目くらまし

@no_0014

判断基準

 第一印象は良い方だ。仕事も初めの一歩は柔軟に対応できる。だから、最初に躓く人間に教育を持っていかれてしまう。

 最初からできていたからこの人なら、わかるだろう。もしくは、もう知っている。または、もう教えたと思われてしまうのだ。


 器用貧乏とはこういうもののことだ。


 気が付けば、最初に躓いてできなかった人の方が色んなことを失敗し、教えてもらい、数か月後には私よりなんでもできて知っている人になっている。


 だからどうした。わからないことを聞かない方が悪い。そうかもしれない。


だけれど、間違っているかどうかもわからない場合、間違うまでは気づくことができない。


 初めからできなかった人が間違えることと、第一印象でこの人はできると思われてしまった人。


 間違えた瞬間に信用度が、一気に逆転する。


 こちらからの視点ではどうみても理不尽なことではあるが、教えている側からすれば、どちらも同じように教えているつもりになっているので、突然できていると思っていた人の間違いに驚くことだろう。


 余裕がないのだ。新しい人に何かを教えている間にも通常の仕事もこなさなければいけない。


 手のかかる新人に目を向けているうちに、ないがしろにしているもう一人の新人には、つい、できるでしょ。察してよ。という態度で接してしまうことがあるのだ。


 人の形をしたAIのような人間だね。


 これは、人によってはAI程に性能に優れているともとれれば、AIのようにこちらからプログラムしなければ必要なことができない、嫌味ともとれるのだ。


 人なのか、人じゃないのか。AIのような精密さを求められて、人としての道理を求められる。

 人間として生きるには、こんなにも生き難いものなのだろうか。


 自分の目の前にいるのはAIなのか。はたまた、人間なのか。


 意識したことがある人は、どれほどか。

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