第2話 宙太(そらた)
宙太はわたしより一つ下の男子。今は、中学校三年生だ。わたしが岩場で溺れかけた「あの時」、大人たちを呼びに行ってくれた恩人でもある。
瀬戸内海の島育ちで、肌が真っ黒に日焼けしている。彼のお父さんもおじいちゃんも海の男だ。彼も漁師になるだろう。
「実里(みのり)ー、島に「メンタルクリニック」ちゅうよくわからんものが先週できたばい、気をつけいや」
放課後、道で会った時、眉をしかめて、宙太はそんなことを言った。
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