2-13

変身した俺は仮面に覆われ、装備もいかにもヒーローといった感じの装備だった。


色は赤と青と白をベースにしたトリコロールカラー。


仮面に覆われているはずなのに視界はかなり良く、何もかぶってないように感じる。

(どうなってんだ?これ?)


拳にはグローブが装着されており何か特殊な力がありそうな感じだった。


身体強化×2

脚力強化×2


俺は再び走り出した。


いつもと同じ力で踏み込んだはずがいつも以上に飛び出した。


この装備、もしかして俺の力が強化されるスキルでもついてるのか?


走りながらそう考えてると


【はい、この拳型バックル、名称ナックルバックルにはグローブ型の武器と全体的な身体的強化をしてくれる装備が備わっております。】


「なんだ!?」


俺の脳内で声が響く。

丁寧にこのバックルの説明もしてくれるなんて…


【私はカイさまがこのナックルバックルで変身した時のサポートナビをさせていただくものです。わからないことがあれば、ヘイ!ナビ!と叫んでください】


「え、叫ぶんですか?」


【はい、叫んでください。ではこれで失礼します。】


なかなかありがたいシステムを用意してれている。


ゲームは説明書を読まないでやるタイプだがこれは秘密がいっぱい隠されてそうだからナビに聞いてもいいかもしれない。


反応はまっすぐ街に向かってる。


ってことはここで待っていれば来るな。


予想通り反応はまっすぐこちらに向かってきている。


どんどん近くになるにつれ足音が大きくなってゆく。


「いったいどんな魔物なんだ…」


そしてついに俺の目の前に現れた。


「な、なんだ…?」


目の前に現れたのはたしかに魔物だった。

しかしこの魔物見た目がいろんな魔物の特徴をあわせ持った感じだ。


書物の絵でしか見たことないが一つ目のサイクロプスの頭にミノタウロスのような屈強な人型の体、そして足はサーマルライオンの図太い脚。


合成魔物キメラ!?」


俺が驚くとキメラはこちらにまっすぐ突進してきた。


「うぐ!」


俺とキメラは組合になった。


だが、変身しているからか力に関しては負ける気がしなかった。


俺はそのまま組み合ってるキメラの手を上に振り払いあげた。


挙式、1ノ型 正拳突き


がら空きの腹に一発いれる。


その瞬間一発入れた感触の後にあとから


「これは…」


きっとこのグローブの効果だろう。


一発攻撃をいれるとパイルバンカーのように2撃目がすぐに撃ち込まれる。


キメラは少しのたうち回っていたがすぐに起き上がり俺にパンチをしてきた。俺は腕でガードすると俺の腕で止まった。


それと同時にナックルバックルが光ってバックルの前に1の数字が表れた。


なにか危険を感じたのかキメラは俺から少し遠ざかる。


さすがにこれは使い方がわからないな…


「へい!ナビ!」


俺は叫びナビに聞くことにした。


【はい、どういった要件でしょうか?】


「このバックルの前に現れた数字はなんだ?」


【それは物理攻撃吸収です。物理攻撃を腕でガードし、ガード成功すると威力を吸収します。吸収した回数はバックルの前に現れたまっていきます。数字があるときにバックルを1回たたくとカウンターモードになります。次のカイ様の拳攻撃に今まで吸収した攻撃が上乗せされるというものでございます。】


「なるほどね。」


【あと、すみません。やっぱりヘイ!ナビ!と叫ぶのやめてください。とても恥ずかしいです。】


「なんだよ!やっぱ叫ばなくていいじゃんか!」


すると


「カイ!どこにいるの!?」


この声はリン!?キルと街に避難しろって言ったのに!


キメラはリンの声に反応し声が聞こえたほうに走り出した。


「きゃー!」


リンはキメラを見た途端に腰を抜かしその場に座り込んでしまった。


キルがリンの前に立ちキメラに威嚇している。


キメラは何も考えずにリンとキルに飛び掛かろうとした。


「まずい!」


俺はリンとキルをかばいキメラの飛び掛かりを背中で受けた。


「がはっ!」


変身しているとはいえまともに攻撃を受けると痛い。


が、そんなこと気にせず背中に乗ってるキメラを後ろに飛ばした。


そしてすぐにキメラの腕を持ち砲丸投げの要領で回して投げ飛ばした。


バックルを一回たたき


カウンターモード!


挙式、3ノ型 昇波底


キメラに向かって衝撃波が


キメラにあたりそのまま落ちてゆく。


すぐさまキメラの落下したところへ走ると息絶えたキメラがそこに転がっていた。


「ふぅ…」


なんとか一件落着だ。と思ったのは束の間


「カイ…なの?」


リンは俺に声をかけてくる。

俺をじっと見つめてその場から動かない。

キメラを討伐できたものの少し冷たい空気が俺たちの間に流れていた。

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