ザチルドレン。守り貫き通す者
連修大
語ろうか、おじさん。
狭い病室の中、豊おじさんが細~い息をしてベッドに横たわっている。おじさんの病状は悪くなる一方で、一昨年に合併症で両目を失明し、半年前には、歩行が困難になった。ナチスとも戦った元自衛隊員の彼は、今や朽ちた老木である。
「おじさん、最後の頼みはなに?」
おじさんは口を少し開け何か呟く。
咄嗟に私は彼の口元に右耳を寄せた。
「語ってくれ…ジュニア…お前と俺の人生を…」
私は姿勢をゆっくりと戻す。
「おじさん、私は歌うことが好きだった。さなみ姉さん譲りだよ。だから若かりし頃のおじさんの声を真似ていろいろと僕らが出会う前や二人出会った日の事、後ついでに今の私の事も語ろうね。今日で会うのが最後だし、おじさんメイドインジャパンの補聴器は付けて耳だけは良いから聞いてくれよ…」
私はよく通るハスキーボイスで語り始めた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます