足りなくてね。本当は神々が地上に行く時はお供を連れて行かないといけないんだけど、皆忙しくてご覧の有り様さ〙
(エルドルは部下が少ない下っ端って事ね)
〘言い方ぁ! 一応これでもそこそこの中級神なんだよ? もっと敬っても良いんだよ?〙
(あと、どうしてアタシはここで喋れなかったの。あと『念話』って
〘あー…ははは。えっと念話代は僕の私用回線から割り当てたから大丈夫だよ? 一方的に喋っちゃってたからお詫びだと思ってね。本業の
(喋れなかった理由は?)
〘それは〜、ごめん! やっぱりフライングし過ぎてたみたいで、正確には貴女は未だ死んでないんだ。今は時間が限りなく遅く動いてるけど、これから数秒以内に死んじゃうのは『運命』だからね〙
(『運命』って本気? アタシは今日死ぬって先に決まってたって事…?)
〘う、うん。ずっと先までの未来までは確定してないんだけど、地上の出来事はある程度の近い未来までの運命は決まってるね〙
(それって、どれくらい確実なの?)
〘ほとんど確実と言っていいね。少なくとも半月以内なら的中率はほぼ100%みたい〙
(それじゃあ…。アタシの死因は半月前には確定してたの…? 半月前って、戦争に参加するって決めた頃よね…)
〘そういうことになる、かな…〙
(嘘でしょ! あれだけ魔物を殺しまくって、あれだけ戦争でも大活躍して、あれだけ名声を得て、最後には北大陸最強の
〘うん凄いよね! あの“狂奔”ヨルドは北大陸担当の神界でもここ400年のオークションで最高額だったみたいだよ! それを倒したんだから大金星さ!〙
(そこまでやったアタシの死因が、チクったの逆恨みされてザコ兵士から脇腹ブスって何?! あり得なくない?! 超恥ずかしいんだけどッ!)
〘あはは!〙
(笑えないって話してんだけど)
〘ごめんなさい…〙
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます