ライバル組織の最強異能力者2人は任務で同棲する

竹垂雫

第1話 プロローグ




かつて世界に《大災厄》と呼ばれる未曾有の危機が訪れた。


 それは異世界との接近によって異世界から魔物が渡ってきたことによる大侵攻だった。


 魔物は既存の兵器で倒すのは困難だった。

 更に魔物は繁殖しない代わりに老衰では死なない。


 凶悪な魔物の侵攻に、人類はなすすべなく敗れ……はしなかった。


 異世界との接近によって魔物が侵攻すると同時に人類も力を授かったのだ。


『異能』である。


 それは一部の人間にのみ生まれつき与えられる特殊な能力で、体内にある魔力を消費して発動する。


 異能には5つの属性がある。


 火、水、風、雷、大地の5属性だ。


 人類は、その異能という強力な対抗手段を持って魔物に反撃した。


 魔物という共通の敵に対して人類は一致団結して戦い続けた。


 しかし、異能の力と世界の団結を持ってしても、でも戦況は良くならず少しづつ戦況は悪化していった。


 魔物の侵攻によって、一部の主要国家が崩壊した影響で文明も後退し、技術などが失われた。


 しかし、魔物によって追い込まれていた人類は、とある2つの組織の台頭により戦況は一気に好転した。


 異能力者のみが在籍を許される非公式の秘密組織

《Blood Element《ブラッドエレメント》》と《Devil's Feast《デビルフィーツ》》だ。


 両ギルドは異能力者を集め強力な異能力者同士で婚姻関係を結ばせた。

 その結果‶異能力は親から子へと合成され継承される″ということが判明し、異能婚という技術が生み出された。

 両ギルドはその事実をギルドの上層部だけで隠し強力な異能力者を生み出し続ける。

 それは、異能婚による強力な異能力者が誕生する可能性が指摘されていた主要国家では、人道的な観念で到底実行できないことだった。


 そして、二つの組織は異能婚によって誕生した子供に訓練を施し強力な戦闘組織を作り上げた。


 二つの組織は、組織の存在を隠しながら危うい戦線に訓練を施した異能力者を派遣し続けた。


 なぜ存在を隠したのか、それは組織の存在がバレれば自分たちの秘密を探られる可能性があると考えたからだ。

 強力な異能力者が政府によって産み出されれば、母体数の多い政府に対しての優位性だなくなる。

 非公認の戦闘組織である自分達には都合が悪かったのだ。


 非人道的な異能婚で産み出された人工の異能力者は、天然の異能力者の100倍は強かった。


 そして戦っていくうちに両組織はお互いの存在に気が付き……


同盟を結んだ。


 2つのギルドが同盟を結んだ結果、魔物はみるみる数を減らした。

 世間では『謎の英雄現る』などと騒がれたがギルドの存在がバレることはなかった。


 そして両ギルドは結成から50年が経った頃。


 その頃には既に非公認組織とは思えない規模の戦闘組織となっていた。


 それから更に100年が経つ。


 《大災厄》の発生から200年、人類はとうとう魔物の根絶に成功する。


世間は『世界で協力すれば大きいことを成し遂げられる!』『人類は協力できるんだ!』などと騒がれた……




しかし




 世界各国は50年は平和を維持した。

 しかし50年もあれば文明は以前と同等のレベルに復元できる。


 そして世界平和は崩壊した。


 豊かになった人類は更なる豊かさを求めて覇権を競い合った。


 《Blood Element》と《Devil's Feast》の同盟関係も崩壊し、裏社会の覇権を争い始めた。


 再び《大災厄》前の状況に戻ってしまった。


 そして更に50年……


 地球に再び異世界が接近した。

 2度目の《大災厄》が起きたのだ。


 世界各国は団結し《大災厄》に対抗する。


 《Blood Element》と《Devil's Feast》も協力する。


 しかし前回の《大災厄》とは違い異世界は地球の周辺から離れず魔物は次々と侵入してくる。

 そのうえ魔物達は以前の10倍以上強くなっていた。そのため、以前の強さの魔物を想定していた兵器では、全く効果が無いとまではいかなくとも厳しくなる。


 また、魔物達は新たな性質を身に付けていた。

 それは『精霊属性の異能を持つ能力者に集まる』と言った性質だ。


 精霊属性とは5種の属性すべてを操ることのできる異能のことだ。

 天然の異能力者には290年で十数人しか確認されておらずどれも効果は極小規模だった。

 異能婚で産み出された人工の異能力者でも、精霊属性の異能力を持って生まれることは珍しい。


 そして精霊属性の異能力を持つ者は現在3人いる。


《Blood Element》の白銀レイ。


《Devil's Feast》の黒羽ユウ。


《アメリカ政府直属異能力者部隊》のフェイト・スミス。


 黒羽とスミスは人間の限界と言われる異能力3つを所持する怪物だ。


 人類が強くなった魔物に追い込まれる中、《Blood Element》と《Devil's Feast》はそれぞれ自分たちの最強戦力、白銀レイと黒羽ユウにとある任務を与える。


 その任務の内容は……二人の同棲だった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

★やコメントなどをしていただけると作者のモチベが上がります!応援よろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る