第20話

 空港の一角で室井は静かにミミズクと共に立ち、村の防衛隊員たちの帰還を待っていた。彼らはサザンクロスとの戦いに挑み、村を守るために全力を尽くしていた。


 数時間後、疲労困憊の樹里と防衛隊員たちが空港に帰還した。彼らの顔には汗と血の跡があり、しかし希望の光を室井は見出すことができた。


「室井さん、戦いは激しかったですが…」樹里は力なく話した。


 室井は静かに頷き、その場の空気が少し和らいだ。


 その時、村の中心にある広場で一色の遺族が集まっていた。彼らは悲しみに暮れており、愛する一色を失った悲しみが村を覆っていた。室井はその姿を見て、再び深く考え込んだ。


「この村は本当に平和でありますように…」室井は心の中で祈りながら、一色の遺族のもとに静かに歩み寄った。


 その夜、村の中心で一色の遺族と村人たちが集まり、彼の思い出を偲ぶ集いが行われた。村は再び一体となり、絆がより深まった。


 数日後、春日部という名の船長が率いるベスパ号が村の港に入港した。彼は村人たちに葛湯という珍しい温泉を届け、その贈り物が村人たちの心を癒す役割を果たした。


 室井は静かにベスパ号を見送りながら、村が再び平穏な日々を取り戻すことを願った。


 数週間が経過し、村はサザンクロスとの戦いから立ち直りつつあった。樹里と室井は村の再建に取り組み、一色の遺族と共に村人たちの心を癒やす努力をしていた。


 ある日のこと、村に住む老人、上杉が深い山の中で不思議な出来事を目撃したと言い出した。彼は村人たちに、ギンヤンマと呼ばれる不気味な昆虫が村の周辺に現れると語った。村人たちはその話を都市伝説として聞き流したが、上杉の言葉には不穏な空気が漂っていた。


 同じ頃、村の外れにある港町横浜では、地元の薬局チェーン、マツキヨの社員が異変に気づいた。彼らはマストと呼ばれる古い杖を見つけ、それが何かの鍵を握っていることに気付いたのだ。マツキヨの社員たちはその秘密を探るべく、杖の謎を解き明かそうとしていた。


 そして、ある晩、室井の茶屋にマツキヨの社員が訪れた。彼らは室井に杖のことを尋ね、村の不穏な状況とギンヤンマの出現について報告した。


「これは何か大きな出来事の前触れかもしれません」室井は考え込みながら言った。


 室井とマツキヨの社員たちは協力し、村の安全を確保するために行動を開始した。一方、樹里と村人たちは上杉の証言を真剣に受け止め、ギンヤンマの出現に対する対策を練り始めた。


 その時、村の中心にある神社で古い杖が見つかった。村人たちはその杖が何かの鍵であることを感じ取り、再び村の存亡を賭けた戦いの準備を進めていた。



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