~役割~(『夢時代』より)
天川裕司
~役割~(『夢時代』より)
~役割~
〝役を演じればいいだけのこと…〟、誰かが、何かが、俺に呟き失(け)されて行った。身籠り始めた思索の意図には俺の文句(ことば)が中々届かず、何時(いつ)か見果てた人間(ひと)の暗(やみ)へと〝狂言顔(きょうげんがお)〟して孤独に居座り落胆して居る。人間(ひと)の意識は意図を持ち得ず、俺の傍(そば)から空々(からから)離れて、遠い〝絵巻物(おそら)〟へ失走(はし)って行った。誰にも解(と)けない虚無の虚構(ドラマ)を俺の心理が保(も)ったからこそ、他(ひと)の蛇足は気味を欲しがり透明(まわた)を切り裂き、原罪(つみ)の牙城(とりで)へ居直る態度を実しやかに見納め出した。俗に活き抜く端正(きれい)な戯言(ねごと)を紺(あお)い宙(そら)へと真向きに振り向き、他(ひと)の意見(はなし)を真面に聴けない愚かな行為にその実(み)は向けられ、当り節(ふし)無い戸惑(まよ)いの許容(うち)にて刻んだ悪魔へ拝して在った。有名無実の人間(ひと)の労苦が人間(ひと)の傀儡(どうぐ)を肴にした儘、明日(あした)咲けない未完(みじゅく)の連想(ドラマ)を仰ぎ見る後(あと)、虚無の肴に打診している二手(ふたつ)の孤独を両手に取り置き、何度に聴けない〝古巣〟の微声(こえ)など受け取り続けた。男性(おとこ)の美識(いしき)が女性(おんな)の掲げた脆(よわ)い感覚(いしき)に仄めかされ果て、挙句の果てには孤独を保(も)てない虚無の美識(びしき)が地下の底から人間(ひと)へ仕上がり、紺(あお)い悪魔が〝人間(ひと)の負傷を治せるから、〟と脆(よわ)い常識(かたち)を上手に仕上げ、掴み損ねた心理の在り処は現代(いま)に咲かない旧い〝空き巣〟に逆行して生(ゆ)く。
白い宙(そら)から俺の活気がはらぼら燃え出し、現代(いま)に居残る現代人(ひと)の温身(ぬくみ)が白亜の衣(ころも)へ浸透して生くお伽噺の怜悧(つめた)さに触れ、他(ひと)の発声(こえ)には決して解(と)け得ぬ鉄格子の実(み)が現代人(ひと)を操り、民俗・奇界(きかい)に進行して居る虚構(きょこう)の隔離を寝間に設けて静観(せいかん)している。独創(こごと)に燃え出す人の内輪(うちわ)は限度(かぎり)を見出し、獣族(けものぞく)から民俗・舞台を拡散して行く滑稽(ふしぎ)な個の葉を舞い散らせていた。壮大(おお)きな〝牙城(とりで)〟は得体知れずの雲行きを観せ、人間(ひと)の牙城(とりで)と正義の牙城(とりで)と悪魔の牙城(とりで)と自然の摂理を、分け隔ても無く混流させ活き、如何(どう)にも払拭(と)れない人間(ひと)の懊悩(なやみ)は煩悩(なやみのたね)から密かに漏れ出る他(ひと)の本能(ちから)へ相対して活き、男女の孤独が無限の許容(うち)から二手(ふたつ)に漏れ行く功徳の末路を拝観(はいかん)していた。ガラスケースの空気(もぬけ)の両刃(やいば)に過去につくねた人間(ひと)への回顧が分散して活き、何が正義で何が悪義か、人間(ひと)が見果てる正理(せいり)の覚悟を蹂躙させられ、人間(ひと)の頭上(うえ)へと何時(いつ)も棚引く紺(あお)い宙(そら)から宿れる宿命(いのち)は人間(ひと)の視野から遠退いて居た。独りの孤独が個人(ひと)の足元(ふもと)を固めて仕上げ、その個の経過がどんな脚色(いろ)から飾られようとも個人の人生(みち)には個人(こじん)の宿命(いのち)がその実(み)を知る為、傍(はた)の眼(め)からは如何(どう)識(し)れようとも、個人(こじん)にしか無い〝生きる成果〟が落ち着くものだと、通り縋りのアンソロジーから俺の身元は聴かされ続けた。独立して行く最期の瞬間(とき)への集大成から、俺の言葉は独学(まなび)の限度(うち)より思想を採り挙げ精神(こころ)を確かめ、他(ひと)の〝生き血〟が何を透して演説するかを人生(ぶたい)の許容(うち)にて再度確かめ、女性(おんな)が生れた史実が掲げる悲惨の行方は、現代人(ひと)に分らず男性(おとこ)に寄り付き、俺の心中(こころ)で自体を拡げる人間(ひと)の微温味(ぬるみ)を存在させた。俺の眼(まなこ)は鈍(くも)り眼(まなこ)に落沈(らくちん)しながら、自分の躰と幻(ゆめ)の行方が男女を透して何処(どこ)へ向くのか、決して触れ得ぬ人間(ひと)の生気(オーラ)の破滅を識(し)った。自分に宿れる果(さ)きが分らず鈍(くも)り眼(まなこ)で暗中模索に耽って在ったが、俺の分身(かわり)は遠い宙(そら)へと幻(まぼろし)を観て、自分の心身(からだ)が若気を費やし無益の労苦に準じて在る、等、拙い人間(ひと)の生気に哀しみを識(し)り、居ても立っても居れない脳裏を苦汁に隔てて酸味をも識(し)る。男性(おとこ)の姿勢(すがた)と女性(おんな)の姿勢(すがた)を俗世(このよ)で見定め許容したのは孤独の主観(あるじ)を撲滅して生く透明(まわた)の興味へ陶酔していた〝逃げる傍観人(ひと)〟への身構えであり、俺の男性(おとこ)と女性(おんな)のfalseは幻(ゆめ)に堕ち生く無益の徒歩から延びて仕上がり、「明日(あす)」の孤独を紺(あお)く染め行く自己(おのれ)の限界(かぎり)に果(さ)きを想った。事毎、事毎、…俗世(このよ)に識(し)られた脆(よわ)い歯車(くるま)は俺にとっては強靭であり、間違いだらけを指摘して生く旧い姿勢(すがた)を構築するのは俺の足元(もと)から遠く離れた見知らぬ許容(うち)にて俺には見得ず、俺の幻(ゆめ)には独り移ろう虚無の酒宴(うたげ)が延々続き、俺を観て居る誰の前方(まえ)でも、決して解(と)けない一連(ドラマ)の〝私運(はこび)〟を延々見定め茫洋(ぼんや)りしている限界(さだめ)の果てには、宙(そら)の身元(もと)から揚々経過(なが)れた大口(くち)の開きが俺の常識(かたち)を順々繕い〝何も無いのが連想(ドラマ)〟である等、吐いて失(き)えない拙い共鳴(おらび)を俺の〝理想郷(ふるす)〟へ散々投げた。俺の精神(こころ)は宙(そら)の白壁(かべ)にて、大口(くち)を開(ひろ)げる孤高の透明(まわた)へ想いを遣りつつ純白(しろ)い掟(さだめ)は他(ひと)の眼(め)からは識(し)れ得ぬけれども、俺の成すべき嗣業から成る透った私事(しごと)が俗世(このよ)を逆巻く大小(ふへん)の大渦(うねり)に確立して在り、俺の心身(からだ)は俗世(このよ)を活き抜く〝自分〟の為にと〝孤独を失(け)し得る人の定めに決して寄り付く本能(ちから)を観ぬ儘、生涯決め得る自分の孤独は原罪(つみ)に加えて犯罪(つみ)を為させず至高に在る…〟など保身を呈した俺の純朴(すなお)は従順(すなお)を見て取り落ち着き始め、他(ひと)の元(基)から女性(おんな)の元(基)から遠(とお)に遠退き四肢(あし)の付かない矛盾の主観(あるじ)へ陶酔して居る。
積極的にも消極的にも、自分の主観(あるじ)は幸(こう)を嫌って、匂いの付かない冷風(かぜ)が吹き抜く空間(すきま)へと入(い)り、俺の文句(ことば)が宙(そら)とこの地の回り続ける空間(すきま)の許容(うち)にて、次第に脚色(いろ)から発音(おと)から姿勢(すがた)・常識(かたち)を粉砕して行く孤独の重味(おもみ)は暗(やみ)へ解け入り、生涯相(あい)して大事として行く旧い仕種の変れぬ様子は、俗世(このよ)を独歩(ある)ける俺の覚悟が遠目に観ていた果(さ)きの〝一連(ドラマ)〟に〝光沢(ひかり)〟を置いた。
*
「…あの『大学』という場所が俺には合っていない、好きなんだけど合っていない。この複雑描写に彩(と)られた白さは白(しら)けた限界(かぎり)に自分を覗ける無駄な記憶に演繹して活き、孤独に相(あい)した俺の孤独は無数に拡がる数多の無理から生気を灯し、現行(いま)の現行(いま)迄、手内(てうち)に置かれた〝無限の延び〟には透明(まわた)の配した褥から来る人間(ひと)の輪舞曲(ロンド)が予め在り、俺の心身(からだ)は無数の解(ほつ)れを生気に宿して自活するより他に術無く困惑した後、現行(ここ)に至れる無業の清閑(しずか)へ知らず識(し)らずに回帰して生く不敵の言動(うごき)に着目していた。批評をするのが大学であり、創作するのが自分に在って、〝白い透明(まわた)〟が幻(ゆめ)を擡げて発狂するのは現行(いま)に至れる個人(ひと)の言動(うごき)に当然に在り、無駄な学びを延々続ける徒労の安堵は俺の周囲で学舎の周辺(あたり)で追想され得る人間(ひと)の教習(ドグマ)の胸裏へ従い、人間(ひと)の俗世へ還って行った………」
*
暁(あけがた)から観る人間(ひと)の俗世に辟易して居た俺の優美(ゆうび)は華々(はなはな)萎れて、悴む手指には真夏の厚差(あつさ)が如何(どう)とも言得(いえ)ない孤独を拝して楽面(らくめん)を識(し)り、屈強(つよ)い詩歌(うた)には躊躇さえ無い余程の微温味(ぬるみ)が〝孤高の宙(そら)〟から真っ直ぐ降り立ち途方に暮れ活き、無言に置き遣る人間(ひと)の〝利益〟は白雲(くも)に隠れてその実(み)を繕う脆弱(よわ)い両刃(もろは)を俺へ突き出す。俺の孤独が〝現行(それ)〟まで相(あい)した他(ひと)との定めの脆(よわ)い合図は事毎失(き)え去り他(ひと)の笑顔は無機を欲しがり俺から離れ、無音の経過(ながれ)に順応して行く「初めから無い延命(いのち)の温実(ぬくみ)」を俺の胸中(うち)へとぽつんと棄(な)げた。嘗て無いほど尾鰭(しっぽ)を振るえる他(ひと)の熱気は活気を連れ添い、夜半(よわ)の麓へ月光(あかり)を求めて失走(はし)って行くのを身分に定めて「それで良し」とし、俺の孤独に拍車を掛け得る〝露呈・調和〟の神秘(ふしぎ)の波調(リズム)へ俺と各自の全ての歩幅が揃うようにと自然(あるじ)に寄り添う人間(ひと)の流行(ながれ)に屈服して居た。俺の心身(からだ)は物理(からだ)を通して暗(やみ)に平伏し、他(ひと)と囲える机上へ着くのも真面に出来ない精神(こころ)の恐怖にほとほと操(と)られ、日常生活・感覚(いしき)の許容(うち)でも自己(じこ)を励ます〝楽器〟を保(も)たない行方知れずの生活(ライブ)を観て居り、他(ひと)の音頭と自分の温味(ぬくみ)が何時(いつ)まで経っても折り合えずに在る不定調和の感覚(いしき)の許容(なか)へと、自分の心身(からだ)を埋没させ行き邁進させ生く神秘(ふしぎ)の虜の倣いを観ていた。俺の記憶は遠い過去から自然に仕上がり他(ひと)の〝旧巣(ふるす)〟へ漸く返れる未完(みじゅく)の感無(オルガ)の予兆(きざし)を識(し)ったが、他(ひと)の明度(あかり)が古今・縦横彷徨い続ける未完(みかん)の現行(いま)での言動(うごき)に準え〝曇り眼(まなこ)〟の俺の精神(こころ)は、心成らずもふらふら跳ね活き他(ひと)が集える小さな牙城(とりで)に到達する為、無機を排せぬ防衛本能(ちから)の限度(かぎり)へ着目して生き、孤独を逸さぬ無駄な労力(ちから)に蛇算(ださん)を寄り添え崩れる間(ま)の無い孤高の努力を延長する為、崇拝出来ない俺の実力(ちから)は他(ひと)の〝旧巣(ふるす)〟を孤独に去り活き、人目の寄れない軟い〝囲い〟に浸透して活き、孤独顔した稀有の共鳴(ひびき)は白壁(かべ)の許容(うち)へと仕舞われていた。白壁(かべ)の自然(あるじ)が透明(まわた)に包(くる)めた俺への〝合図〟は他(ひと)の表情(かお)から温味(ぬくみ)を抜き取り快感(かいかん)を着せ、旧い〝教習(ドグマ)〟を何方(どちら)へともなく現行(いま)を貫く時間軸へと突拍子も無く推し進めて活き、旧い教習(ドグマ)は他(ひと)の足元(もと)にて新たに成り立ち、共鳴して生く徐(おもむ)ろ差から俺の孤独が心身(からだ)を配され独歩(ある)いて行くのを、俺と他(ひと)の孤独の空間(あいだ)に象(と)られた感覚(いしき)は斬新差に観る嗣業(わざ)の許容(うち)にて把握していた。不気味な温度が俺と他(ひと)との空間(すきま)には在り、何にも識(し)れない虚無の失走(はしり)が徒党に組まれて分散している。
*
此処(ここ)でふと空間(すきま)が表れ、人間(ひと)が遠くへ遠去(とおざ)かり何処(どこ)か悲劇と喜劇が姿勢(すがた)を消し去り、通り縋りの白紙の上には俺の分身(かわり)が便乗しながら、他(ひと)の精神(こころ)は拙い〝凄み〟に易く崩れて、思考の許容(うち)では俺と他(ひと)とを隔離するまま暗(やみ)の鼓動(うごき)に身を乗り出した。俺の両親(おや)には俺に対する孤独の表情(かお)から幻(ゆめ)が被(こうむ)る晴嵐(あらし)が遠退き透明(まるみ)が浮き立ち、家畜(ペット)の温味(ぬくみ)に段々近寄る人間(ひと)の立場を曖昧にした。お硬い思考(おもい)がふらふら寄り付くお固い過去へと妄想して活き、経験だけでは全く足りない固い神秘(ベール)を有耶無耶にした。
*
口火を切り出す拙い発声(こえ)から黄泉の一滴(しずく)がきらりと一つ蹴上がり、ほとほと醒め行く未知の樞(ベール)に神秘(ひみつ)を取り付け鑑賞している。鑑賞して居る独創(こごと)を切り取る俄かの呼笛(あいず)は朝な夕なに身悶えしながら慌てふためく二局(ふたつ)の神秘(ベール)を当然顔した現行(いま)の現代人(ひと)への非難に化(か)えた。〝確執・上手〟を俄かに気取れる不思議の表情(かお)した奥手の勇者は宙(そら)から箱庭(にわ)から桃源郷まで細く敷かれた浪漫と相(あい)せる無重の瀬戸際(きわ)まで仄(ほ)んのり灯(あか)るく、「明日(あす)」と呼べない「明日(あす)」へ向かうのを怜悧(つめ)たく遮る小声(こだま)の呼笛(よびこ)に拙く返せる浪漫を突き立て、現行(いま)の姿勢(すがた)へ真向きに対せた人間(ひと)の懸橋(はしご)を用意していた。曇った偏見(みたて)に気を好くしてから俺と人間(ひと)とは素晴らしいほど乖離をして活き、両者に操(と)られた旧い記憶の始終に於いて、俺の孤独は人間(ひと)の温味(ぬくみ)に滅法解(と)け出し、初めて独歩(ある)ける極太(ふと)い人煙(のろし)を横目に置いた。時計回りの経過に埋れた人間(ひと)の幻影(まなこ)に木洩れ日が漏れ、窮屈なれども基準を示せる強靭(つよ)い常識(かたち)が形成(すがた)を出した。孤独、孤独に、生れた後(のち)から現行(これ)まで俺と人間(ひと)との常識(かたち)を授けて、陽を向くまま散乱して来た人間(ひと)の感覚(いしき)は俺まで届き、暗(やみ)を観ている俺の両眼を孤高に活き生く敗者の幻影(まなこ)へその形成(すがた)を化(か)え、弾き出せない脆(よわ)い無感(点付け・オルガ)へ追悼するうち暗夜(やみよ)を敷いた。他(ひと)との会話がまるで立たない俺の周囲(まわり)の空白(そら)の景色は得体識(し)れずの空虚を侍らせ生気(オーラ)を従え、俺の分身(かわり)を如何(どう)でも好いまま継続させ行く透明(まわた)の歯車(くるま)を疾走(はし)らせてもいた。〝泡銭(あぶくぜに)〟から期待を裏切る、悶絶している黄泉の晴嵐(あらし)は段々失(き)え行く希望(ひかり)の許容(うち)にて、当然顔した孤独の戦士を俺の身元(もと)までふらりと運び、茶色い表情(かお)した黄泉の気色は俺の孤独をふらりと費やす無垢の感覚(いしき)を啄んでもいる。両親(おや)を荒野へ置き去りにして、俗世(このよ)の怜悧(つめた)い移り気の内、俺の孤独は外殻(から)を破れる浮世の〝希望(ひかり)〟を両手に取り次ぎ、明日(あす)の孤独に煩い続けた以前(かこ)の軌跡へ廻り還った。暗(くろ)い小路(みち)には余白(はば)の少ない空白(そら)の傀儡(どうぐ)が俺の身元へ寄り付く間も無く、奇声を発した過去の映りを余程に投げ掛け自由に失くなり、明日(あす)の生気と昨日の生気を俗世(このよ)に費やす人間(ひと)の正義にぽつんと見出し、俺と他(ひと)との空虚の形成(かたち)が道理(みち)を記(き)せない不動の辺境(まわり)を構築していた。言葉限りの憂慮の身元で束の間見ていた孤独の古巣(アジト)はこれまで通りに、俺の記憶を過去へ連れ去り他(ひと)と語らう不思議の習癖(くせ)から宙(そら)に浮べる奈落の暗(やみ)へと夢遊の様子を静観して居り、この後(ご)に並べる二局(ふたつ)の性(せい)には、俺から識(し)られぬ淡い涼風(かぜ)など充満して居る。今日の朝には何気に観ていた何時(いつ)もの食事に喜びながらも女性(おんな)の主観(あるじ)を追い求めて行く自分の容姿を追い駆けて活き、透明色した細い順路(みち)には煩悩(なやみ)の種子(たね)など空転(ころ)がり続け、俺の精神(こころ)へ密かに通える稀有な交響(さけび)は事毎自体(からだ)をか細くして活き、男女の二局(ふたつ)が一極(ひとつ)に落ち着き堂々足るのを当然顔して突き付けていた。旧い人間(ひと)への習癖(ならい)から見て、変り映え無い未完(みじゅく)の抗議に陶酔している俺の身元(もと)から消えて失くなる旧来(むかし)の旧友(とも)には〝二度と間見(まみ)えぬ淀みの晴嵐(あらし)〟が旧来(むかし)と変らず図太く生きて、旧来(むかし)に遊んだ回顧の傀儡(どうぐ)が常に手近に在るのを識(し)りつつ、俺の快感(オルガ)は彼等と会うのを極力避け出し、経過(ながれ)の許容(うち)にて飽きて止まない幼稚な輩の旧来(とも)の容姿(すがた)は、孤独を嫌える空間(すきま)の許容(うち)へと埋没していた。知ってる表情(かお)から見知らぬ顔まで、ありとあらゆる古参児(おっさん)顔した不良の男女が清閑(しずか)に連なり、明るい「明日(あす)」には俺を容(い)れない固い気質が散漫に在り、身寒い夜風に自ら発(た)って活き活きして行く場末の覚悟がその身を翻(かえ)す。無益な仕種が自身の空間(すきま)へ流れて行く頃過去まで活き得た女性(おんな)の無暗は真白(ましろ)の曇りへ吟味を隠し、慌てふためく親父の尻(けつ)から覚悟の遺産を承け取るまでには余程の文句(ことば)が要るものだなと、「明日(あす)」を活き抜く独創(こごと)の小躍(おどり)は意気地を繕い漸く発(た)った。明日(あす)の気色へ小さく囁く不思議の文句は俺の木霊を消して果て得る透明(まわた)の〝覚悟〟を文字へと化(か)えて、一生孤独で活きる者との孤独の褒美を見上げていながら、何も欠けない不思議の在り処を突き止めてあり、俺から始まる新たな思想(おもい)の幕開け等には、記憶の咲かない宙(そら)の肥(ふと)りが猛って在った。嫌いな女性(おんな)に事毎小さな苦労の泡(あぶく)を両手に観た儘、女性(おんな)の行方が身元と同じに得体知らずの悪の主観(あるじ)に返還され活き、俺が居座る男性(おとこ)の理性(さが)には脆(ゆる)く揺らす褥の結髪(かみ)から幼女(こども)が抜け出る自分の下らぬ遊戯の発散にも見え、身辺(あたり)に一層咲かない他(ひと)の文句(ことば)は空間(すきま)に埋れて未完(みじゅく)に延び活き、突っ伏す儘にて女性(おんな)を表す黄泉の嫉妬を打ち立てて居る。
*
「俺にとって女性(おんな)とは…、道理で上手く行かない筈だった…、女性(おんな)の〝生き血〟は女性(おんな)の膣(まど)から苦労を覗かせ、出産間近の減退して生く〝生(せい)〟の姿勢(すがた)を垣間見せるのが、その実、うっとりして行く女性(おんな)の一滴(しずく)は我慢の成らない幼児(こども)の仕種にその実(み)を発(た)たせて、自分勝手に毒々(どくどく)振舞う肥えた主観(あるじ)を順手に採った。純白(しろ)い七泡(あぶく)は袋小路の空間(まわた)に包まり、一層咲けない純血(あか)い絵具のち密な神秘にその実(み)を保たせ、女性(おんな)の〝羽振り〟は、男性(おとこ)の純情(こころ)が想える程度(ほど)には、恋に向けない自守(じしゅ)に活き着く延命(いのち)から見て、滑稽(おかし)な〝仕種〟を大事に気取れる人間(ひと)の孤独に失走(はし)って行けた。女性(おんな)は災いだった…。女性(おんな)の覚悟とは宙(そら)に跳べない家鴨の体に程好く落ち着き、自分の許容(かこい)を決して象(と)らない意味の凄みに雲散している。女性(おんな)の表情(かお)には破滅が空転(ころ)がり異風(いふう)が利かされ、何者かに依る素人(あらたなもの)から告白され生く〝意味の末路〟を崩しに掛かる。男性(おとこ)の文句は現在(ここ)では咲かない。男性(おとこ)の感覚(いしき)は現行(いま)には活きない。男性(おとこ)の強靭(つよ)さは女性(おんな)に対せぬ純心(こころ)を取り上げ、宙(そら)の彼方へ自分の孤独を理想(ゆめ)へ託せる空間(すきま)を見付けてそこまで生き抜き、葛藤して生く消され始める俺の延命(いのち)と景色から観て、男女が彩る幸福さえ無い無残な防御を自生に見て取り、明日(あす)の孤独へ徹して息抜く(活き抜く、としても好い)無笛(むびょう)の警笛(あいず)を真っ直ぐ観ていた。宙(そら)の足元(ふもと)は何時(いつ)まで経っても暗(やみ)が落ち着く無音に彩(と)らせて、人の足場を続けて見せない稀有の流行(ながれ)の余韻(あまり)を見て居り、人間(ひと)の景色に微妙に咲けずの俺の初出(いろは)を定めに並べて、独り善がりの前途を見破る孤独の音頭にして遣られていた。相乗り出来ずに、愛溺(あいでき)出来ない、理想(ゆめ)の女性(おんな)の表情(かお)の並びは、俺の夜目(よめ)から零れ始める明日(あす)への経過が〝祈り〟を見せ付け、結託されない自然(あるじ)の葬儀を識(し)る時、一向止まない〝電子〟の並列(ならび)の秩序(きまり)を掌(て)に取り迷走して行き、〝下界〟を損ねた天(そら)の辺りは雲行き怪しい美色(びしょく)の晴嵐(あらし)が失走して居た。微妙な音感(カリスマ)から成る〝意味〟の不得手が血色を見せ、俺の感覚(いしき)の生き理(みち)から鳴る二局(ふたつ)の孤独を衰退させ活き、透る間際の一番星には、現行(ここ)まで生き得た俺の温味(ぬくみ)が先行して生き、無意味を識(し)らずに無駄をも知らない独我(どくが)の初歩から一層抜け出る幻(ゆめ)の歩幅は狭さを報され、開拓されない姑息の緩みは「明日(あす)」の活路を唯々仕留める無限の快楽(オルガ)に絶望している。
*
女に腹を立て、女の顔を覗けず(怒り気味の顔にて相手を怒らせそうで)。男子学生と。喋ったが、横に今日の勤めで一緒に座ったもう一人の男児(おとこ)の姿勢(すがた)が居たので…(中途)(
*
事の起こりは些細な幻夢(ゆめ)から無性に絡まる私怨の明度に明然(はっき)りしており、男性(おとこ)と女性(おんな)の対(つい)の初出(いろは)に、既成に基づく落ち度の保守(まもり)が散行(さんこう)しながら、不意に固まる無根の意識は悲劇を見せ付け俺へと失(き)えた。
俺の手振(てぶ)らは宙(そら)から覗ける淡い景色に微妙に巻かれ、明日(あす)の在り処を一向識(し)らない人の定めに埋没させられ、睡魔に寄り添う二局(ふたつ)の精神(こころ)は同化して活き、俺に識(し)られぬ深手の瘡(そう)へと邁進して活(ゆ)く。俺の表面(おもて)に彩(と)られた両眼(まなこ)は脚色(いろ)の付き得ぬ無音が空転(ころ)がり、慌て咲けない男児(おとこ)の純心(こころ)は無駄に独走(はし)らず生き恥さえ無い、〝孤独〟の役目を演じていながら碌(ろく)に活きない無益な延命(いのち)を、現行(ここ)から果(さ)きへと直進して行く〝俺の順路〟へ開眼させた。俺の四肢(てあし)は見知らぬ感覚(いしき)に操られて活き、初めから成る〝俺の感覚(いしき)〟を幻(ゆめ)に保(も)たせて脚色している。
~役割~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji
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