夜に唄えば

水曜　あめ

　「あの～、すいませ～ん．．．あれ．．．」

「はいこんにちは～～。お名前は？」

「長谷川　五月（はせがわ　　さつき）です．．あの、ここって．．．？」

「はせがわぁーー。の、さつき、さんですね．．．えぇ．．．あったあった。あ、ここですか？見たまんまだと思いますけど」

「やっぱり．．．あの世、ですか？」

「んん～～、あなたからすればもうこの世、だと思いますけど。でもその認識でほとんど合ってますよ」

「そうですか．．．あの、ここでは何を？」

「ここでは事務的な手続きですね」

「あっ、天国とか地獄に割り振るやつですか」

「そうです、とは言い切れませんね。天国地獄に行けるのは本気で信じている人だけです」

「宗教観、的な」

「まあそんなところです。長谷川様の場合ですと．．．」

「急に事務的」

「ぇ、少々お待ちください」

「？はい」

　「大変お待たせいたしました。長谷川様の今後のご予定が決まりましたのでご確認ください」

「予定？」

「はい。ご確認いただけましたら、あちらの扉からご退出ください。その後は予定表に従っていただけますと幸いです。それでは」

「えっ、終わり？．．．もう行っちゃった。予定って．．．？」

渡された紙に目を通す。

「．．．．．．まじか」

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