第21話

 村はギンヤンマの出現という脅威に直面していた。室井とマツキヨの社員たちは、杖の秘密を解き明かし、村の安全を守るために奔走していた。


 一方、樹里と村人たちは上杉の証言を重く受け止め、ギンヤンマが村を襲う前触れと考えて警戒を強めていた。しかし、ギンヤンマの脅威だけでなく、別の不吉な出来事が村を襲った。


 ある日、村の周辺で奇怪な壊死現象が発生し始めた。作物や野生動物が突如として枯れ、地面には異常なエネルギーが漂っているように見えた。室井と樹里はこの現象に対して深刻に取り組み、その原因を突き止めようとした。


 その調査の過程で、古い伝承に登場する雪女という存在が浮上した。鳴虫山という山中に彼女が住んでおり、彼女の怒りが周辺の生態系に影響を与えている可能性が示唆された。室井は古くからの友人である塩を訪ね、雪女の怒りを鎮めるための方法について助言を求めた。


「雪女は自然と調和する生き物ですが、彼女の心が乱れると周囲に大きな災いをもたらすことがあります」塩は真剣な表情で語った。「彼女に対して敬意を払い、平穏を取り戻す努力が必要です」


 室井は樹里と共に鳴虫山に向かい、雪女との交渉を試みる決意を固めた。彼らは山の中で老師と出会い、彼の導きを受けながら、雪女のもとに近づいていった。


 その時、村はまた別の問題に直面していた。海岸近くの漁港で大量のマグロが死んで漂着し始め、地元の漁師たちは混乱に陥っていた。この現象がギンヤンマや壊死とも関連しているのか、または別の不可解な出来事なのか、村の中で疑問が渦巻いていた。


 次の一歩を踏み出す前に、村人たちはこれらの謎を解き明かし、村を取り巻く脅威に立ち向かわなければならないことを理解していた。


 村は異常な現象に見舞われていた。雪女の怒りが鳴虫山を越え、村の周囲に広がり始めていた。室井と樹里は老師と共に、雪女のもとに向かう途中で不気味な光景に遭遇した。それは村の外れで狼たちが暴れ回り、地面には異常なエネルギーが満ちているように見えた。


「これは…雪女の怒りの影響か?」室井が呟くと、老師は深く頷いた。


 彼らは決意を新たにして、鳴虫山の頂上に近づいていった。そこで彼らを待ち受けていたのは、雪女の姿だった。彼女は怒りに震え、周囲の生態系に深刻な影響を及ぼしていることを認めた。


「私の怒りは…この地に住まうすべての生き物に届いてしまうのです」雪女は悲しみを帯びた声で語った。「しかし、この怒りはただの自己防衛です」


 室井と樹里は雪女の話を聞きながら、彼女の心を静める方法を探るために尽力した。その間、村では別の異変が起こっていた。香車という名のシャム猫が村の高架橋で何者かに襲われ、重傷を負ったという報告が入った。


 樹里はその情報を受け、村の安全を守るために射撃の訓練を始めた。彼は村人たちを訓練し、狼や他の脅威に対抗する準備を進めた。一方、室井と老師は雪女との交渉を続け、彼女の怒りを鎮める手段を模索した。


「雪女の怒りは鳴虫山に封印されているエネルギーが原因です」老師は考え込んだ。「もし私たちがその封印を解く方法を見つけられれば…」


 室井と樹里は決断を迫られ、村の存亡にかかわる選択を迫られる中、新たな道を模索し始めた。



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