結婚式

勝利だギューちゃん

第1話

「恋敵 あの日に戻って 譲りたい」


どこかのサラリーマン川柳で、選ばれたものだ。

本当に、その通りだと思う。


出来る事なら、譲りたい。


僕は、願った。

神に。

結婚式まで、時間を戻してくれと・・・


そして・・・


今日は、僕の結婚式だ。


付き合っていた彼女にプロポーズをして、今日結婚式を迎える。

式場には、親族が集まっている。


彼女から妻へとなる女性が、僕にとっては義父となる人の腕を組み入場してくる。

そして、彼女の手は僕の腕を組む。


そして、これから神父さんの前で、永久の愛を誓う。


その時だ!


「その結婚、ちょっと待った」

ひとりの男が駆け込んできた。


「○○くん、来てくれたの?」

「ああ、一緒に逃げよう」

「うん。今行くね」


妻となるはずだった女性は、その男の元へと走って行った。


結婚式は破談となった。


悲しくなかった。

悔しくなかった。


むしろ、ほっとした。

そして、内心ほくそ笑んだ。


「ねえ、あんた。ごはんまだ?」

「はい。今すぐに」

「そこ、汚れてる」

「はい」

「私寝るから、よろしくね」

「はい。」


若いころ、僕はひとりの女性に恋をしていた。

とても美しい女性だった。

そして、その女性が結婚する。

今日は式の日だ。


何としても、彼女をものにしたかった。

そんな僕は、彼女を奪おうと思った。


そして彼女の結婚式だ。

僕は、式場に乗り込んで、彼女を奪った。


これからは幸せな人生が待っているのだ。


そう思っていたのだが・・・


人間って、本性はなかなかあらわさない。

結婚して、だんだんと彼女の本性が見えてきた。


こんなことなら、奪うんじゃなかった。


僕は、サラリーマン川柳に匿名で応募した。

見事グランプリに選ばれた。


『恋敵 あの日に戻って 譲りたい』

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結婚式 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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