嘘のようなホントの話

天川裕司

嘘のようなホントの話

タイトル:嘘のようなホントの話



ある日、俺はSNSの出会い系で

新しい出会いを求めてメールしていた。


すると1人の女が引っかかってきて、

俺にメールを返してくれた。

それからは次第にどんどん話が弾み、

いちど会わないかとなった。


こういうとき男は心が弾み、やや妄想的になり、

衝動であれやこれや無茶なことをしてしまうのかもしれない。

恋に盲目になる、の序章を歩んでいるようなものだろうか。


そして俺は何が何でもその子に会いたくなってしまい、

「どうせだったら早いうちに会いたいね♪ 1週間後にどう?あ、それとも3日後?いやもう明日にでも会ってみようか??」

もう下心丸出しw


でもその子は何を思ったか、

「どうせなら今から会わない?」

と言ってきた。


「え??今からって…」

俺は嬉しい気持ちが万々歳になり、

「もしできるんなら今からすぐに会おうよ!君さえよければ、僕は今でもすぐに会いたいよ!」

みたいなことをメールで言ってしまった。


とその時、パソコン横に置いていた俺の携帯が急に鳴った。


「742??なんだこの番号…」


見たこともない番号からかかってきたが、

俺は思わず取ってしまった。


「はいもしもし…」


電話の男「今すぐその場を離れるんだ。そこはお前が居て良い場所じゃない」


「……は?いや、誰あんた?」


イケボな声だったが全く聞き覚えがない。

そもそもこんな番号からかかってくること自体がおかしい。

それに「お前が居て良い場所じゃない」なんて、ここ俺の部屋だっつうの。


全く訳がわからず電話を切ろうとした時、

ふと目の前のパソコン画面に新しいメールが来ているのに気付く。

「あ、彼女だ!」

そして見てみると…


彼女「さっきオッケーしたよね?今ね、あなたの後ろにいるわ」


「…………」


現実に返ってきたかと思えば

またわけのわからない展開。

一瞬、背中にぬるい氷を入れられた気分。

その直後…


「ひいっ!!」


俺の肩に赤色にまみれた手がニュッと置かれた。


「うううう うわああぁあ!!」


バッと振り向けばそこには赤色の女性が立っている。

殺されるかと思った次の瞬間…


「バタン!」(部屋のドアが開く音)


電話の男?「またお前浮気してやがったな!こっち来い!!」


赤色の女「いや!ごめんなさい!!でも放してよぉ!痛い痛い!ちょっとやめて!」


電話の男?「君、騒がせたね。こいつ俺の女なんだ。ちょくちょく浮気するからさ、こうやって見張っておかなきゃなんねぇんだよ」


赤色の女「謝ってるじゃない!許してよ!痛いって!」


電話の男?「ちょっと目を離した隙にパソコンか!ふざけんなよお前は。おら行くぞ」


赤色の女「きゃあ!痛い痛い!髪引っ張らないで!」


(部屋に1人残された主人公)


「………」


現実には訳が分からなかったが、

妄想の中では結構早く納得できた。


まず、さっき電話をかけてきたあの男は

今部屋に入ってきたあの男だ。声が同じだと思う。


そして2人とも幽霊。

この世のものじゃなく、きっとあっちへ行ってからも2人は付き合ってんだ。


幽霊になってからも浮気するなんて…

彼女、生前、よっぽど浮気好きだったのかな。


あの血まみれはもしかして彼氏に…?


そして電話番号。

「742」…死霊(し・れい)に…?

「りょう」とは読まなかったんだ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=EHlsIsc8Y44

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嘘のようなホントの話 天川裕司 @tenkawayuji

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