~轆轤首(ろくろっくび)の面下(めんか)~(『夢時代』より)
天川裕司
~轆轤首(ろくろっくび)の面下(めんか)~(『夢時代』より)
~轆轤首(ろくろっくび)の面下(めんか)~
肥目(ふとめ)の女性(おんな)が重身(おもみ)を擡げて一男(おとこ)へ近付き、晩春(はる)の日和の涼風(かぜ)の小波(なみ)うち、幻(ゆめ)に破れて術(すべ)の無い儘、問わず語りに呆けて在った。女性(おんな)の名前は団子(だんこ)と言って、男性(おとこ)の名前は沖一馬(おきかずま)と言う。二人の気質は俺から離れた宙に彷徨い、二人の果てなど初春(はる)の陽気に攫われ始めて、全く見得ないどんより日和を空転させ得た。二人の気概に共通するのは、その場限りの色恋沙汰には走馬の如くに跳び付き生きるが、一度破れた破綻の恋慕に一目(ひとめ)を遣る際、人間(ひと)に乞われた〝恋慕〟の色情(こころ)は瞬く間にして「あっ」と消え去り、落ち着く間の無い自棄(じき)の狂情(こころ)に見事に失せ得る脆差(よわさ)を奏でる一情(いちじょう)に在る。団子の記憶は恋の仇(かたき)に両親(おや)を失くされ、独り切りにて身の上咲かせる恋の相手も宙へ浮く儘、その内着飾る貞淑熟女の門下の酒宴(うたげ)は何処(どこ)かで自分に相対(あいたい)して在る関(せき)のようだと見覚え始めて、さて、一時(いっとき)優れぬ〝恋の寡(やもめ)〟へ変った頃から、自分に問われる貞女(おとめ)の無垢には熱気が昂(あが)らず、修練童女(しゅうれんどうじょ)の夜話の果(さ)きには、一歩も退(ひ)かない処女の柔さが諸味(もろみ)を立てた。謙譲して行く処女(おんな)の両肩(かた)には温(ぬく)もりが無く、自身に見果てた〝出遅れ熟女〟が自分の周辺(あたり)に余程に蔓延る〝結婚女(けっこんおんな)〟の群れへと跳び入り、収取付け得ぬ処女の熟女は、今年の真冬(ふゆ)にて四十歳(しじゅう)を迎える悶絶し果てた熟女(おんな)へ達する。自身に仕上がる熟(あつ)い火照りの胴の内(なか)では、湿気の滑(ぬめ)りに粘着して行く肉壁(かべ)の美味(うまみ)が微妙に解(と)け切り、女性(おんな)の本能(ちから)が充分漲る柔軟(やわら)を奏でた女軸(にょじく)を仕上げ、男性(おとこ)の仕立てた蝙蝠傘から真向きに突かれる自身の悲哀に連想(おもい)を観る内、段々空転(ころ)がる女性(おんな)の温味(ぬくみ)の湯気の周りは、自分に彩(と)られた〝淋しい童女(おんな)〟の行方知れずが充満していた。意味の分らぬ女性(おんな)の行方が男性(おとこ)識(し)らずの体裁(すがた)を浮き彫り、初めに好んだ女性(おんな)の魔性(すがた)を所々で大事に採った。自分が活き行く新たな活路を如何(どう)でも収めて羽ばたきたい等、身重の女が自分の過ぎ行く前途の直前(まえ)にて突っ伏す常識(かたち)を厭々(いやいや)見送り納得しながら、落胆して行く帰路の途次へは男女を含めた慌てた容姿(すがた)が暗(やみ)の許容(うち)にて充満して居る。処女の女性(おんな)に生来生れた自分の身重に相対する現行(いま)、初めから在る女性(おんな)の柔裸(やわら)に素手で触れ生(ゆ)く自分を携え、明日(あす)への前途に決して割かない閏(うるう)の進歩に情感を観る。暗黒(くろ)い〝古巣〟が悪魔を従え女性(じょせい)を謀り、女性(おんな)の柔裸(からだ)を充分乱せる煩悩(なやみ)の仕込みを既に終らせ、団子の〝古巣〟が経過(ながれ)に付き添い生育(そだ)って来たのを誰にも知られず大事に浮ばせ、見所無いのを〝有る〟と言うなど、永い経過に初春(はる)を想わす魔法の仕手さえ染色された。微温(ぬる)い紅(あか)へとその実(み)を染められ、女性(おんな)に映え得る永い歴史から見て、自分の〝古巣〟に決して懐かぬ男性(おとこ)の容姿に精気を観た儘、自分の残骸(むくろ)が跳ばず語(がた)りの飛翔に在る等、滑稽(おかし)な古着を何時(いつ)まで越えても拭い出せない女性(おんな)の可憐は淑女の胎にて生長せぬのを現実から観た四本(しほん)の触手で否(いや)という程知らされながらも、自分の肢体(からだ)が童女の体(てい)して細(ほっそ)り落ち着く自然(あるじ)の記憶に散在しながら一向待てない新たな奇縮(きしゅく)へ自分の美を観て懊悩して居る。団子(だんこ)の性器は男性(おとこ)を欲した。欲する理由(わけ)には、世間に素通る自分の未完(みじゅく)を射止める景色が多様の気色に活きる故にて、自分の躯を素早く啄む男性(おとこ)の連鎖を他(ひと)へと宛がい、自分の古巣に漏れ出す嫉妬(ひのこ)を微温(ぬる)い真水に打ち消し微睡む軽い煩悩(なやみ)に出逢ったからにて、決して女性(おんな)の正味に問われる貴重の味覚を低めて売る等、自棄に徹した焦りの行儀に習うのではない。女性(おんな)に象(と)られた新たな常識(かたち)が帰路(みち)に従い崩れて往くのを女性(おんな)の立場に観るより他無く、術の無い儘、男性(おとこ)の傘下へ下る女性(おんな)は秋風(かぜ)の許容(うち)にて器用に彩(と)られる。映える両眼(まなこ)に女性(おんな)の色香(いろか)を欲していながら、不要・不貞に終始操(と)られて苛つく女性(おんな)は、初めから無い虚無の酒宴(うたげ)へ疾走(はし)って行った。酒宴(うたげ)の席では煩悶(なげき)の内実(うち)にて煩悩(なやみ)を従え、「い」の手に繋がる神秘(ふしぎ)の土偶(かたち)が醒めて往く頃、広い間取りは酒席に沿(そぐ)わぬ「う」の芽を久しく眺めて自信を象り、「え」のとに連なる未完(みじゅく)の容姿に自身を謀る女性(おんな)の固守(こしゅ)へは嫉妬(ひのて)が蹴上がり、「お」わりを観るまで男性(おとこ)の傍(そば)へは近付けない内、見事に咲き散る童女の妄想(おもい)は宴(うたげ)を忘れて葬られている。無心から成る白雲(くも)の間際の〝差し込む古巣〟は、旧い光射(ひかり)にその実(み)を束ねる淡い酒宴(うたげ)をひっそり留めて、自分の旧巣(ふるす)が現行(いま)へ往くのに形成(すがたかたち)が如何(どう)であるかを空気(もぬけ)の狭間(あいだ)で認識して居り、女性(おんな)の魔性(すがた)は男性(おとこ)の唾棄など取り込む間(あいだ)に、自分の胎(からだ)が妊娠して行く旧い強靭差(つよさ)に身震いして居た。
団子(だんこ)に彩(と)られた仮に見紛う厚い化粧(いろめ)は男性(おとこ)の衝撃(うごき)を押さえて行くのに丁度丁度の柔味(やわみ)を従え、柔味(やわみ)の吟味(あじ)にて小さく浮き出る男性(おとこ)を取り込む巨大な生気は、女性(おんな)の秩序を易く壊せる軟裸(やわら)の化粧(いろめ)を発散して居た。
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俺は大学で講義を受けて居た。新しい学期で勝手が分らず四苦八苦して居た。ポニーテールを結った、黒髪の可憐な少女が、明日(あす)の時間割りや、行事等を教えてくれ優しくて、嬉しかった。気があるのかな、等思った。沖一馬(おきかずま)と結婚した生娘の緊(きつ)い匂いのする無垢な少女は、このポニーテールの美女が現れた際に現れて居り、又、ポニーテールの美女の出現を俺が待って居る時の事かも知れなかった。このポニーテールの娘の名前は未央(みお)と言う。未央に俺が、時間割りを見せてと言うと、未央は行事の事まで書かれた新聞記事の様(よう)な文面を切り抜いたスクラップまで見せてくれていた。未央は時々眠そうにしていたが、何処(どこ)か嬉しそうでもある。未央の友人がその時周りに何人か居た。
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奇妙な文句が俺の頭上(うえ)から足元(した)へと瞬時の間(あいだ)に嫉妬と駆け下り、機敏に仕上がる俺の嫉妬は現代人(ひと)に見られる火の粉に失(き)えない暴力(ちから)の露わを両掌(りょうて)に取り持ち、露に失(き)せない未完(みじゅく)の童子の脚力(ちから)の歩先(ほさき)を、明日(あす)の宴(うたげ)に全く弛まぬ根暗(ねくら)を示して呆(ぼう)っとして佇む。真白(しろ)い自然(あるじ)は俺の目前(まえ)にてぴょこんと落ち着く白紙の怜悧に逡巡しながら、精神(こころ)の空間(すきま)に通(とお)って止まない紺(あお)い強靭差(つよさ)を横手に携え、〝明日(あす)に咲くのと昨日に咲くのと、旧い順序に場当たりして行く旧来(むかし)の孤独に随参(ずいさん)した儘、間取りが利かない古巣の柔裸(やわら)は俺の元へと回帰(かえ)り始める…〟、褥に軟いだ身軽に翔(と)び交(か)う男性(おとこ)の遊離は、自分が見据える古郷(こきょう)の宙(そら)にて、こんな文句を認(したた)めてもいた。
団子(だんこ)の躰が肢体(からだ)を呈して解(と)けて行く頃、俺の心身(からだ)は現行(いま)に活き得る古巣の鑑(かがみ)に連鎖を見付け、独歩(ある)き始める〝自ず〟の両刃(やいば)に女性(おんな)を取り付け宙(そら)へ値踏みをする内、ポニーテールに黒髪(かみ)を結べる可憐な童女へ相対して居た。童女の容姿(すがた)は余程に目立てぬ淡い残骸(むくろ)にその実(み)を通し、音の発(た)たない暗黙(しず)かな教室(へや)へと自信を象り自身を落ち着け、授業が始まる自然の経過(ながれ)の向きの許容(うち)にて、見知らぬ男性(おとこ)の俺の為にと精力(ちから)を費やし気力(ちから)を尽せる可愛い少女へその身を置いた。俺に操(と)られた男性(おとこ)を吟味(あじ)わう長舌(した)の上には、童子(こども)の女性(おんな)と成人(おとな)の女性(おんな)が交互にその実(み)を馴らせ尽せる褥の女性(おんな)が奉公して居り、慌てふためく俺の両眼(まなこ)は彼女を採って、俺へ従う淑女の常識(かたち)を整え遣る迄、黒髪(かみ)に映え得る奇女(きじょ)の体(てい)した貴女(きじょ)の容姿(すがた)を、無駄に空けない白紙の精神(こころ)へ丁度すっぽり納め尽した。断固(だんこ)の精神(こころ)は脚色(いろ)に冴えない成人(おとな)を魅せつつ、素噛(しが)む魔の手が女性(にょしょう)を脚色採(いろど)る冴えた軟手(やわで)を自分の身内(うち)へと豪(おお)きく入れて、男性(おとこ)の猛りの暴徒を馴らせる自信の素手など得ようとしたが、自分に訝る燻(くす)んだ生気が性器を疼かせ躍起と成るのを如何(どう)にも止め得る試算が付かずに、女性(おんな)に産れた果て無い柔手(やわで)が色摩を倒せぬ強靭(つよ)い景色を大目に見ると、如何(どう)にも着き得ぬ未完(みじゅく)な柔らが女性(にょしょう)を突(つっつ)き発(た)たせ得るのを、小さく灯った彼女の負い目は静観(せいかん)するしか術(すべ)が無かった。彼女の体は温々(ぬくぬく)怨々(おんおん)、身震いする程刺突を欲しがり、滔々流行(なが)れる生気の湯気には男性(おとこ)が映え活き、団子(だんこ)の心身(からだ)を乱し始める震える気色を堪能して居た。堪能して生く女性(にょしょう)の円(つぶら)は性(せい)を飛び越え、女性(おんな)の気迫を思慕に解(と)け入る男性(おとこ)の固身(かたみ)に上々乗り活き、女傑(にょけつ)を欲しがる団子(だんこ)の気色に挙がれる初歩(いろは)は、男性(おとこ)の暴力(ちから)に体を馴らせる脆(よわ)い行儀の凄惨に在る。女性(おんな)の表情(かお)から凄まじい儘、欲の水面(みなも)に溺れ続ける女性(おんな)の〝生き血〟は聖餐を識(し)り、自分の肢体(からだ)が土に埋れて透って生くのを男性(おとこ)の眼(め)に観て識(し)り尽していた。「明日(あす)」の遠路へ自棄に投げ遣る女性(おんな)の女傑(にょけつ)が通(とお)って往く頃、彼女の周辺(あたり)で煩悩(なやみ)に発狂(くる)える男性(おとこ)の身元は気色を失い、団子(だんこ)に象(と)られた柔裸(やわら)の裾でも奪(と)り合いし始め、女性(おんな)の〝湯気〟へとその実(み)を狂わす安い男性(おとこ)が量産された。四十年もの永い初春(はる)にて、自分を失い自信を失くせる女傑(にょけつ)に従う団子(だんこ)の女性(おんな)は、遠(とお)に終(つい)えた男女の肉祭(まつり)に奉公して行く自身を夢見て純潔(きれい)に仕上げた架空(そら)の〝呼笛(あいず)〟にその実(み)を挙げられ、旧い〝古巣〟に黴の生え行く奇妙な経過(ながれ)に熱気を識(し)る儘、男性(おとこ)の身元を死ぬまで捜せる女質(にょしつ)の主観(あるじ)に遍路を問うた。純潔(きれい)な儘では生路(せいろ)を保(も)てない現代人(ひと)の親身に習いを見た儘、団子(だんこ)の女性(おんな)は十年十色(じゅうねんといろ)の永い詩吟(うた)にて生気を貪り、独り身から成る脆(よわ)い女尻(めじり)を方々へと向け、〝誰でも好いから、女性(おんな)の冥利を訓(おし)えてくれ〟等、自棄(やけ)にも似通(にかよ)る全能(ちから)の矢先に陶酔して居た。
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沖一馬と決婚(けっこん)した少女は名前を佳名(かな)と言う。佳名に、自分が沖一馬と決婚した、と聞かされた時、団子(だんこ)は俺と乗ってた車中に於いて、泣き顔を呈した気配が在った。佳名は決婚迄の挿話を言う際、団子(だんこ)に対して嫉妬を誘える巨論(きょろん)を頬張り、団子(だんこ)と自分の立場の相異を何気に示せる手腕を採った。佳名と一馬が決婚出来る迄のエピソードとして、団子(だんこ)は恋愛の絡んだ人間関係の内を活き抜く脚力(ちから)に乏しく、自身を相手に売り込む腕力(ちから)を抑えて静観した為、ここぞと言う際に本気を出せず、あれよあれよと経過(なが)れて行く内、佳名と一馬が暗黙(しずか)にくっ付き、〝本気〟を出せない自分の労徒(ろうと)は結果と見ずまま渦中(うず)から引いた。誰も怒りたくないから、誰も傷付けたくないから、として、自ら身を退(ひ)いた、という事実に似た気配が在った。俺は、何処(どこ)へ向かうのかそのとき識(し)らない車中に於いて、挿話を聞きつつ、少々、一馬を羨ましく想ったがその情念は直ぐに消え、団子(だんこ)が大した事の無い女に見え始めていた。
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団子(だんこ)の遠慮は佳名の臭気を直ぐさま呼び寄せ、一馬の男性(おとこ)を静観するまま女性(にょしょう)を引っ提げ、美味に似通(にかよ)る端麗(きれい)な性器は「あっ」と言う間に女体に仕舞われ、弄(あそ)び道具にその実(み)を慣らせる疎い傀儡(どうぐ)へ改体(かいたい)された。団子(だんこ)の生気は女性(おんな)の臭味を並べながらも男性(おとこ)の元へと飛び付く間際に強靭(つよ)い魔の手が潔白を掲(あ)げ、分身(かわりみ)の無い脆(よわ)い音頭をマ向きに操(と)り生く女性(おんな)の活歩(かつほ)を正気に採らせた。憂気(うき)に絶えない女性(おんな)の初出(いろは)は小声(こえ)を上げつつ降参した儘、女性(おんな)の妙味に渡り合えない童女の懊悩(なやみ)に煩悶した儘、女性(おんな)の内実(なかみ)に狂い咲きする、嫉妬の過激に男性(おとこ)を識(し)った。疑似に尽き生く男性(おとこ)の波紋(なみ)には女性(おんな)が仕上がり、女性(おんな)の機微から微妙に蹴上がる欲目(よくめ)の萎えには鼓動が上がらず、如何(どう)にも女性(おんな)を蹴散らす女性(おんな)の賛美が、団子(だんこ)を警醒して行く神秘(ふしぎ)な当たりを構築していた。団子(だんこ)の色芽(いろめ)は自分に対する腕力(ちから)に先立ち、誰にも屈せぬ未完(みじゅく)の憂慮に追随する儘、男性(おとこ)へ対する現行(いま)の対峙に〝本気〟を操(と)れないか弱さが成り、慌てる童女の物憂い仕草は別の女性(おんな)を男性(おとこ)へ通せる魅惑の輪舞曲(ロンド)を構成して活き、自分の女性(おんな)は虚構に巻かれて連想(ドラマ)を愉しむ無為の仰臥に落ち着いていた。団子(だんこ)の仕草は自分の身分を凡そ低める嫉妬の欠伸に関係する儘、童女の〝果たし〟を煙(けむ)に揃えて加工する内、見知らぬ気色の到来を識(し)り、自分の女性(おんな)が何処(どこ)へ往くのか、一行気取れぬ不意の立場に在り処を好いた。〝女性(おんな)〟に採られた〝行方知れず〟は男性(おとこ)の呼応に反して在る内、自身に寄宿(やど)れる幻(ゆめ)の空気(もぬけ)に散乱する儘、焼き付く嫉妬(ねつ)へとその実(み)を浸らす無理を頬張り失意に在った。団子(だんこ)に操(と)られた女肉(にょにく)の身内(なか)から気丈に蹴上がる湯気(けむり)を掴み、俺の嫉妬は女性(おんな)の肉塊(にく)へとその実(み)を跨げる愉快な強靭味(つよみ)を両頬に保(も)ち、団子(だんこ)の女性(おんな)と仮名の女体(からだ)を、女肉の柔裸(やわら)を経由して生く不慣れな男性(おとこ)の手腕に寄り添い、自失を奏でる、男性(おとこ)の勝手を女肉へと宛て、何時(いつ)まで見て来た女性(おんな)の身元へ勝ち気を跳ばせる俺の生歴(きおく)を共に寄り添え、団子(だんこ)の打ち身と仮名の親身を律義に掌(て)に取り見詰めた後では、何も見得ない冷めた湯気(ゆげ)にて団子(だんこ)を見守る強靭(つよ)い脚力(ちから)に寄り添い着いた。
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末央(みお)とイタリアンか何かのレストランへ行っていた時、レストランの中から、沖一馬と鶴崎有美(つるさきありみ)が腕を組みながら、お互いスーツ姿・お嬢様が着る用のドレス姿で出て来た。俺は二人を見た時跋が悪くなり、一人、外方(あさって)の方を向き(レストラン入口に続く階段へ向き)遣り過した。
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未央の姿勢(すがた)は小さく揺らいだ褥の教室(へや)にて暗(あん)を貪り、自分の体を膨(おお)きくした儘、俺の眼からも、重々観得行く位置取りを保(も)ち、文学少女の成れの果てから器用に育生(そだ)てる露わの様子を、俺の男性(おとこ)に掛かる身を保(も)ち、揚々静か背筋を伸ばす。伸びた背筋は教室(へや)の隅から涼風(かぜ)を吹き込め、明日(あす)の魅惑を自分の〝女性(おんな)〟に喰わせ続ける童女の仕草に埋悼(まいとう)した儘、俺に馴れない格子の精神(こころ)を女性(おんな)に着せ替え、何時(いつ)も流行(はや)れる男女の弄図(ろうず)に感覚(いしき)を挙げつつ身重を示し、俺の身元を足元(もと)から崩せる狂気の散舞(さんぶ)に沈黙して在る。女性(おんな)の美識(いしき)は俺の男性(おとこ)の足元(ふもと)を空転(ころ)げる脆(よわ)い気色を真横に取り置き、何時(いつ)しか見得ない童女の小声(こえ)など具に仕上げる無垢の初歩(いろは)に心酔して居る。腿の周辺(あたり)に柔い女肉(にょにく)の〝古巣〟が仕上がり、既に仄(ぼ)んやり男性(おとこ)の固さを含んだ素肌は内腿(もも)の女肉(にく)から真向きに直れる女性(おんな)の軟派を総じて見守る。団子(だんこ)の肉体(からだ)は男性(おとこ)へ向かって悠々羽ばたき、自粛して行く生理の素顔を奏でる新芽は、軟肉(にく)に覆われ見えなくなった貞女(ていじょ)の女傑を散布している。
童女(おんな)の育児に苦労ばかりを講じる団子(だんこ)の感覚(いしき)は日に日に薄れ、時刻(とき)が経つのも煩わしさにて愛悼され得る秘訣の憂慮へ暫く渡され、俺と孤児にて護る卓には、一色(いっしき)ばかりの脚色しか無い旧い脆味(よわみ)が皿へと乗った。俺の過去から仄(ほ)んのり仕上がる女性(おんな)の色気の大々的には旧い倣いが俄かに解(ほぐ)れ、初めから在る〝疎い弄(あそ)び〟に男性(おとこ)と女性(おんな)の両性(たち)が育む美味の泡(あわ)など、露にも映らぬ強靭差(つよさ)が生じる。女性(おんな)の純(もと)から端麗(きれい)ながらに濁りを併せる可憐な仕草の連携体には、男性(おとこ)の遊べる純白(しろ)い空間(すきま)も余白さえ無く、俺を始めに男性(おとこ)へ講じる強靭(つよ)い文句の迸りにさえ、女性(おんな)が呼吸(いき)して女性(おんな)が呼吸(いき)する、連なる間奥(まおく)が瞬時(とき)を訪れ、女性(おんな)の絡みが無味を呈せる美味を呈する、美飾(びしょく)の卓まで装い出した。俺の心境(こころ)に神楽を設けた旧い弄(あそ)びは女性(おんな)に仕上がる女肉を知る前男性(おとこ)の弄(あそ)びに端正(きれい)に仕上がる主観(しゅかん)の暴挙に眠りを観た儘、他の男性(おとこ)が女性(おんな)の女尻(めじり)に発狂(くる)わされ生く禿の照輝(てか)りを憎悪に当てた。機嫌を損ねたmonkの叫びが俺の真横で交響(ひび)いて在って、俺の精神(こころ)は淋しいながらに冷たい冬風(かぜ)への防備の術(すべ)など画策しており、何時(いつ)になっても現れ出(いで)ない恐怖の〝火の粉〟に女体を二重(だぶ)らせ酔倒(すいとう)していた。俺の精神(こころ)で暫く鳴り止む〝呼笛(あいず)〟の発音(おと)には、温かみの無い緩い不安が段々屈(つの)めり、俺に相(あい)した旧い社(やしろ)は旧来(むかし)の旧家を反映していた。俺の足元(もと)から素(すん)なり跳び立つ、現行(いま)を揺さぶる〝新たの希望(ひかり)〟は陽光(ひかり)を真上に飾り付け行く俺の頭上(あたま)の宙(そら)へと返り、ゆっくり仕上がる辛(から)い〝音頭〟は瞬く間にして憔悴され活き、旧い〝両脚(あし)〟には俺の座れる未覚(みかく)の王座が陳列している。永く嗣(つ)がれた春を想わす陽気の旋律(しらべ)は、俺の過去から順繰り仕上がり、仰け反る態(てい)にて、女性(おんな)の柔身(やわみ)を後方から観て自慰を貪り、「明日(あす)」の旋律(しらべ)へ余程に間の無い無為の気色を放散している。俺の心中(こころ)に仄(ほ)んのり彩(と)られた〝わらしべ長者〟の悪しき夕べは、男性(おとこ)の身元(もと)から生粋(もと)を奪(と)り去り、女性(おんな)の身内へ闊歩を計って陶酔する等、男性(おとこ)の冥利へ次第に尽き行く活歩(かつほ)の定めを、俺の眼から観て永く賄う。女性(おんな)に彩(と)られた強靭味(つよみ)を具える双眼(ふため)の向きには、男性(おとこ)から得ぬ端正(きれい)な旋律(しらべ)が団子(だんご)に固まり、暑い日に鳴く蝉の殻など浮き彫りにした。
純白(しろ)い規律(おきて)に自分を定めぬ男女(ひと)の労苦の闊歩の果(さ)きには、浅黒女(あさぐろおんな)の男性(おとこ)へ対する嘶きが在り、自分本位の中傷から観て〝何気に終れる愉快な私事(しごと)〟の八卦見等まで自分に講じた夜半(よわ)の景色に根心算(ねづも)りして居り、〝無為〟に仕向ける脆(よわ)い〝律義〟を人間(ひと)に操(と)らせて盆踊りをし、自己に纏わる神秘(ふしぎ)の木の実を頬張る時期(ころ)には、無益に見兼ねた拙い「明日(あした)」が男女(ひと)に誘われ辿って往くのを、根心算(ねづも)り奏でる樞(ひみつ)の許容(うち)にて静観(せいかん)している。俺の心身(からだ)は仮名を見た折り、微かに並べた自分の羞恥に愛着を識(し)り、指が冷え行く漆黒(くろ)い〝火の粉〟を俗世(このよ)の共鳴(さけび)に付き従う儘、自分の身内(うち)から糧を奪(と)り行く未完(みじゅく)の暴挙へ対し始めて、団子(だんこ)に彩(と)られる薄手の配慮に微塵も感じぬ鈍味(にぶみ)を従え、後戻りの無い貴重な集成(シグマ)にこの身を遣った。それ程透らぬ男女(ひと)の人影(かげ)には黒点が点(つ)き、じりじりじりじり、燃え生く陽(よう)には月の陰(いん)から光線が成り、宙(そら)の彼処に放られながらに位置した場所には、これまで見て来た空間(すきま)に生え行く俺の孤独を露わに挙げた。団子(だんこ)の側(そば)には倦怠にも似た女性(おんな)の泥味(どろみ)がその実(み)を擡げ、必死に〝月〟からその実(み)を表す俺の孤独は琥珀色に成り、宙(そら)の目下(ふもと)で用意され得た男女(ひと)の古巣は楽園(パラダイス)を見て、俺の躰を遠く離れた〝旧来語(むかしがた)り〟の脆弱(よわ)さを識(し)った。恰好からして男女(だんじょ)の強靭味(つよみ)に乗れない俺に操(と)られた活気の波から、小さき〝酒宴(うたげ)〟が迷妄(まよい)を棄て去り前進して活き、古い〝社(やしろ)〟を如何にか斯うにか改め行くまで俗世(このよ)の私事(しごと)の事上(ことあ)げするまま自分に象(と)られる男女(ひと)の流行(ながれ)を非道(ひど)く嫌って、嫌う内から嫌われ始める美談を講じた〝英雄物(ヒーローもの)〟には、男女(ひと)の表情(かお)から認識され得ぬ誤談(ごだん)の拍子が大きく載った。清閑(しずか)な過去から次第に挙がれる幻(ゆめ)の疼きの諦め表情(がお)には、暗い活路が段を呈して俺へと宛てられ、俺の居所(いどこ)が何処(どこ)に在るのか、散々捜せる不意の本能(ちから)が横行している。寒い初冬(ふゆ)から蓮華の芳香(かおり)が咲き乱れる迄、俺の身元(もと)から操(と)られた脚色(いろ)には俗世(このよ)を華やぐ背後(うしろ)の叫(たけ)びが滅法活き出し、純白(しろ)い外套(マント)にその実(み)を任せる〝自由人〟から活動(うごき)を頂き、これから飛躍(はば)たく黄泉の郷(くに)へと自己(おのれ)を隠して飛翔を期せ得る無為の端(はな)から綻びを見た。人間(ひと)が無いのを自然に睨(ね)め取り、味気が無いのを味覚の芽として、俺の幻想(ゆめ)には何処(どこ)か眩い希望(ひかり)の波(わたり)がぎらぎらしており、始めから無い未知の郷(くに)にて解釈している。何処(どこ)からともなく、俺を囲める宙(そら)の芽吹きを背筋に感じ、不意を突かれた虚構の教習(ドグマ)は土中(どちゅう)に見得ない寝屋の空間(すきま)を連想させ活き、俺の心身(からだ)の神秘(ふしぎ)を講じる幻夢(げんむ)の根からは、「明日(あす)」の用途と昨日の用途を平らに立たせて丸く収める器量の葦から依頼を承けた。
*
「あの娘(こ)を物にしろ。」
*
と言うのである。人伝(ひとづて)だてらに不要の芽を奪(と)り独歩(ある)いて行くと、俺に操(と)られた審議の程度は真夏の校舎で真水を被(かぶ)れる強靭(つよ)い覇気にも充分気を付け、自活の歩幅が所業を執れない憎いキョムさえ明眸に観る。脆弱(よわ)い両脚(あし)がへなへなへなへな、脚力(ちから)の抜け行く経過(ながれ)を携え自分に奏でる向こう岸には何も問えずの日計(へび)が這うのを真向きに捉え、無毒の亜種から有毒近種の生物成るのを、強腰(こし)を揃えた山手の奴等は朗笑(わら)って蔑み、「曰く付きなら保身を憶えた言動(うごき)を採れ。」など未完(みじゅく)に揃える黄色(きいろ)の嘴(くち)にて散々訓(おし)え、教習(ドグマ)の成果に〝早く近付き功を挙げる〟と小さく唱える俺の横目は女性(おんな)に訓(なら)えぬ未読の〝成果〟を男女(ひと)の感覚(いしき)の具体に識(し)った。
*
俺の幻(ゆめ)には保身を講じる余韻が生れ、何に対して恐れを成すのか一向気取れぬ未知の果てにて、器用に蹴上がる風の波間に心身(からだ)を救われ、俺の足元(ふもと)も、俺から離れた夢游の景色も、全てが一向宛てへと付き添い、逸る気持ちを分譲しながら宙(そら)まで追い掛け、虚栄と理知など、何方付(どちらつ)かずに採択して生く行儀(マナー)の行方に追従(ついしょう)している。俺の背後を少し離れた明るい敷地に、朗らを遺棄した固陋の盲者が散布して在り、不良の発声(こえ)から吐息を漏れ出す男女(だんじょ)の緩みが密かに立った。男性(おとこ)の背後に壮(おお)きく並んだ純白から成る飲食店から、男女(ひと)の美味(うまみ)を曝け出す為、如何(いか)にも斬新(あらた)な腕力(ちから)を得るのに不良に灯れる男女(ひと)の坩堝を足下(ふもと)に呼び込め、驚愕するまま俺を追い込め、俺の背後は男女(ひと)を識(し)る程何にも触れずに、幻想(ゆめ)から醒め得る二極の主観(あるじ)をゆっくり見送る。良く良く見遣れば不良に扮して落ち着き得たのは、女性(おんな)を添わずに朴(とっぽ)く努める、男性(おとこ)の一群(むれ)へとその身が成った。俺の態度が矛盾を呈して定まり切れずに、悶々しながら足踏み馴らして躊躇を識(し)る頃、壮(おお)きな直下の憂慮を保(も)たない古巣を揺さぶる地震が在った。独房(へや)の内では何度も見て来た地震に在ったが、独房(へや)の外での地震と成るならこれまで見て来た地震の程度は一拠(いっきょ)に束(まと)まり宙(そら)へ返され、俺の独自が自然を忘れて円らに問う内、俺の心底(そこ)から不意に乗じて上がれる覚悟は真昼(ひる)の最中(さなか)に地震を見紛う斬新(あらた)な虚無へと埋没して行く。幻(ゆめ)の脚力(ちから)を不断に借りつつ俺の思惑(こころ)は幻夢(げんむ)を飾った軒先から出て、驚愕し尽す幻想(ゆめ)の畔へ躰を借りつつ滞在して居る。俺の周囲(まわり)へ緩々集える無為を気取れる幻(ゆめ)の輩は男女(だんじょ)の目下(ふもと)へそろりと寄り付く旧い静寂(しじま)をその掌(て)に採りつつ、俺の両眼(まなこ)に余程に朗(あか)るい斬新(あらた)な静寂(しじま)を用意しており、紺(あお)い温床(ねどこ)へその実(み)を擡げる苦労の明度を〝様子〟に化(か)えた。俺の身元(もと)から通り過ぎ得る二極(ふたり)の清閑(しずか)は空気(もぬけ)に解(と)け活き、苦労が絶えない旧い〝軒端〟の幻(ゆめ)の畔が目醒めて生(ゆ)く迄、通り過ぎない二極(にきょく)の相手をずっと欲しがり、暗(くろ)い水面(みなも)に女性(おんな)の息吹をちょいと侍らす〝味方の杜〟から登場して居る。俺が見付けた男性(おとこ)の姿勢(すがた)は端正(きれい)に寝そべる宙(そら)の果てから秒の速さに前進(すす)んで行け得る小波(なみ)の狭間(あいだ)へ目線を当て据え、白色(しろ)い〝軒端〟が俺の塒と落ち着く迄には、可なりの速さで経過が流行(なが)れる〝向き〟の動静(ようす)と根室へ遣った。人間(ひと)の常識(かたち)は男女の動静(うごき)を仔細に見積もり、如何(どう)して活きれば〝成功するか〟を〝味方〟に落ち着く信徒に宛がい調子を尋(き)き付け、自分の歩速(ほそく)に合せる調子を宙(そら)に訝る根暗の音頭に尋ねて活きた。男女の迷妄(まよい)が葉裏に隠れた脆弱(よわ)い紳士を射落とし蹂躙するまで文士に見渡す晩秋(あき)の小雨は取り付く島さえ何にも無くて、俺が訝る滑稽(おかし)な拍子を宙(そら)から吹き出るmonkの歌声(こえ)から音頭を従え、男女から成る神秘(ふしぎ)の〝静寂(しじま)〟を〝ぽん〟と置く掌(て)をきちんと気安め、俺の精神(こころ)に真面に隠れた神秘(ふしぎ)の樞(ひみつ)を隠した輩は、宙(そら)へ失(き)えても前方(まえ)へ失(き)えても旧来(むかし)の経過に速さを認めず、瞬間(とき)の流行(ながれ)の微小の曇りに〝身分〟の相異を禁じなかった。一旦目前(まえ)から渋々退(さ)がった男女の人層(そう)には、旧来(ふる)い文句が言葉と成りつつ、この果(さ)き観尽す夢游の幻(ゆめ)から〝男女〟を仕分ける旧い従順(すなお)が手順に加わり、見渡す限りにmonkを識(し)らない烏有の虚学(きょがく)が遠征している。自分と身分の俗世(このよ)に蔓延る果々(さきざき)など観て、個人(ひと)の温床(ねどこ)は安める間も無く次の郷里へ生かねば成らなく、不毛の温度をその身に識(し)る儘、不快な規矩へとその実(み)を倣わす。
*
俺は、家へ帰る迄に在った自分がバイトしたコンビニ(ファミマ)に寄った。中の在庫室は硝子や酒や他の物が矢張り結構床に落ちていた。俺は、何人か集っていた男女を含めた仲間達と片付けをした。確かそこで、だったか、太腿を露わにした渡部きみどりという、高齢熟女の俺の仕事仲間が出て来てちょっと愛露(えろ)った。足はピンク色で白く、美味しそうであった。家の状況を見るまでに、場面は次へ変った。
*
純白(しろ)い浮輪にその身を操(と)られた高齢熟女の女性(おんな)が現れ、挨拶さえ無い表情(かお)の見得ない虚構に遊泳(およ)へる「俺と女性(おんな)の親密描写」を真面に表し、俺の身元(もと)から結託して生く二極(ふたつ)の主観(あるじ)は幻(ゆめ)に架けられひっそりして在るモノリス紛いの暗(くろ)さを眼(め)にして、男女の在り処の真味(しんみ)を問えない不義の主観(あるじ)に談判をした。人間(ひと)に仕上がる〝湯気〟の狭間(あいだ)を空気(もぬけ)を着飾り解釈して生く男女へ対した説明付けには、一つの迷妄(まよい)も胡散の見得ない脆弱(よわ)い〝目下(ふもと)〟が激しく成り立ち、「明日(あす)」の目下(ふもと)へ上々活き生く「昨日」の主観(あるじ)を片手に採る内、段々静まる眠気の許容(うち)にて師匠を仰ぎ、男性(おとこ)も女性(おんな)も人間(ひと)に纏わる生き方の実(み)から、自分に纏わる潔白(しろ)い主観(あるじ)を師匠に見立てて失踪して生く。
*
松岡俊人(まつおかしゅんと)がバイトをさせて貰ってる、中国人が集まる店が集った一角に居た。ジャッキーチェンがフェイフォンに成り、酔拳を披露していた。そこに俺の母親も居た。家は無事だったようだ。俺はほっとしたと同時に、がっかりした。俺は、松岡の口添えでそこでアルバイトをしていた。しかし店仕舞いをして帰る頃になり、言われた事が全く出来ていない俺の為に俊人は残ってくれた。箒と塵取りで石を退(ど)ける作業だった。
*
通り縋りの連想詩(アンソロジー)には、俺の生れた二極(ふたつ)の行方を見事に講じる未完の刹那が併せ保(も)たされ、経過(とき)が講じた泥濘(ぬかるみ)には無い斬新(あらた)な虚無から次第に仕上げる無機の生歴(きおく)が真逆(まさか)に懐いた。純白(しろ)い衣(きもの)は黄泉の縁(ふち)から遠く仕上がり、転々(ころころ)空転(ころ)がる華の褥に悶絶する内、見事に二極へ想いを先立つ愉快な功など俺に突き付け、空気(しとね)に白(しら)いだ淡い人器(うつわ)が如何(いか)に脆くて気丈に在るかを、幻夢(ゆめ)の目醒めに伝(おし)えてくれた。慌て損ねた二極(ふたつ)の談士(だんし)は幻(ゆめ)から離れた何処(どこ)へ行っても未局(みきょく)を講じる齢の(よわい)遅延(おくれ)に白色(はくしょく)から成る経過(とき)の白壁(かべ)など丈夫に打ち据え、奇妙に気取れぬ個人(ひと)の人器(うつわ)の現(うつつ)の泥濘(ぬま)から、「明日(あす)」の気色を幾様(きよう)に図れぬ詩吟(うた)の微温(ぬるみ)を蒸留している。個人(ひと)に講じる自然(あるじ)の感覚(いしき)は丁重ながらに、細々(こまごま)している泥濘(ぬま)の水面(みなも)は女性(おんな)に仕上がり、女性(おんな)が保(も)ち生く旧い躾の作法の許容(うち)には、滑(ぬめ)る湿気が決(け)して取れない少女(おんな)の本能(ちから)が充満して居る。少女(おんな)から見た男性(おとこ)の固さはその実(み)を持ち上げ、四十(しじゅう)前後の団子(だんこ)の肢体(からだ)を悠々抱き寄せ、懐手(ふところで)に在る乙女(おんな)の躾は温味(ぬくみ)を通さず渋味を敷き詰め、自分の躰を試飲している団子(だんこ)の舌にも、処女(おんな)の美味(うまみ)はぽろぽろ抜け落ち臭味を載せた。威張る躰を俺の目下(もと)へと〝ぽつん〟と落とせる不意を気にした脆弱(よわ)い女性(おんな)は、自分に彩(と)られた可弱(かよわ)い往路を俺の前方(まえ)へと打ち拡げて活き、隠し切れない〝赤身〟の上気を気丈に挙げた。文句(ことば)が宙(そら)へと宙返りをして自体を消す頃、男性(おとこ)の値踏みに安堵を仕上げる団子(だんこ)の暴露は女性(おんな)の吐息は男性(おとこ)の躰に撓(しな)んで和らぎ、安らぎから成る多くの〝小物〟は俗世(このよ)に準い浸透して活(い)く。女性(おんな)の鼻から二つに分れた湯気が漏れ出し、俺の目前(まえ)から奇妙に生き出す晴天目下(せいてんもっか)の気性は連なり、ぶらぶら冷め行く幻想(ゆめ)の〝藻屑〟は男性(おとこ)の目からも明瞭に在る。浮いて逆立ち、「奇妙の集体(シグマ)に何処(どこ)へ往くにも応対出来ない無名(むみょう)の神秘」が重なり釣られて、俺の心中(こころ)へ這い出す樞(ひみつ)は自然(あるじ)を忘れて初めて活きる。何処(どこ)か窮地の紺(あお)い集体(シグマ)は残り火さえ失(け)し、浅い幻(ゆめ)には素人仕立ての漆黒(くろ)いmonkが地割れを聴いた。
*
何かもう一人と、何かから愛露(エロス)を引き出そう、としたが駄目(むだ)だった。
*
洞(うろ)の許容(うち)から拙く靡ける滑稽(おかし)な巨躯さえ萎(しな)びれ挙げられ、初めから在る宇宙の生歴(きおく)は誰にも何にも決して識(し)れ得ぬ未知の記憶に封印され得て、得てして独歩(ある)ける白痴を装う俺の白影(かげ)には、〝日光浴〟さえ儘成らないまま知人が他人に勧められ得る滑稽(おかし)な〝努力〟へ真逆に対する。苦労を識(し)らない俺に産れる女性(おんな)の呼気(こき)には、慌て割かれぬ陽(よう)の陰途(いんと)が揚々傅き、二つ眼(まなこ)で俗世(このよ)へ遣られた淡い屍(かばね)を賄賂に置いた。漆黒(くろ)い眼鏡は宙(そら)を飛ぶうち縷々に重なり、陽(よう)の光(あかり)を黒紙(かみ)へ当て付け、向きを変え得ぬ憎い〝値踏み〟を男性(おとこ)の肢体(からだ)へ操(と)らせて行った。同じ吐息で映る集成(シグマ)に大黒(だいこく)を置き、人間(ひと)へ仕向ける奇妙の味覚(あじ)には寒気(さむけ)を齎す錯覚が在り、かたかた、歯茎に染み入るmonkの共鳴(さけび)は、物理(もの)に差し向く普通の交響(さけび)に共学して活き、誰にも知れない未覚(みかく)の使徒へと幻夢(ゆめ)を呈して放(ほう)って置いた。〝意味〟から貰った柊色した緑の目下(もと)には、俗世(このよ)に忘れた女性(おんな)の表情(かお)から身元が失(け)されて、俺の前方(まえ)へと突っ伏し独歩(ある)ける輪舞曲(ロンド)の独創(こごと)が体好く表れ、「妬み」「嫉み」を鵜呑みにして生く男性(おとこ)の主観(あるじ)が文句を垂れた。現行(いま)に活き得る小言を呈した俺の笠には、遍く嗣業が吐息(いき)を吐(つ)けずに文句を垂れ活き、「明日(あす)」の「妬み」に「嫉み」を重ねる味覚の主観(あるじ)を全面に着た、無感の主観(あるじ)が程好く解け入(い)る。現行(いま)の目下(ふもと)を程好く素早く、器用に独歩(ある)ける空気(もぬけ)の教習(ドグマ)は〝一文無し〟から粗末に発(た)たされ、淡い気迫に女性(おんな)の全能(すべて)を殺して歩ける独自の輪舞(おどり)を所業に携え、泣くに泣かれぬ何様(かよう)へ対するmonkの言葉を白色(はくしょく)仕立てに調えている。俺と〝男性(おとこ)〟は呼応するうち結託して活き、小さい人渦(うず)へと少々解け入(い)る騒ぎを見れば直ぐさま動体(あるじ)に跳び付く現代人(ひと)の脆味(よわみ)を観照(かんしょう)して活き、現行(いま)の目下(ふもと)で煩悶して居る人間(ひと)の渦中(うず)には、全く愛せぬ汚さを知り皆殺しを乞う。皆殺しにする現行(いま)を生き得る現代人(げんだいじん)には、自己(おのれ)の得(とく)さえ上手に見て取り、蜘蛛の巣分け入る器用独自の無為にて夢病(むびょう)を識(し)り抜く淡い気力が燦燦照り付け、俗世(このよ)を愛せる滑稽(おかし)な経歴(きおく)を余程の大事に認めて生け得る牢の主観(あるじ)の様子が窺え、未開に割き置く無数の幻夢(げんむ)の肢体(からだ)の目下(した)には、何にも化(か)われぬ俗世(このよ)の賛歌を嗣業に見て生く現代人(ひと)の手綱が切断された。潔白(しろ)い両眼(まなこ)で現(うつつ)と幻(ゆめ)との無法を読み取る奇怪の徳には現代人(ひと)の身内(うち)から端正(きれい)に仕上がる無機の主(あるじ)が余程に撓垂(しなだ)れ、厚い逆鏡(かがみ)に前途を失くせる脆弱(よわ)い女性(おんな)の端正(きれい)な表情(かお)から、合せ鏡に相手を見て取る不気味な幼稚が沸々煮えた。
俺の発声(こえ)から誰にも聞えぬ言葉が流行(なが)れ、潔白(しろ)い伸びには〝欠伸〟にも似た人間(ひと)の諦念(おもい)が満ち満ち溢れ、現代人(ひと)に遮る迷妄(まよい)の呼笛(あいず)は旧い知己(とも)にも決して懐けぬ脆(よわ)い火の粉を語らい通した。そうする日中(ひなか)に俺の身元(もと)から旧友(とも)が失くなり、恋に弄(あそ)べる不吉の女性(おんな)は〝女神〟を掲げて地獄へ落ち込み、俺の両眼(まなこ)に残った〝親子〟は俺の眼(め)を見て清閑(しずか)に失走(はし)り、俺の前途を揚々照らせる明瞭(あか)るい陽(ひ)の粉(こ)に変身していた。変化(へんげ)か否かが良く良く分らぬ紺(あお)い瞳の象牙鏡(そうげきょう)には、母の水面(みなも)が真っ直ぐ示した父への相呼(あいこ)を糧へ馴らしめ、相手の要らない人間(ひと)の生(せい)へと俺を押し生く古い景色を散漫にした。俺の感覚(いしき)は両親(おや)の身元を薄(うっす)ら離れて、何処(どこ)か郷里へ追走させ得る未覚の見地を既成して置き、俺から流行(なが)れる〝過ち仕立ての自明〟の自然(せつり)を成り行き任せにあやして行って、俺の背後にちらりとちらつく〝女神〟の煩悩(なやみ)を浮き沈みにした。浮沈、浮沈、浮沈、…。――(完)
~轆轤首(ろくろっくび)の面下(めんか)~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji
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