第9話 影のエネルギー源を断つ

ジャン=ルイと乗組員たちは、新たな目的を胸に船内を進み始めた。影の存在が力を得ているエネルギー源を断つため、彼らは再びエクリプスの記録を詳しく調査し、その手がかりを探していた。


「エマニュエル、マリー、クロード、エネルギー源がありそうな場所を洗い出してくれ。私たちはそこに向かう準備をする。」ジャン=ルイは力強く指示を出した。


マリーはデータパッドを操作し、エクリプスの記録からエネルギー反応が最も強く検出された場所を特定し始めた。「ここにあります、船長。このエリアが最も異常なエネルギー反応を示しています。エンジンルームの奥にある古い機械室です。」


ジャン=ルイはその情報を聞き、決意を新たにした。「全員、エンジンルームに向かうぞ。エネルギー源を断つための準備を整えろ。」


乗組員たちは緊張感を漂わせながらエンジンルームに向かって進んだ。道中、影の存在が彼らを取り囲むようにして不気味な低音を響かせ、冷たい風が吹き続けていた。腐敗した金属の臭いがさらに強くなり、乗組員たちは呼吸が辛くなっていたが、ジャン=ルイの決意に導かれて前進し続けた。


エンジンルームに到着すると、彼らは奥にある古い機械室に入った。そこには、エクリプスの乗組員たちが使用していた古い装置が並んでいた。装置は長い間放置されていたため、錆びつき、異様な雰囲気を醸し出していた。


「ここがエネルギー源の場所だ。装置を調査し、エネルギー源を断つ方法を見つけ出すんだ。」ジャン=ルイは慎重に指示を出した。


エマニュエルは古い装置を調査し、エネルギー源の位置を特定しようとした。クロードは船内の通信システムを通じて、装置の制御を試みた。マリーはデータパッドを操作し、エクリプスの記録からエネルギー源の詳細を確認していた。


その時、影の存在が再び現れ、機械室内で不気味な低音を響かせ始めた。冷たい手が乗組員たちに伸び、まるで彼らを取り囲むようにして動き回っていた。ジャン=ルイは決して怯むことなく、乗組員たちに向かって叫んだ。


「全員、作業を続けろ!恐怖に負けるな!」


エマニュエルは装置の内部を詳しく調査し、エネルギー源を見つけ出した。「ここだ、船長。この装置がエネルギー源だ。これを無力化すれば影の力を断つことができる。」


ジャン=ルイはその情報を聞き、決意を新たにした。「エネルギー源を無力化する方法を見つけろ。全員で力を合わせて、この影を排除するんだ。」


マリーはデータパッドからエネルギー源の制御手順を読み上げた。「エネルギー源を無力化するためには、特定の手順を踏んで装置をシャットダウンしなければなりません。装置の制御パネルを操作し、エネルギーの供給を断つんです。」


ジャン=ルイはエマニュエルとクロードに指示を出した。「エマニュエル、制御パネルの操作を担当してくれ。クロード、エネルギーの供給を断つ準備をするんだ。」


エマニュエルは慎重に制御パネルを操作し、エネルギー源を無力化するための手順を進めた。クロードはエネルギー供給のスイッチに手をかけ、準備を整えた。


その時、影の存在が激しく揺れ動き、冷たい風がさらに強く吹き始めた。不気味な低音が機械室内に響き渡り、乗組員たちは一瞬恐怖に包まれた。しかし、ジャン=ルイの声がその恐怖を打ち破った。


「全員、持ち場を守れ!これが最後の一撃だ!」


エマニュエルが制御パネルの最後のスイッチを押し、クロードがエネルギー供給を断つと、機械室内の装置が静かに停止した。その瞬間、影の存在が苦しみの声を上げ、次第にその形を失っていった。


「止めろ…お前たちは…」


影は激しく揺れ動き、最終的には完全に消え去った。照明が再び安定し、冷たい風も止んだ。乗組員たちは息を呑みながら、その変化を見守っていた。


影が完全に消え去った後、機械室には静寂が戻った。ジャン=ルイは安堵の息をつきながら、乗組員たちに向かって言った。


「成功した…影は消え去った…」


乗組員たちは歓喜の声を上げ、互いに抱き合いながら喜びを分かち合った。しかし、その安堵も束の間、ジャン=ルイは再び冷静さを取り戻し、新たな決意を胸に秘めた。


「まだ終わっていない。我々はこの船を完全に安全にするために、さらに調査を続けなければならない。」


乗組員たちはその言葉に従い、新たな調査と安全対策の準備を始めた。影の存在は消え去ったが、未知の恐怖とさらなる試練が彼らを待ち受けていることを彼らは理解していた。


ジャン=ルイはエクリプスの記録を見つめながら、心の中で誓った。「我々は決して諦めない。この船と乗組員たちを守り抜くために、全てを尽くすんだ。」


彼らの戦いはまだ終わっていない。未知の恐怖が待ち受ける中で、ジャン=ルイと乗組員たちは新たな試練に立ち向かうための準備を進めていた。影の正体を突き止め、そのエネルギー源を断つことで、彼らはついにこの恐怖を終わらせることができるのだろうか。

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