無限の0(レイ)と秘密のアリス ~女の子を知りたい僕と男の子に興味あるワタシ~
にーろ
プロローグ ~Episode 0~
第1話 あの子は神様?
あの子との出会いは今でもよく覚えている。
その日は小学校のフィールドワークで、山の道路を進みながら動物や植物を観察していた。中には熊やイノシシのように危ない動物もいたけど、みんなと楽しみながら頂上へ登った。お腹が空いていた僕、
「
お弁当をカバンから取り出そうとすると、同じクラスの
黒の帽子にサラサラとした茶色の長い髪にちょっと赤みのかかった瞳が特徴的だ。
「それじゃ」
僕が
『食べ終わった後会いに来て。場所はここへ来る途中にあった階段を降りた場所』
近くにいた友達は「先生から」と
クラスのみんなは僕と他の女子とちょっとでも仲良くしていると「つきあってるの?」とからかう。
(でも、こんな場所で何するんだろう?)
◇
早めに食べ終わって、渡されたメモを頼りに場所へ向かった。
すぐに階段を見つけて下りると、陽の光が木々の隙間から照らされた小さな
鳥のさえずりとそよ風、静かに揺れる草木が僕を迎えてくれた。
「
他のみんなに聞こえない程度に呼び掛けたが返事はなかった。まだ、
流石に
それに僕含めてクラスのみんなより大人びているから、今じゃクラスのリーダー的存在だ。でも、リーダーはやりたがらずダラダラと過ごすことが多いが……。
荷物を降ろして一息つくと祠の後ろから大きなピンク色の何かが見えた。
巨大なキノコか、それとも不法に捨てられたゴミなのか……?
恐る恐る近づくと、それは魔法使いの格好をした女の子だった。
ピンクの服にリボンがチャームポイントのとんがり帽子、サラサラしてきれいな長い金色の髪。まるで絵本から飛び出してきたみたいだ……。今は気持ち良さそうにぐっすり眠っているみたいだ……。
(今まで見てきた女の子の中で一番可愛いかもしれない…。それに、もしかしたら外国の子かな?)
そんなこと考えながら僕は時間を忘れてこの子に見とれていた。
「……ん?」
「起きた……?」
どれぐらい時間が経ったのか、女の子は目を開けると緑色の瞳が僕の目と合うも全く反応しない。
「あ、ごめん、その……」
女の子ははっと目を丸くし、僕から少し離れるとスカートを抑えて正座する。
「だ、誰!? 」
「あ、いや……ごめんね、起こすつもりはなかったんだ」
「い、いや、私の方こそびっくりさせて……」
ーグゥゥ
女の子は顔を赤くし、お腹を抑える。
一瞬何のことか分からなかったが、僕はカバンからおやつの板チョコを取り出した。
本当は僕一人で食べるつもりだったけど、お腹がすいてる子を目の前に隠す訳にはいかないよね。
「これ良かったらどうぞ」
女の子の目の前まで近づいて、チョコを取り出して銀紙を半分まではがして手渡す。
「いいの?」
「うん」
女の子は不思議そうにお菓子を眺めると一口食べる。
「お、美味しい!!」
目を輝かせながらあっという間に全部食べてしまい、ちょっとひいてしまった。でも悪い気はしなかった。
「そんなに美味しかったの…?」
「うん!初めてこんな美味しいものを食べたよ!これなんていう食べ物なの!?」
「これはチョコレートだよ。僕も、好きだから……」
眩しく見える女の子を前に僕は何も言えなくなってしまった。顔から火が出そうになるぐらいに暑くなり、つい顔を背けてしまった。
「どうしたの? そんなに顔を赤くして……」
「え、何でもないよ!……えっと、君の名前は?あ、僕の名前は
誤魔化すように名前を聞くと、女の子は目を丸くして口を手で抑えた。
「へー、私の名前もレイなんだ。すごい偶然だね……!」
「へぇ!本当に凄い偶然……」
「ふふ、私ここに来たばかりでお友達もいなくて寂しかったけど、まさか名前が同じ人に出会えるなんて思わなかったよ……」
さっきの明るい声から急に落ち込み、陽の光も消えてしまった。
僕はレイちゃんの顔を見ると、目に涙を浮かべていた……。
「今までずっと一人だったの?」
「うん……」
「そうだったんだ……。それじゃあ僕が最初の友達かな?」
「え、お友達になってくれるの?!」
「僕で良かったらいいよ!」
「本当? 嬉しいなぁ……」
レイちゃんは笑顔がすぐに戻り、陽の光も戻った。自然と僕も笑顔になり、胸の辺りが温かくなる。
不思議だな……この気持ち……。
「そうだ!さっきのチョコレート(?)とお友達の印にこれあげるね」
レイちゃんは右ポケットから円錐形の透明の石がついたアクセサリーを取りだして僕に見せた。
「これ何なの?」
「これは『ペンデュラム』って言って、探し物や占いが出来るスゴいアイテムなの!大切に持っててね!」
「……いいの?そんなスゴい物貰って……」
「大丈夫だよ。私は他にも色々持ってるから」
「……分かったよ」
「失くさないでね」
ペンデュラムを受け取ると、レイちゃんはまたニコッと微笑んだ。
僕はまた顔が暑くなり、ズボンのポケットへ目を反らした。自分でもぎこちなくペンデュラムを入れて感覚を確かめる。
「ところで
「そ、それは待ち合わせしてたんだ……」
「誰と?」
「おー、ここにいたんだ
声がした方を向くと、ゆっくりと階段を降りる
「中々来ないと思って探したら、まさかこんな所にいたなんてね……」
「え、場所違った?」
「あー、うん。でも気にしなくていいよ。私の伝え方が悪かったし」
「そっか。それでここで何をするの?」
「それはね……」
ーピーッ!!
遠くの方から先生の笛が鳴った。集合の合図だ……。
「あーあ……。せっかく珍しいお菓子を持ってきたのに……」
「お菓子?」
「外国からのお菓子を
「そっか……あ、そうだレイ―」
「どうかした?」
「あ……ううん、なんでもないよ……」
「それとそこの銀紙ちゃんと拾いなさいね、ポイ捨ては良くないよ」
「え、うん……」
さっきまで聞こえていたそよ風や鳥のさえずりも聞こえなくなっていた。
僕は空になった銀紙を見つめてカバンになおした。
「もしかしたらレイちゃんはこの祠の神様だったのかな?」
ズボンの中に入れたペンデュラムを確認するときちんと入っていった。
「また会いに来るよ、レイちゃん……」
僕は祠に手を振って、急いでみんなの場所へ戻った。
あの祠とさっきまでのレイちゃんの笑顔が家に帰っても頭から離れなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます