四物語―漆―

六散人

ようこそおいで下しました。

わたくし、当屋敷の執事バトラーでございます。


四人の語り手が逸話を持ち寄って語る、この怪談会も、早、七夜目を迎えることとなりました。

これもひとえに、ご贔屓にして頂いている皆様のお蔭と、屋敷あるじ共々、感謝申し上げる次第でございます。


本日は茶菓として、〇ンシェール様の堂〇ロールを供させて頂きます。

四人の語り手の皆さまが体験された、不思議な出来事の数々と合わせ、是非ご堪能下さい。


さて皆さまは、<異界>という言葉を聞かれたことが、おありでしょうか?

この世界は、実は様々な別世界と並んで存在しております。


そして何かの拍子に、二つの世界の境界が曖昧になりますと、異界に紛れ込んでしまう方々がおられるのです。

かく言うこの屋敷も、ある意味で<異界>と申し上げても、過言ではないでしょう。


今宵はそのように異界に紛れ込んでしまった方々を、語り手としてお招きしております。


果たしてその方々は、どのようにして異界に導かれたのか。

中々興味の尽きぬことでございます。


さて前置きが長くなりました。

それでは『四物語しものがたり』第七夜の始まりでございます。

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