夏のロマンはそこに!
旋転星 当
第1話 お、お姉さん!
穏やかな波の音が聞こえる。鼻で嗅げば塩の香りがする。俺は確か…何かをしていた。しかしさっきまで何をしていたのか思い出せない。仕方なく目を開けるとそこにはスッキリとした体形の巨乳のお姉さんが立っていた。
「よかった。目を覚ましたみたいね。」
目のやり場に困る胸、落ち着いた声で聴き心地が良い。胸あたりまである紫のウェーブロングのとても美人な女性は俺が目を覚ましたことに安堵すると、
「とりあえず水とか持ってくるからそこで待っててね。」
そう言ってお姉さんはこの場を去ってしまった。上をみればさっきお姉さんに夢中で見えなかったビーチパラソルが刺さっていた。きっとあのお姉さんが使っていたのだろう。
地面をみればブルーシートが敷いてありここでお姉さんがここを利用しているのは明らかだった。正面をみれば、グレートバリアリーフが嫉妬するほどの海が広がり
美しすぎる海、とても美人なお姉さん。これは夢か!?夢なのか!!??!?高鳴るテンション。しかしこれが夢と決まったわけじゃない。王道のほっぺつねりをやってみるとしっかりと痛みを感じた。こんなに嬉しい痛みは初めてだ。俺はマゾではない。しかしこれはチャンスだ。どんなことが起きてもいい、俺はあのお姉さんに告白したい。
しかし、この状況の中でどうやって俺に興味をひかせるかわからない。目が覚めたら海が広がっているという謎の状況というのも含めてとりあえず探索をしたい。お姉さんが落ち着いた声で俺にいい子にしててねと言われたのも事実。どうしようかなやんでいるうちに俺は打ち上げられた魚のように周りを見ながらのたうちまわっていた。
「大丈夫?目覚めたばかりなのにそんなに暴れてはだめよ?」
横を見るとお姉さんが戻っていた。しまった!かっこいいところを見せつけようとしていたのに逆に情けない動きをしている人になってしまった。
水を持ってきてくれたお礼を言い、俺は勢いよく水を飲みほした。プハッと無意識に発するとお姉さんは優しく微笑み
「よかった。さっきより元気になっているようね。」
と言った。天使か。
「動けるようになったし休憩所まで運びましょう。」
といい、お姉さんは俺を持ち抱えようとしている。こんな華奢な体で運べるのか?さすがに持ち上げられたら男としてのプライドが傷つく。
「いや!俺はめっちゃ元気になりました!これも全部お姉さんのおかげです!」
と俺の持つ元気を全部入れた渾身の言葉は海岸にとても響いた。お姉さんは目をパチッとさせた。さっきまで倒れていた男が大声を出すのはさぞ驚いてしまったのだろう。それでもお姉さんはすぐに
「よかった。あなたが元気になってくれて何よりだわ。」
と天使の笑顔で答えてくれた。話しているだけでこんなに心が幸せに満ち溢れていくのはいつぶりだろう。まるで推しと会話を楽しんであっという間に流れていく時のようだ。
「じゃあこのままもう少し遊んでいかない?」
お姉さんから言われた衝撃の言葉に俺は喉を鳴らした。何をして遊ぶんだ。さっき探索をしようとして結局できなかった為、この海にどんな遊びができるのか何も把握していなかった。
「あ、遊ぶって何を!?!??」
結果としてすごく動揺する変な奴になってしまった。馬鹿野郎俺!もっとしっかりしろ!
「せっかく海が目の前にあるんですもの。海で遊びましょう。」
そう言ってお姉さんは歩いて海の波に近づきそのまま海に入っていった。追いかけるように進むと、透明な水に光が反射して二人の脚が見える。お姉さんはこの海に何度かきているのか
「この海、美しいでしょ。私のお気に入りなの。」
といい水を掬いあげる。それだけでも絵になるとうっとりしていた。
みていると突然冷たい水がこちらにバシャッとかかった。お姉さんはニコニコと笑いこちらを誘っているといわんばかりに次の攻撃に取り掛かっている。
「なんの!」
こちらも乱暴に腕を使って広範囲射撃を狙ったが残念ながら外れてしまった。瞬間移動をしたかのように少しの距離を移動していた。この海に慣れているのかそのあともお姉さんは華麗な避け方で俺の攻撃をすべてかわした。一方俺はすべての攻撃を受け全身びしょ濡れになっていた。
負けたことの悔しさとお姉さんと一緒に遊べた幸せで心がいっぱいになっていた。目が覚めたばかりだというのに無理をした結果だろうか、体は疲れ切っていた。一旦休むか。
お姉さんに疲れて休憩したいことを伝えるとさっきのブルーシートとビーチパラソルのある拠点に案内された。パイナップルジュースを用意していくわねと海の家に凛とした姿でお姉さんは向かっていった。なんでこっちはこんなにも疲れているのに元気なのか、ますます気になってしまった。次に起きたら元気の秘訣を聞こうと頭で会話のシュミレーションをしながら寝ていた。
次に目を覚ましたら自室にいた。おかしいさっきまで俺は海でお姉さんとイチャイチャしていたはずだ。喪失感がすごいしなにより元気の秘訣とともに聞こうとしていた連絡先すらいえなかった。都合の良すぎる夢を見終わった空虚な自室は無常にも昼過ぎを示す時計が嘲笑っている。仕方なくベットから起きて冷蔵庫の中にあるパイナップルジュースを飲み干して海に行く予定をたてるためにスマホを開く。そこには紫髪の綺麗なお姉さんが海開きの宣伝を行っていた。
「生きのいい人間お待ちしています。」
夏のロマンはそこに! 旋転星 当 @sentenbosi777
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