#2 さくらんぼな異世界に

サクランボの甘い香りが漂う、のどかな村。少女リーゼロッテは、サクランボ農家の娘として、平凡ながらも幸せな日々を送っていた。

「今年もサクランボが豊作ね。村の皆も喜んでくれるわ」


ある日、リーゼロッテは、裏庭のサクランボの木に、不思議な光を放つサクランボを見つける。

「これは……一体なに?」

まるで宝石のように輝くサクランボに、彼女は思わず手を伸ばした。サクランボを口にした瞬間、彼女の視界は歪み、次の瞬間、彼女は見たこともない場所に立っていた。


「ここは……どこ?」

そこは、サクランボが通貨として使われる異世界。サクランボの大きさや色、品種によって価値が変わり、サクランボを巡る争いが絶えない世界だった。

「サクランボが……お金?」

リーゼロッテは驚きながらも、自分が育った村で培ったサクランボの知識を活かし、サクランボ鑑定士として生きていくことを決意する。

「私、頑張る!」


持ち前のサクランボ愛と鑑定眼で、リーゼロッテは瞬く間に名を上げ、サクランボ界のトップに上り詰めた。

「このサクランボは、非常に希少な品種ですね。高値で取引されるでしょう」

彼女の鑑定は、サクランボの取引価格を左右するほど重要なものとなり、彼女は「サクランボの女神」と称えられるようになった。


しかし、彼女にはある秘密があった。実は、彼女が異世界に転生した原因となったサクランボは、特別な品種「ルミナチェリー」だったのだ。

「このサクランボの輝き…もしかして、これが私をここに導いたのかも」

ルミナチェリーには、食べた者を魅了する不思議な魔力があった。

リーゼロッテはその魔力を使うことで、サクランボ戦争を終結させる鍵を握っていた。


リーゼロッテは、ルミナチェリーを手に、サクランボ戦争の舞台へと向かう。

「このサクランボの光で、皆の心を癒したい」

やがてルミナチェリーの魔力は、人々の心を癒し、争いを鎮めた。

サクランボの女神は、平和の使者として、サクランボの甘酸っぱい香りと共に、笑顔と幸せをもたらしたのだ。

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