第3話

〈Side:雅弘〉


「この前は、本当にありがとうございました。

お礼にクッキー焼いてきました。

…良かったら今度、食事に行きませんか?」


「お役に立てて良かった。

…ごめん。俺、彼女いるんだ。」


少しばかりの会話の後に続く沈黙ー。

…本当にこういうのは苦手だ。


始業時間となり、ようやく顔をあげた後輩。


「知ってます。けどそれは″今は″ですよね。私、諦めませんから。」


迷いのない言葉と共に押し付けられた形で

その小さな紙袋を受け取ってしまった。


まいったな。

ただ困ってるのを見兼ねて助けただけだったのに。

遠ざかっていく後ろ姿にため息をついた。



〈Side:D〉


あれ、雅弘?

隣、あすみちゃん…じゃないな。

何だ…?


「おーい。そこのモテ男ー!」

「今日、飲みに付き合えー!」

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