24.名前決定!! 良かった良かった

 俺にみんなの話しを伝えたアイラさん。その後は良かったわぁ、なんて言いながら1階へ。レイナさんな所へにでも行ったのか? 

 

 何故かやたらとハードルの上がった名前決め。お腹の上で頭を下げていたみんなは、顔を上げた後。俺なら素敵な名前を、考えてくれると確信しているためか。頼めて良かったねぇ、と言う感じの表情と、嬉しいなぁと言った感じの仕草をしている。


 何故そこまで俺の名前付けに、自信を持てるのか分からないが、結局俺がみんなの名前を考えることに。まぁ、少しは考えていたから良かったけど。これが今から考えてたんじゃ、プレッシャーでやられていたかもな。


 俺はこの前考えていたみんなの名前を、みんなに伝えてみることにした。勿論どうしてその名前にしたかも、ちゃんと説明する。どこまで通じるかは分からないけどな。


「あぶう!!」


 俺がみんなを呼べば、ニコニコのまま俺の胸の方へ移動して来たみんな。


「あぶば、ばぶう、あぶう?」


 今のは、名前ならちょっと考えていた名前があるんだけど、聞いてくれるか? って言ったんだ。そうしたらこれはちゃんと伝わったらしく、とても驚いた顔をしていたが、少しして家族になった時のような、とても嬉しそうに顔で。さらに俺の顔に集まって来た。


「ばぶう、ばあぶう、ばぶばぶ」


 今には、じゃあ今から順番に伝えるぞ、まずは透明蝶々から、って言ったんだ。そうしたら透明な蝶が姿勢を正して立った。他の子は少し後ろに下がって待ってくれている。


「ばぶう、ばぶうぅぅぅ、ばぶぶ……」


 こうしてこの前考えた名前を順番に伝えていく俺。考えたままだ。透明な蝶はシャイン、もふもふの蝶はフラフィー、そしてスライムはラピー。

 みんな何も話さずに、しっかりと俺の話しを聞いてくれた。俺がどうしてこういう名前にしたかを、説明した時には頷きながら。何とは伝わってはいるようで良かったよ。


 そうしてみんなに名前を伝え終えると、みんなは頷き合った後、全員で俺に頭をペコんとして。たぶんありがとうって言っているんだろう。


 その後にそれぞれ離れて、う~んというような表情をして何も話さなくなった。今の俺の名前について、それぞれが考えておるんだろう。


 俺も邪魔をしないように黙ったまま。その間に1度レイナさんが来て、俺のお尻を綺麗にしてくれたんだけど。

 みんなが真剣に考える中、レイナさんは最初みんなに、そんな難しい顔をしてどうしたの? と聞いた後は。あまり気にせず鼻歌を歌いながら、俺のお尻を綺麗にして。


 お尻を出す俺。お尻を綺麗にする事がそんなに楽しいのか? ってほど、楽しそうに、そして鼻歌を歌うレイナさん。お尻を綺麗にしているんだから臭いだろうに。そしてそんな中、真剣に名前について考えるみんな。


 他の人が今の俺達の状況をみたら、何やってんだ? と唖然としていただろう。それくらい変な光景だった。


 そんな変な状況になっていた俺達だけど、レイナさんは俺のお尻を綺麗にしてくれると、さっさと1階へ戻って行き、そしてまたミルバーン達の指導を初めて。そのタイミングでみんながほぼ同時に大きく頷いた。


 どうやら決まったようだ。俺の考えた名前を、どれだけみんなが気に入ってくれたか。もしかしたらぜんぜんダメってことも。


 本当ならこれで決まってくれるのが1番良い。また新しい名前を考えるとなると、この前はとりあえず考えておくかってくらいで。落ち着いてゆっくりと考える事ができた。でも次は? 

 ハードルが上がった分、かなりの緊張状態で考えないといけなくなるから。そうなったら名前が全然浮かんでこないかもしれない。


 みんなの答えをドキドキしながら待つ俺。少しの沈黙の後、真面目な顔をして、姿勢を正して立っていたみんなが一斉に、ニコっと笑った後。俺の胸から降りて、俺の周りを飛んだり跳ねたりの大騒ぎに。


『******!!』


『******、******!!』


『******!!』


 この様子、みんな俺の考えた名前を気に入ってくれて、決めてくれたらしい。ホッと息を吐く俺。あ~、こんなに緊張したのは、ゴブリンの時のように命の危険は別として、いつぶりだろう。仕事でもこんなに緊張したのは数回程度だったはず。


「あぶう、ばあぶう?

 

 喜ぶみんなに聞いてみる。みんな、俺の考えた名前を気に入ってくれたのか? その名前で良いんだ? って。それからもしも少しでも変えたいと思っているのなら、ちゃんと言ってくれとも。


 だって、やっぱり別の名前が良かったって。後から変えても良いけど、それなら最初から、しっかりと決めた方が良いだろう? 俺はプレッシャーだけどさ。でもみんなのためなら、どうにか考えるよ。


 そんな俺の質問に、みんなが集まって来て、ブンブン顔を振った。それからまた俺の周りで大騒ぎに。これは、よっぽど俺の名前を気に入ってくれたのか?


 それから15分くらい騒いでいたみんな。ようやく俺の胸の上へ戻ってくると、キラキラした目で俺を見て来て、それからちょいちょいって、自分のことを示してこきた。最初は何だ? と思っていた俺。それからも色々な仕草をして、俺に伝えようとして。


 どうやら、自分達の名前を呼んでくれと言っているらしい。だから俺は赤ちゃん言葉のままみんなの名前を言ってあげて。


 その瞬間だった。みんなの体を、キラキラ光るラメ見たいな光が包んだんだ。慌てる俺、でもみんなは慌てることなく。すぐにそのキラキラとした光は消えて行き。


 何なんだよまったく。みんな変なことになってないよな? 攻撃魔法って感じの、嫌な光じゃなかったけど。この世界のことをまだ俺はほとんど知らないからな。もしかしたらってこともあるし。


『とってもカッコいい名前、俺にピッタリだ!!』


『僕の名前は可愛い感じ。僕にピッタリだよね!!』


『今日からぼくはラピー。嬉しいなぁ』


 え? みんなを心配していた俺の動きが止まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る