異世界転生係

澁澤弓治

 ドM死す

 ワイは今日も大量の死者と向き合っていた。

 同じ異世界転生部でもアジア風転生部とかは担当が少なかったり、審査が厳しくナーロッパ担当のワイに仕事が回ってくる。

 今日の男、田村の死因は窒息死、なぜかワイの顔をチラチラ伺ってくる。

 ワイは優しく、

「どうしたーん話聴こかー」

 と、現世じゃモテるらしい言葉をかけてやった。田村は少しにやけ、

「いや、何でもないです」

 何か隠してそうだった。ワイは水晶玉を手に取り、田村のことを詮索しよう、そう思った。


 まずは死因を見てみよう、そこにヒントがあるかもしれない、そう思いワイは死の間際に飛んだ。

 マンションの一室で田村は一人全裸だった。訳がわからないが興味が沸いた。

 そしてワイは気づいた、田村は一人smプレイに励んでいたのだ。

 田村は一人鞭を持ち、

「恥ずかしくないの」「くっ」

 ろ寸劇を繰り返していた。ほんとに恥ずかしいことをしている、ワイはもうこいつは異世界送れないな、と思ったがこっからどうやったら窒息死するのか気になった。マンションが燃えたのだろうか?

 時間と共に田村はエスカレートしていった、まるで古代あたりのヨーロッパの異端の様だ。

 ついに田村は自分の首にチョーカーをつけ、首を締め出した。

「あ」

 どうやら取れないらしい。


 ワイは水晶から離れ田村と向き合った。

「恥ずかしくないの」

「くっ」

 なんか面白そうだから異世界転生させることにした。

「異世界いってらっしゃい」

 ポチと可と書かれたボタンを押す、田村はフッと消えた。

 もう遅いが田村の履歴書をもう一度見る、最終学歴、京都大学。まじか。

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