第43話 役職がインフレしまくる豚野郎


 精霊鎧を見せてもらって癖の強いヤツだったのですが、とりまゴーするかと思って乗ろうとしたら「申し訳ありません! オーク大佐を司令官お呼びです!」と止められました。

 謎の機器を弄りまくている人たちでごった返している司令室に案内されると謎の魔族から「上層部が滅ぼされた! 今を持って貴様が司令官だ! この基地から前線の指揮を取れ! 我々は新本部に馳せ参じねばならん!」

 

 よく状況が分かりませんがどんどん役職がインフレしている気がします。

 ここでニートしなければいけないようなのでゴーストップのようです。

 確かに精霊鎧ゲットしてすぐにゴーしようとするのは救聖砲に滅多撃ちにされてお陀仏になる可能性が高いですからね。

 1週間くらい様子見した方がいいかも知れません。

 

 そう思って今現在二日経ちました。

 俺は司令官専用座卓でニートしています。


「オーク大佐! オーク大佐を名乗る不届者が外で騒いでいます!」


『バカモーン! 中にいるのは私の偽物だ!』


 そろそろ三時のおやつでも食べに食堂に行くかと思うと、モブ魔族がスクリーンに一人のオークの姿を映すと報告してくる。


「私に成り代わろうなど、オークの風上にもおけん奴だ。魔導砲で射殺しろ」


「了解しました! 亡き魔王様の任命書を持ってこられた方が偽物のはずがないというのにもっとマシな嘘をつくんだったな野良オークが!」


『ぎゃああああああああ!!』


 俺がやっておしまいと命令するとモブ魔族がスタコラして、基地に備え付けの魔導砲をブッパして吹っ飛ばしました。

 偽物バレの危機が去りましたね。

 おやつにゴーです。


「総員撤退。今日の作戦はこれにて終了する。これ以上の血が流れることは私が許さん」


 やってた作戦を強制終了して、食堂に向かいます。

 食堂のおばちゃんに「おやつください」と言うと、偉い人ほど料理の量が増えるシステムに応じておやつのじゃこ天がモブ魔族一個のところ司令官盛り十個となって出てきました。

 もはやおやつとは思えないほどの暴力的な量です。


「じゃこ天が花を咲かせている」


 席に移動すると口の中に次々とホールインワンしていきます。

 エンゲル係数急上昇です。

 元より痩せていなかったワガママボディが膨れ上がっている気がします。

 俺はダイエット中ですがあとちょっとしたら大変そうなのでちょうどいい感じに痩せそうですし、気にせず食べたいと思います。

 ここで食いすぎて太ったとしてもそれは太ったのではありません。

 数日後に頑張る自分に先行投資したのです。


「おかわり」


 じゃこ天美味しいですね。


 ───


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