第10話
小さい頃はよく、一緒に寝ていた。
暗いのが苦手っていうのもあるけど、兄さまが離れていっちゃうんじゃないかって、それが怖かったんだ。
兄さまはよく放浪を繰り返していた。私が迷子になれば「オレの側から離れるな」って言うのに、兄さまは何処か行ってしまう。
兄さまは家が嫌いと言うけれど、私が思うにきっと大好きなんだと思う。
確かな確証がある訳ではないけれど、何故だかそう思った。
当主になるのも、本当は嫌ではないと言っていたから。
私では似合わない。
ねぇ、兄さま。
双子でも先に生まれた方と後に生まれた方は、上と下を逆に考えていた時代もあったんだって。だから上が私かもしれないし、私の方が霊力が強かったのかもしれない。それならそれで良かったんだよ。私が当主でも、兄さまが当主でも。
兄さまはよく私に言っていたよね、「お前は、お前の好きに生きれば良い」って、、、。
兄さまの背負った色んなものを打ち消す薬に私はなれないけど、私は兄さまの側にいるから兄さまも私の側にいてね。
誓いと願いを最後に浮かべて、ゆるゆると視界はぼんやりしだす。
願わくば私と兄さまに、少しでも多く同じ朝を、この日を尊べる夜を。
独り言みたいな兄さまの声が聞こえた気がしたけど、何を言っているのか分からなかった。
だってとうにそれは夢の中で、、、。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます