ドッキドキ❤ホスピタルラブ
ドロテア
序章
帝 とあ(みかど とあ)は32歳。彼女はフランスの病院で医師として働き始めてからこの春で10年目になる。変わらず彼女は女医としての仕事をまじめにこなす生活を送っていた。今年、この病院に就職してきた新米医師の指導をするなど、彼女はこの春は忙しいのだった。
(ここ数日寝てないな・・・。)
医師の仕事は忙しいため、なかなか就寝できる時間がない。ただし、とあたちが働く病院の医師と看護師たちはこの病院にある寮で暮らしているため、生活に不便を感じることはない。(家が遠かったりなどの事情がないから。)
病院での仕事の昼休み、とあはSNSのLINOを見ていた。フランスの大学進学のときに日本にのこしてきた親友からメッセージが届いていたのだ。
(美奈恵(みなえ)からか・・・そういえば仕事が忙しくて全然話していなかったな・・・元気にしてるかな・・・。)
とあはそんなことを思い、彼女は美奈恵からのメッセージを開封した。
「え? 嘘・・・美奈恵まで?」
そこには綺麗な白いドレスを身にまとった美奈恵と、その隣には白いスーツを身にまとった見知らぬ男性が並んだ、ふたりで笑顔を見せている写真と、「わたし、昨日結婚したんだ!」というメッセージがあった。おそらくメッセージの内容と写真の様子からして,美奈恵は昨日結婚して、結婚式を挙げたのだろう。
(そういえば、香菜(かな)と千沙(ちさ)も結婚したって言ってたな・・・。)
香菜と千沙は、とあの高校時代の友人である。とあの日本での友人は美奈恵、香菜、千沙の三人だけだ。彼女たちだけが、とあの理解者だった。とあはかなりの美女で心優しい性格なのだが、その固い感じの彼女の表情が原因で周囲からは「近寄りづらい」などと思われてしまいやすいため、とあの友人は少ないのだ。
とあはLINOで美奈恵に「結婚おめでとう。幸せにね。」とだけ、返信してLINOを閉じた。
(そうか・・・私たち、もうアラサーだもんね。結婚する子がいてもおかしくないか。私もはやく素敵な人と結婚したいな・・・子どもはいらないけど。)
とあはそんなことを思っていた。とあは恋愛小説を読むのが好きで、恋愛小説によくあるロマンチックな恋に憧れているのだ。彼女は普通に恋人をつくるだけではつまらないと感じ、恋に刺激を求めているのだ。
病院の屋上で、ケータイをいじりながら、とあはサンドイッチを口にしていた。
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