~自由~(『夢時代』より)
天川裕司
~自由~(『夢時代』より)
~自由~
俺のベッドが地上から可成り高い所に作り上げられていて、その上で少し寝て居たが、
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躓きながら、俺の躰は幻(ゆめ)の模造(つくり)の蚊帳の許容(なか)から、初めて外界(そと)まで出歩く〝日止め〟の事始(こと)に見紛う主従の主情(あるじ)に遭遇して居る。
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当然か急にか怖く成り、ベッドの再構築を計ろうとして、一度ベッドから何とか降(お)りて、再設計の為に地上から見上げたりして、
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苦しいながらに俺の心身(こころ)は精神(うち)を貫き、幻見(ゆめみ)心地に悪路(あくろ)を忘れる生者(せいじゃ)の感覚(いしき)を微妙に葬り、俺の心身(からだ)を葬る覚悟は地面の底(した)から中々跳んだ。失敗続きの現代人(ひと)の創意は俗世(このよ)の成功(かたち)を報酬に見て、自分無沙汰(じぶんぶさた)の億劫事(めんどうごと)など露の間(ま)に間(ま)に見忘れ始めて、明日(あす)の仕業(しごと)を継続するのに一秒足らずを〝永久(とわ)〟にして居る。
人間(ひと)の生歴(きおく)の深い経歴(きおく)は四季(きせつ)を見送る素振(そぶ)りさえ止(や)め、昨日のtempest(あらし)に遭遇するうち手許を狂わす〝素人操作〟の生者(せいじゃ)を捕まえ、自分の懐(うち)から見果てる幻(ゆめ)さえ宙(そら)の星々(ほし)へと温味(ぬくみ)を翻(かえ)せる無適(むてき)の信者を生長させた。誰も彼もが俺の目前(まえ)から独房を出て、浅墓なる儘、血色優れぬ無毛(むもう)の古巣(アジト)へ狂利(くるり)と返れる実腕(じつわん)を保(も)ち、現代人(ひと)が現行(これ)まで造った〝常識(かたち)〟は転々(ころころ)脆々(ぼろぼろ)、姿形(かたち)を諦め、明日(あす)が〝真坂(まさか)〟へ進む頃には、俺の記憶を暗黙(とおく)へ置いた。「精神(こころ)の揺蕩(ゆらぎ)は初の幻(ゆめ)から空気(まわた)を通す」と、俺の表情(かお)へと出会った知己には旧来(むかし)の言語が感覚(いしき)を取り持ち、俺の注目(まわり)へ集まり始める古い匂いの〝騎士道達〟には、手と手と目と目を「上の空」から永く繋げる女神の〝古巣(アジト)〟がこんもり光り、光った果(さ)きには俗に見積もる女性(おんな)の満膣(ようき)が正義を連れ去り沈黙して居た。旧い見地に脚色付(いろづ)きながらに俺の〝見方〟は千変して活き、俗世(ぞくせ)に配する黄泉の深縁(ふかみ)が紺(あお)い一星(しずく)に零れていながら、未だ未覚(みかく)の運(うん)の定めが何にも変らずじっとするのを俺の背後と両眼(まなこ)で延々足るまま聴き惚れて居た。「明日(あす)」への明かりが奇妙な空気(まわた)を運起(うんき)に定めて、俺の精神(こころ)が宙(そら)から降(ふ)るのに困惑さえして、他(ひと)に映れる現代人(ひと)の大手が未完(みじゅく)を伴う一声(こえ)を探れば、俗世(このよ)に見果てぬ端(はじ)の方から余命(いのち)が湧き立つ滞りを観て、俺の背後にうっそり灯れる静かな愚行(おろか)を為す現代人(ひと)達には、止むに止まれぬ旧い規律(おきて)が永久(とわ)を窄めて解散して行く。
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見上げれば見上げる程、その高さが凄いものだと思った。
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異常な高みに上昇していた俺は現夢(ゆめ)から放り出されて、俗世(このよ)を活き抜く矮小(ちいさ)な巨躯から〝大樹〟を引き抜き、慌て眼(まなこ)で出立して行く孤独の門扉を眺めて居ながら、人間(ひと)の感覚(いしき)を吸い込む虚空(そら)には〝自分〟を射止める除命(いのち)が在るのを極めて見定め、白い門扉に追従して生(ゆ)く俺の孤独は幻想(ゆめ)まで建てた。
無い物強請りに我欲を纏める現代人(ひと)の謳歌は強靭であり、旧い躰を嗣業から退(ひ)く無茶な誇力(こりょく)は懐かしさを観ぬ斬新差(ざんしんさ)を観て、本来から成る人の努めは人肉(にく)に埋れて表皮を片付け、人間(ひと)を見守る宙(そら)の果てから自己(おのれ)を費やす私業(しぎょう)に出るのは〝杭〟を失(な)くせる人間(ひと)の両眼(まなこ)に快感(オルガ)を宿して鮮明にも成る。
自己(おのれ)の肢体(からだ)が四肢を頬張り精神(こころ)を失くせる宙(そら)の暗(やみ)へと上昇(のぼ)って逝く内、老若男女の足出(あしで)を問わずに我欲(よく)を見限る正意(せいい)が立つのは、現代人(ひと)を侍らす現行(いま)を顕す人の歴史に、「禍根を衒わぬ空虚が在る」との主言(しゅげん)を与ける人に彩(と)られた未知の自動(うごき)の〝密室〟から成る。伴(とも)の言動(うごき)は〝死んだ作家〟に一切見取れす、精神(こころ)を病ませる憂いの清閑(しずか)に一星(ほし)が降(ふ)るのと同様にして、「意味の判らぬ予知が利く」との反証(あかし)を目立たせ落着して居る。他(ひと)の背後にひっそり置かれた〝貫き通せぬ人影(かげ)の迷路〟は俺の精神(こころ)を上手に擁して、時を定めぬ〝密室(へや)〟の明度を感覚(いしき)に乏しく明光(あかり)から引き、黄泉の迷路と俗世(このよ)の迷路を一つ処で土塊(かたまり)とした。
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「金が無いのが付与の切れ目」
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と泥濘(どろ)の合間に〝自分〟を仕上げて、現代人(ひと)の蔓延る〝競争迷路〟へ〝無暗〟と駆け出す未完(みじゅく)の人形(すがた)は、相も変らぬ空気(もぬけ)の感覚(いしき)と連動していて、明然(くっき)り吠え立つ早朝(あさ)の日熱(おんど)を虜にした儘、人間(ひと)が飛び立つ無垢の境地と何ら変らぬ環境(まわり)を定めて、俺と現代人(ひと)との愚かな絆を不意に惑(まよ)わす意識を買った。幻想(ゆめ)を定める俺の周囲(まわり)の日熱(ねつ)から飛び出す不要な独創(こごと)の概(おお)きな連呼は、小言を侍らす終(つい)の躍動(うごき)に契機を見立てて順応して活き、現代人(ひと)を蝕む概(おお)きな煩悩(なやみ)の自然(あるじ)から成る手腕(うで)を講じて、日焼けして居る純白(しろ)い生肌(はだ)には紋章が立ち、俺と現代人(ひと)との脆(よわ)い葉末(ことば)を好く好く卸(おろ)せる〝向き〟の調子に鳴動(うご)かしても居た。
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いつものベッドにエレクトーン用の椅子を立て、それが枕元に在り、(ベッドは標準的な高さで合った為)ベッドは脚(あし)がそのまま聳えるように高いから、脚の高い上に尚更、エレクトーンの椅子の部分の高さが加えられて、高さが相当な物に成っていたのである。
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刻み始めた俗世(このよ)の意識のメンタル面から、俺の目前(まえ)へと自体(からだ)を撓(しな)らす〝現実(ベッド)〟の高さは相当(かなり)可細(かぼそ)い仕切りを決め出し、俺の背中は自分独りの〝密室(へや)〟の広さが〝独り〟に対して充分明るい間取りだと見て、明日(あす)に倣える景色から成る現世(うきよ)の自形(かたち)に曖昧さを観た。夢の欠片を拾い集めて日々に留(とど)まる俺の残骸(むくろ)は適わぬ夢路を前方へと置き、現行(いま)の果てから朝陽が来るのを儚く淋しく応援して居る。今日から明日(あす)へと俺の胸中(うち)から散々漏れ生(ゆ)く活気の姿は勝気を誇れず、余所を見送り、他人顔した冷たい人肌(はだ)から自己(おのれ)の遣る気が無感なのさえ大事に受け止め、空気(くうき)に見得ない自己(おのれ)の夢には夢想(むそう)の在り処を重(だぶ)らせて居た。他(ひと)から蔓延る俗世(このよ)に対する倦怠感には、俺の孤独をちょいと頬張る無想の美味から暗(やみ)が赴き、俺の記憶の旧友(とも)の容姿(すがた)は俺の嫉妬に膨張させられ、暗い路地から明るい街へと宙(そら)を跳ぶほど虚(うつ)けに観得た。俗世(このよ)を配する表舞台から裏の墓地迄、俺と人間(ひと)との寝間の陰から虚空に向かえる軽い吐息が揺ら揺ら上がり、俺の背中に吐息が立つのを浪漫の陰から追憶して居る。追憶して行く俺の心の正義の在り処は、他(ひと)に呼ばれた淋しさには無く、自然(しぜん)に留(と)まれる淋しさから観て身近に在って、〝自分の心身(すがた)〟を散々気取れる無重の牙城(しろ)には破片(かけら)さえ無く、俗世(このよ)の暗(やみ)から静かに透れる無断の虚ろに傾聴して居る。
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で、ベッドは何時(いつ)も通りで、柵なども無いから、結構直ぐに落ちて仕舞いそうで、危険を感じ、居ても立っても居られなく成り、思い立ったら吉日の早さで再構築を俺はし始めて居た。
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幻(ゆめ)の間(ま)に間(ま)に現世(うつしょ)の孤独が俺に至って、父と母から俺の心身(からだ)が概(おお)きく離れる無幻(むげん)を見て居り、生きる調子は事毎静まる夢の藻屑に操られていた。俺に与(く)まれた益荒(ますら)の男性(おとこ)は独り上手に他(ひと)を排して、自分の周囲(まわり)に相当根深い自然(あるじ)を睨(ね)めつつ、未覚(みかく)の女性(おんな)に期待をして居る。期待は何時(いつ)でも俺の胸中(うち)から勝手に飛び出し、女性(おんな)の麓を素知らぬ顔して通り過ぎ去り、俗世(このよ)を恨める斬新(あらた)な残像(のこり)の思案を以て、人間(ひと)と現代人(ひと)との木霊の流砂へ呑み込まれて行く。現代人(ひと)に会えない俺の流石は時折り忙(せわ)しく、血色豊かな現代人(ひと)の調子を馬鹿にして居り、惨い程度に現代人(ひと)を罵る俺に宿れる嫉妬の熱気は、宙(そら)を見ながら冷めるのを待つ。人間(ひと)の元から概(おお)きく離れる現代人(ひと)の煩悩(なやみ)が天河(てんが)に揺られて、俺の脳から「世界の脳まで所知れずの雲母を観る内、母を識(し)らずに主(あるじ)を識(し)れない躍動(うごき)の範囲(うち)にて蠕動して居る。呼吸のし難(にく)い現代人(にさんかたんそ)の躍動(うごき)の範囲(なか)では俺の保(も)つべき〝待ち処〟が無く、通り過ぎては直ぐに冷め行く古い孤独に〝期待〟が仕上がり、現代人(ひと)に生れた誰も彼もが全く失(き)え去り〝無駄〟に募って、俺の姿勢(すがた)は完全黙秘の宙(そら)に留(と)まれる孤独を識(し)った。これで俺は完全に孤独と成った。
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俺は眠りながらも、大学の講義に出席して居たようで、その講義から抜け出したが、これから行くのかして、何とか出席カードを書き、ポイント稼ぎに必死に成っていた。故に、構築を計りながらも、早く終らないかそわそわして居た。又、既に出席して居た様子も在り、先生は男と女一人ずつであり、その二つは仕切られた別空間に在り、故に俺は、両方出席してポイント稼ぎが出来ると思って居た。
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無知の範囲(うち)から未知が這い出し、俺を取り巻く空間(すきま)の闊歩は異空間へと敏動(びんどう)して行き、明日(あす)に成っても今日と同じに、〝向き〟を呈せぬ幻(ゆめ)の迷走(まよいに突き出て在った。女性(おんな)の我体(からだ)を宙(そら)に観るまま俺の生歴(きおく)は段々薄れて、黄泉も俗世(このよ)も区別の無いまま宙(ちゅう)へ漂う微弱(よわ)い人煙(のろし)を腿に観て居り、諸(もろ)に体が透けて活き立つ遠い仄香(ほのか)に体臭(におい)を棄(な)げた。俗世(このよ)に活き得る全ての水源(みなも)を宇宙の果てから極致(きわみ)に見て居り、女性(おんな)の感無(オルガ)を馬鹿に見て取る貴重(けう)な若輩(やから)を自己(おのれ)に寝かせて、他(ひと)が周囲(まわり)に変らず居るのに一人の呼気(いき)さえ確認出来ない現実(リアル)の幻(ゆめ)から脱出して見た。そうして周囲(まわり)を隈なく見渡す俺の目前(まえ)では両親(おや)の気色も定かで無いまま遠い基地にて身軽の強靭差(つよさ)を得て居たようで、俺との生絆(きずな)を解消出来得る哀しい温度を放散していた。理系の俗世(このよ)に段々体裁内実(かたち)をナイズされ生く現代人(ひと)の檻から、俺に生れた未完(みじゅく)の若輩(やから)は独歩(どくほ)を認(したた)め、強靭(つよ)い愚行(おろか)に出発して行く不明の目付きの可愛い児童(こども)を、俺の独歩(どくほ)と共に独歩(ある)ける未開の人質(じんち)に携えさせた。
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俺はその付近で自分の家を買って居り、まるで別荘のようにしてそこに住んで居り、ベッドの再構築に頭側の為に普段しない事を始め、材料等を買って帰った内に、ベッド(ベッド周り)が大変になり、火事になった。
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普段に目にする男・女(だんじょ)の縺れに抗う形勢(かたち)で、俺の精神(こころ)に安く棲み付く〝抗う悪魔〟は明日(あかり)を捜して勉強家と成り、生長して行く遠路(えんろ)の途中(はざま)で、女性(おんな)の内実(なかみ)に色濃く生き抜く身軽(ゆかい)な輪舞曲(ロンド)を作曲して居る。作詞仲間を自分の周囲(まわり)に一向知らない無邪気な生歴(きおく)は俺へと還り、俺の精神(うち)にて未完(みじゅく)に熟した厚い感情(ゆらぎ)に便乗するまま幻(ゆめ)に掛かれる空気(しとね)に化け生く未完(みじゅく)の歯止めを児童(こども)に立たせて、真白(ましろ)く映せる幻(ゆめ)の感情(ゆらぎ)は俺の精神(こころ)に再生して活き無駄に孵せる悪魔の調子を隠蔽している。四百万もの不貞の女性(おんな)が俺の周囲(まわり)に無機と蔓延り、〝向き〟の調子に落胆して行く俺の無表情(かお)さえ黙認しながら、やがては正義を黙殺して行く強靭(つよ)い正義を無断に描(か)いた。女性(おんな)の集落(アジト)に真逆(まさか)に陥る男性(おとこ)の生粋(もと)には俺も居座り、幻(ゆめ)の調子と俗世(このよ)の調子が現代人(ひと)の体裁(かたち)に灯せる憎悪へ奇妙に絡める手腕を携え、自己(おのれ)に集まる能力(ちから)の宿りに驚愕する儘、俺の実りは現代人(ひと)の実りと真逆(まぎゃく)に溶け込む幻(ゆめ)の絵具(えのぐ)にその実(み)を透かせて、明日(あす)に跨る〝今日〟の調味を不貞に寝そべる〝女性(おんな)〟の躰に刷り込ませて居た。
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ベッドの頭側のエレクトーンの椅子を(恐々)地上へ運び終えた直後の事だった。その火事が何故(なぜ)か別荘に燃え移り、中に居た父親とオルソンが倒れて居た。俺は〝これはもう大変な事だ〟と思い出したように捉え、取り敢えず二人とも無事で、俺は初めてそんな事件で人が助かりその為に泣く、という事が分った気がした。オルソンは俺が助けた様子で、父親は火事の煙を吸って意識朦朧で助かって居た。
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矛盾を嫌える俺の教癖(ドグマ)の断片から観て、身寒い深夜が〝裏切る男女〟の精神(こころ)を擦り抜け、俺が居座る現行(いま)の雑音(ノイズ)に應々(おうおう)足るまま意識を繋げる「不変の主導(あるじ)」を矯正した儘、嫌な記憶の一部を排せる無理の独断(けっか)を認識して居た。人間(ひと)が好きゆえ現代人(ひと)から離れた孤独の謳歌は算段して活き、自分の脳裏に蔓延る気色を一日一日巡回して行く甘い自識(じしき)に思惑(こころ)を奪われ、俗世(このよ)に蔓延る男・女(だんじょ)の人渦(うず)から信頼(たより)を失くせる純白を観て、自分が介せる古郷(こきょう)の水源(みなも)を余程に愛せる迷路の行方を至順(しじゅん)に追った。巡業(じゅんぎょう)して行く無地の生歴(きおく)は何時(いつ)から見得ても「孤独を愛せる浪漫」を感じる児童(こども)の躍動(おどり)を観て居るようで、俺の意識に蔓延る〝愛〟には、生き得る経過(みち)での所々を編集して行く我欲(よく)の未完(みじゅく)が完成している。遠(とお)の終りに寝首を傾げる未覚(みかく)の〝仄香(ほのか)〟を愛した教癖(ドグマ)は、未覚の身構(かま)えに没頭して生く旧い悪魔が既存として在り、鈍い笑顔で天を仰げる猿(ましら)の経歴(きおく)を彷彿して生く………。
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父親は、俺がオルソンを助ける間に誰かに助けられて居たようである。父親は虚言を言って居たようだが、何を喋っているのか判らない状態だった。別荘に、二人共居たようであり、しかし何故か火は無かった。何処(どこ)かで燃えているだろう、と煙の量から推察するが、結局、最後まで何処(どこ)にも火は無かった。俺は二人が助かった為に、その場でしゃがみ込んで泣いた。周りに人目が在った、と言う事もあった為である。又、この一連の事件を説明して、殆どの講義時間を遅刻して全く出席出来ない程だった。〝男の先生〟が受け持つ講義の方を特に免除して貰う心算(しんざん)を立てて居た。
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孤高の記録を巧く掲げた歴史の水源(みずも)は、俺の文句(ことば)を器用に想わす宙(ちゅう)に寝そべり心算(しんざん)から漏れ、俺の鼓動(うごき)は文句(ことば)を無視して先方(さき)へと居座り、他(ひと)の視(め)に付く〝拾い場所〟からじりじり退(さ)がれる五月蠅(あわ)い日溜(たまり)を湧かせて在った。俺の口から諸々漏れ出る〝行方知れずの波動〟の生歴(きおく)は女性(おんな)の肉体(からだ)を基準(ベース)にする内、黄泉と暗地(やみ)とを散々闊歩(ある)ける〝独語の土手〟から自己(おのれ)を外(ず)らし、現代人(ひと)の愚行(おろか)が愚図を呈してのろのろ競歩(ある)ける俗世(このよ)の泥濘(なまり)を排せる豊穣(ゆたか)な経歴(きおく)を蔑ろにして、現代人(ひと)と人間(ひと)との明然(はっき)り違った運命(さだめ)の岐路から、自分に適した幻(ゆめ)の生歴(きおく)を巧みに抜き出し編纂して居た。幻(ゆめ)の範囲(うち)にて器用に撒かれた精神(こころ)の沈みは体勢(かたち)を整え、俗世(このよ)に遺れる男・女(だんじょ)の不様を開けっ広げに嘲笑して生く怜悧(つめ)たい呼気(いき)へと巻かれて行った。桔梗の葉裏(せぼね)が涼風(かぜ)に紛れて青空へと跳び、無残に失くせる現代人(ひと)の温味(ぬくみ)を幻(ゆめ)に放(ほう)って、明日(あす)に跨る「自分」の火の粉が活気を観るほど胸を痛めた。痛感して生く老いの古きは絆を掘り出し、昨日の寝床に既に埋れる現代人(ひと)の体動(うごき)を膨(おお)きく憎み、震えた両手は小躍(おど)る〝火の粉〟を四畳の縁(ふち)から密(ひっそ)り眺(み)て居た。現代人(ひと)に逸れた軟裸(やわら)の女性(おんな)が在る事無い事苦悩に打(ぶ)つけて、自分に見紛う矮小(ちいさ)な活気をその身に観てから、自分の寝床に男性(おとこ)を入(い)れ込む魔性(ましょう)を身に付け、しどろもどろの正義の精神(たて)から自分を掲げる雄々しささえ見て、やがて儚く俺の麓(そば)から現代人(ひと)の流行(なが)れる死地へと辿り、自己中極まる暗雲さえ無い日向の最中(さなか)へ、よたよたよたよた、低く見据えた目線を掌(て)にして余程に静まる空想を観た。誰の呼笛(あいず)も既に届かぬ俺の周囲(まわり)の聖地の類(るい)には、明日(あす)の生歴(きおく)が自分に振り向く寿命(いのち)の発声(さとり)を暗(あん)に遣りつつ、他(ひと)の従順(すなお)に決して知れない現代人(ひと)の感無(オルガ)の絶頂さえ置き、人間(ひと)の若さがするする流行(なが)れて辿り着けない〝俺の呼笛(あいず)〟の出元を待った。
紺(あお)い水面(みなも)が白城(しろ)の外景(けしき)を緻密に晒して、俺の幻想(ゆめ)から温差(ぬるさ)が跳び立つ不動の好(よしみ)がすんなり出で立ち、〝中森明菜〟の性(せい)の在り処が精神症(せいしんしょう)からほどほど毀(こぼ)れて脆弱(よわ)い〝旧巣(ふるす)〟を女性(おんな)の寝床へ緩く化(か)え行く、苦労の神秘を音消(おとけ)しにした。俺の白紙にこんもり零れる微(よわ)い文字から落胆が在り、妬み・嫉みのエリート達から現代人(ひと)の我体(がたい)が大きく膨れて幻(ゆめ)を見る間(ま)も露と無い程、遠い眺めに落着して生く澄んだ精神(こころ)を平定して居り、俺の背中を端正(きれい)に仕舞える女性(おんな)の主観(あるじ)は、二度と現行(ここ)へは戻って来れない希薄の労苦を大事にして居る。時が経つのが右から左へ浸透する内、明日(あかり)を忘れた聾唖の金糸雀(とり)から現行(いま)を忘れぬ幻(ゆめ)の畔(ほとり)を引用する内、端麗(きれい)な頭脳(あたま)は現代人(ひと)の愚行(おろか)を馬鹿にした儘、野引(のっぴ)き成らない不快の用途にその実(み)を掲げて集中して活き、呼笛(こだま)の返らぬ現代人(ひと)の身元で精神から来る黄泉の還りを密かに待った。表情(かお)を隠せる、無為を着飾る黄泉の信途(しんと)は、精神(とし)の児童(こども)が散々喚ける無為の範囲(うち)にて無機を占め奪(と)り、他(ほか)の信徒へ絶対遣らない糧の身元を追い求める儘、その儘ほろほろほろほろ身悶え失くせる幻想(ゆめ)へ傅き、月夜の晩(よる)から早朝(あさ)を見出す間抜けな音頭に小躍(おど)り狂った。現行(いま)の宙(そら)からゆっくり積もれる〝赤い女〟の交渉術とは、俺の背後に野平(のっぺ)り焼き付く嫉妬の暴嵐(あらし)を誘拐して生き、しどろもどろの現代人(ひと)の身欲を博しに掲げて衰退して居り、俺の身元を少し離れた没我の温味(ぬくみ)を、活きる最中(さなか)に自分で拵え、聡明豊かな順路を独歩(ある)ける無数の記憶を糧として居る。
〝お山の大将〟、〝五穀豊穣〟、…〝山彦の詩(うた)〟、〝意味の位置付け〟、〝闇雲の幻(ゆめ)〟、〝小鳥の賛歌〟、〝小鳥の羽ばたき…〟、〝人間(ひと)の没落〟、〝現代人(ひと)の煩悩〟、〝自然(あるじ)の昇華〟、〝気違い・迷惑〟、〝有り触れ行く恋〟、〝温味(ぬくみ)の幻(まぼろし)〟、〝人間(ひと)の春日井〟、〝子供の恋歌(れんか)〟、〝画匠の詩詠(うたよ)み〟、〝正義の沈没〟、〝無想の着流し〟、〝夢想の雄叫び〟、〝主観(あるじ)の舵取り〟、〝未完(みじゅく)の小躍(こおど)り〟、〝未完(みじゅく)の下多女(はしため)〟、〝未完(みじゅく)の本能〟、〝文句(ことば)の保(も)つ意味〟、〝空慮(くうりょ)の審判〟、〝逆(さか)さの衰退〟、〝逆さの吟味〟、〝逆さの正義に逆さの悪魔〟、〝自明の生命(いのち)〟、〝自明の延命(いのち)〟、〝自明の寿命(いのち)〟、〝自白の真理〟、〝自粛の衰退〟、〝自明の余命(いのち)〟…、幻(ゆめ)の郷里(はし)から明るい晴嵐(あらし)が真逆(まぎゃく)に流行(なが)れて、俺の孤独を貶めようなど終(つい)にも考え自白を為したが、明日(あす)に亘れる「自明」の背中が激しく拡がり俺を空転(ころ)んで、魅惑の果てには自然(あるじ)が着飾る暗(やみ)の神秘が悶絶して居り、俺の生歴(きおく)を行進させ得る未重(みじゅう)の重味(おもみ)が地中に成った。宙(そら)に束ねた、人間(ひと)に操(と)られる幻想(ゆめ)の呼笛(あいず)は、〝蝙蝠傘〟から四旬に流行(なが)れる運の強靭差(つよさ)を鷲掴みにして、「遥か…、遥か…、」と不問へ傅く〝魅惑の郷里〟を幻(ゆめ)の滅びに減滅(げんめつ)した儘、儚い〝衒い〟に怠けた人間(ひと)には夢遊の弄(あそ)びが大きく立った。
滔々流れる人間(ひと)の川面(かわも)は漆黒(くろ)い水面(おもて)を浮き立たせて置き、自然(しぜん)と流れる微(よわ)い空気(しとね)の過敏の態度に浪曲(おと)を流して悶々していて、俺の心身(からだ)が暗(やみ)を透さぬ自然(あるじ)の極度(きょくど)を垣間見た後、唖然とし尽(き)れぬ無意(むい)の歩速(ほそく)を捕えて在った。俺に対する父にも母にも俺の全てを充分射止める千里(せんり)の業(わざ)など携(も)ち得る間も無く、俺の水面(みなも)にその身を棄(な)げては、日夜日夜と無視する目を持ち虚空へ還れる懐(うち)の温味(ぬくみ)を温存した儘、遥か遠くの暗気(しとね)の内(なか)へと、必ず居直り酔狂を問う。〝早足歩き〟がどれ程経っても俺に馴染まず、暗(やみ)を払(お)とせる無為の空気(しとね)がその頭(あたま)を挙げ、活きる人柱(はしら)の徒労の在り処を果(さ)きに見付けて独歩(ある)いて行っても、「如何(どう)した事か…」と呆(ほう)ける間(あいだ)に、女性(おんな)の姿勢(すがた)はそのまま空気(しとね)に騙され始めて、男性(おとこ)の姿勢(すがた)もそのまま空虚(しとね)に騙され始めて、生きる心地に終始を見果てる愚かな弄図(ろうず)を画策して居る。
人間(ひと)の〝暗(やみ)〟には自然(あるじ)の全景(すべて)が御免被る〝立派な虚脱〟が雲散しており、〝自分〟の実体(からだ)が白雲(くも)の隙(かげ)から陽光(ひかり)を照らして下降するのを、明日(あす)の暴徒にしっかり見立てた現代人(ひと)の〝進化〟に追随させ活き、滑稽(おかし)く奮(ふる)える幻(ゆめ)の断間(あいだ)に「未知」が謳える憂慮を好く観て、右も左も消して分らぬ「理由」の坩堝を透明にした。漆黒(くろ)い悪魔は俺の発情(ほてり)の何秒毎から心地に脚色取(いろど)る黄泉の空気を事毎可笑しく俺に伝えて、明日(あす)の〝郷里〟へそのまま舞い生く無知の頬平(ほっぺ)を抓って在った。俺の知己(とも)から「蟲師(むしし)」の画映(ビデオ)を引用した儘、知己(とも)の表情(かお)には小虫(むし)の彩る軟(やわ)な吟味が重なり始めて、京都の冷風(かぜ)にて素顔を醒ませる惨い出足を葬り尽し、妄想から成る万葉(ことば)の限りを蹂躙した儘、黄泉を彩る神秘(ふしぎ)の小石を宙(そら)へ積み上げ〝読感(どっかん)〟を張る。知己(とも)の表情(かお)から一連追尾の追い打ちが成り、妄想(おもい)の出足に直接夢見る〝気配の音頭〟は怜悧(つめた)さを観て、懐疑(レトロ)を醸せる夢遊の迷宮(めいろ)に殉教して行く現代人(ひと)の孤独は没我を刳り抜き、軟い暗気(あんき)を自由に着飾る少年(ちい)さき妄想(ゆめ)からその実(み)を気取れる漆黒(くろ)い微温味(ぬるみ)を真横に据え置き、二人で見果てる夢の物語(はなし)を冷風(かぜ)の内(なか)にて読了して居る。
出来事(こと)の始めにぴゅうんと唸れる幾何の範疇(うち)から、空気(しとね)の範疇(うち)から、空気(しとね)の胸元(むなも)の真綿に包まる夢遊を翳した暴嵐(あらし)が鳴り止み、冷風(かぜ)の内(なか)にて発狂して行く罪人(ひと)の孤独は孤独を牛耳り、「少女地獄」にその実(み)の名高い夢の呼笛(あいず)を再鳴(さいめい)させた。さらっと着流す俺の体温(ぬくみ)を空気に葬り、自己中だてらに人間(ひと)を牛耳る悪夢の範囲(うち)から現代人(ひと)を彩る、生成豊かな八方人(はっぽうびと)等、俺の周囲(まわり)にわんさか呼気(いき)する傀儡(どうぐ)の造りを再来させて、俺の目前(前方:まえ)では四方(しほう)を囲める情壁(かべ)の伝いにその身を忍ばせ往来させて、俗世(このよ)の斬新(あらた)を充分識(し)れない現代人(ひと)の我欲の強靭差(きょうじんさ)を説き、一層続ける幻(ゆめ)の還りの破れた進路は、糧を識(し)らずに舗道を競歩(ある)ける孤独の限度(かぎり)を漏らして在った。
*
ドリフのメンバーが荒井が居た頃のメンバーで、何処(どこ)かの養成所のような所に来て居り、俺はそのメンバーの内で自分のみの立場を確立して居り、自分も所属しているものだからそのドリフのメンバーとして格好を付け、余所者(よそもの)は、同じくコメディアンの様(よう)だったが、外国人のように、自分達から遠い存在に思えた。俺と同じドリフのメンバーとして格好を付け、余所者に対して刃(やいば)を向けていた。その余所者は、同じくコメディアンのようだったが、外国人のように、自分達から遠い存在に思えた。俺と同じくドリフのメンバーで他の誰とも似たようにいた中年も、俺が昼に作った不味い〝海老のケチャップソース和え〟を、同じ鍋を突(つつ)くように大事に食い、又その鍋を、別の用途で使っていた。
*
化(か)わった景色が気色と薄れてほろほろ零れて、現代人(ひと)の感覚(いしき)が微妙と成るのを永久(とわ)に名高い琵琶の詩吟(かたり)に、えっちらおっちら、虚無を語れぬ現代人(ひと)の手垢を拭(お)とした内にて、遠い物語(はなし)にするする化(か)われる暗(やみ)の儀式へ従う形式(かたち)に、再び嘶き、俺の幻想(ゆめ)から翻(かえ)れる間際の発情(ほてり)の不断(はざま)に這入って来て居る。白色(しろ)い独語(かたり)は俺の白紙を疎らを抜け活き、一つ覚えの一事(いちじ)を仕留める煩悩豊かなその身の擦(こす)りを、女性(おんな)の身形(かたち)にこそこそ宛がい憤悶(ふんもん)豊かな発情(ほてり)を観(み)せたが、無機の〝水面(みなも)〟にすっかり萎え生く女性(おんな)の性器も生気も射止めず、春空(そら)を飛び交う小鳥の羽音(はおと)に真逆に感じる聴覚を向け、現代人(ひと)の孤独へすとんと透れる自然(あるじ)の厚さは益々色濃く、男性(おとこ)と女性(おんな)の斬新(あらた)の一歩を当然顔して暗(やみ)へと葬る。―昨日から観た今日の温味(ぬくみ)を滔々流れる流行下(りゅうこうか)に遣り、奇妙が遮る孤独の前途を諸刃の〝発情(ほてり)〟に保(も)たせた儘にて、私用(しよう)に費やす性(せい)の独歩(あゆみ)に夢を観たまま沈溺して居る。
同じ残骸(むくろ)を当然顔して羽織る現代人(ひと)から苦労の斬新(あらた)が空気(しとね)を横切る過労の調子を明朗に割き、潔白(しろ)い文殊が〝最新〟着飾る「ハッピーエンド」を気軽に葬り、人身(ひとみ)に費やす五月蠅(あわ)い他虐(エス)には、文句(ことば)の多くを消して語れぬ脆(やわ)い集落地(アジト)がすんなり建った。独りの姿勢(すがた)に空気(しとね)に透れる旧巣(ふるす)を感じ、他人顔した他人の純度を酷く厭(きら)える自分が掃(は)き立ち、児童(こども)の頃から大事に見守る少年(ちい)さな覇気には浮輪が投げられ、五月病(うるさ)い煩(やまい)にすんなり昂(たか)まる贅沢気質が生長して生く。「贅沢気質」の成長して生く俺の気儘は一足跳(いっそくと)びにて、知人と知己との緩い区別を朗(あか)るく観た儘、幾様(いくよう)にも鳴る友の呼笛(あいず)は空気(もぬけ)を呈して木霊を返さず、緩々緩々、日内(ひうち)に流行(なが)れる気分の良好(いい)さえ逆手(さかて)に翻(かえ)せる幻夢(ゆめ)の多さを練り始めて居た。幻(ゆめ)の頭上(うえ)から〝馬幌(まほろ)〟を想わす透明差(とうめいさ)を保(も)ち、明日(あす)の目下(ふもと)へぽんと息衝く俺の躰は精神(こころ)を保(も)たされ、現行(いま)の〝欠伸〟が虚遁(きょとん)とするうち人の鋭気(ナイフ)に空転(はこ)ばれ得るのを、現行(いま)を離れた未開の水面(みなも)で矮小(ちいさ)く頷き容赦を観て居た。至当に纏わる「経過」を離れた〝容赦〟を見るのは人の砂漠で一等星(ほし)を見るのに寒い最中(さなか)の感情(こころ)を諭され、哀れに凌げる勇気の破局は不倫をして居る男・女(だんじょ)の倣いに程々似て居り、完封して生く人の謳歌を生気へ掲げる自然(あるじ)は活きた。純白(しろ)い情景(けしき)は俺の果(かげり)に安堵を観て居り、現代人(ひと)の煽りを一切承けずに、奇妙に名高い人の性差の能力(ちから)を差し替え、慌てふためく自然(あるじ)の気風は陽光(あかり)を観ながら散歩に発(た)った。
端麗(きれい)な〝迷路〟は人間(ひと)の両眼(まなこ)の左右に在って、俺の背中が絶えず現代人(ひと)から突かれて居るのを無重の重味(おもみ)を吟味して生く自然(あるじ)の足元(ほとり)にぽつんと燻(くゆ)らせ、北の町へと北の街へと、独語を呈せる個人(ひと)の我欲を混同して行く。意識の無いのを無意識だと識(し)り、明日(あす)の現行(いま)へと更新して行く無欲の裸写(らしゃ)には自然(しぜん)が集まり、行く行く温(ぬく)もる真面目の温度は口論して行く気熱(ねつ)を訴え、白紙の無駄へと感覚(いしき)を向かせる欲の身元に聡明を観る。
金の斧から老婆が現れ、俺の靴から服から身欲の芯まで、如何(どう)でも集まる至極を顕し、安定していた名言(ことば)の頭数(かず)から聖書の言葉を引用した儘、旧い生憶(きおく)へ還り咲け得る現代人(ひと)の迷想(まよい)を断ち切られて居た。憂(ゆう)の治癒部(ちゆぶ)に端正(きれい)を認(みと)めて明け暮れ始める現行(いま)の寝床を発見する儘、有情(うじょう)の論議は伝播に紛れて傍聴して活き、琥珀色した斬新(あらた)の情(こころ)が〝新参〟へと化け、誰も無いのに誰かを倒せる無知の論理を画策して居た。漆黒(くろ)い板(ボード)に小指の弾ける「外れ」を観た儘、現人(ひと)の〝論理〟は宙(そら)を観るうち他(ひと)を欲しがり、読者任せの強靭(つよ)い保身(たて)からその実(み)を侍らす酔った強靭差(つよさ)を身欲に任せて煩悩(なやみ)を睨(ね)め奪(と)り、自分色した白紙の上には器用な小言(ことば)を自由に拡げて、何処(どこ)と無いまま何時(いつ)と無い儘、無欲に失走(はし)れる路傍の気運(はこび)を災いにして、明日(あす)の孤独に自分が先立つ脆(よわ)い遠吠(さけび)を吟じてもいる。屈曲して生く現人(ひと)の虚ろは恐怖から退(の)き、一連対した自然(しぜん)の所在(ありか)は倦怠感じる自由へ野晒(のさば)り、人造偽造(アンドロイド)の目的(あて)を外れる滑稽(おかし)な生歴(きおく)を矛盾へ退(の)かせて、自分の身欲と自然(あるじ)に脚色付(いろづ)く無言の進化を定規に観ていた。今も昔も孤独の集地(アジト)は海へ仰け反り、現人(ひと)の心身(からだ)は幻(ゆめ)を観たまま気流(かぜ)へ懐いた。
~自由~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji
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