【完結】『Unexplained Death』

湊 マチ

第1話 プロローグ

NDSラボに新しい風が吹き込んだ。今日から、宮本美咲がチームに加わる。彼女は大学を優秀な成績で卒業し、若くして病理学の世界に飛び込んだ意欲的な新人だ。初対面の挨拶の時から、その真剣な眼差しに私は強い意志を感じた。


「宮本美咲です。本日からお世話になります。どうぞよろしくお願いします。」緊張の面持ちで頭を下げる彼女の姿に、かつての自分を重ねてしまった。


「美咲さん、今日は初日だから、まずはリラックスして。このラボの雰囲気に慣れてくれればいいわ。」私は穏やかな声で彼女に声をかけた。緊張をほぐすために、少しでも和やかな雰囲気を作ろうと努めた。


NDSラボは、東京都内で発生する原因不明の死亡案件を解明するための専門チームだ。私たちの役割は、死因不明の遺体を解剖し、その背後にある真実を見つけ出すこと。ここには、鋭い洞察力を持つ坂井優斗、デジタル解析のスペシャリストである高橋夏美、そして私、森田玲奈がいる。それに加えて、今日から美咲もこのチームの一員だ。


「さあ、美咲さん、まずはラボの紹介をしましょう。」私は彼女を案内しながら、チームメンバーのデスクを一つずつ紹介した。坂井優斗はデスクに座り、事件の資料に目を通している最中だった。


「優斗、こちらが今日からチームに加わる美咲さんよ。」私が紹介すると、優斗は顔を上げて微笑んだ。


「初めまして、坂井優斗です。よろしくお願いします。」優斗は手を差し出し、美咲も緊張した面持ちでそれに応えた。


次に、高橋夏美のデスクに向かった。彼女はパソコンの画面に集中し、解析作業に没頭していた。


「夏美、こちらが新メンバーの美咲さんよ。」私が声をかけると、夏美は振り返り、笑顔で美咲を迎えた。


「初めまして、高橋夏美です。デジタル解析担当です。分からないことがあったら何でも聞いてね。」夏美の明るい笑顔に、美咲も少し緊張がほぐれたようだった。


ラボの雰囲気は、プロフェッショナルでありながらも、どこか家庭的な温かさがある。チーム全員が一丸となって、死因の解明に取り組んでいる。その中で、新しい仲間が加わることは大きな力となる。


「美咲さん、まずは私たちのこれまでの解剖報告書に目を通してみて。どんな手法で死因を解明しているのか、感覚を掴んでくれればいいわ。」私は美咲に資料を手渡し、デスクに案内した。


「ありがとうございます。頑張ります。」美咲は真剣な表情で資料に目を通し始めた。その姿に、彼女の真摯な姿勢と努力を感じ、私も改めて気を引き締めた。


NDSラボは、数々の死因不明案件を解決してきた。その経験と知識を活かして、これからも困難に立ち向かっていく。そして、美咲もまたその一員として共に戦う仲間だ。


そして、今日。新たなケースが持ち込まれた。東京の繁華街で一人の若者、鈴木大輝が急死したという通報が入ったのだ。彼の家族が心配して警察に連絡し、事件は私たちの元に届いた。


「皆、緊急の案件だ。鈴木大輝という若者が急死した。すぐに解剖を開始するわ。」私はチーム全員に呼びかけ、早速行動を開始した。


「了解しました。」優斗が即座に反応し、解剖用具を手に取った。


「解析準備します。」夏美もパソコンに向かって手を動かし始めた。


「美咲さん、これが最初の大きな仕事になるわ。全力で取り組みましょう。」私は美咲に言い、彼女も真剣な表情で頷いた。


こうして、NDSラボの新たな挑戦が始まった。急死の背後に隠された謎を解き明かすために、私たちは全力で動き出した。

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