第25話 路地裏でレアもんゲットだぜ!
【前回のあらすじ】
# ♪ ♭
自分以外にこんな芸当ができる者がいるとは。
「おい、あんた――」
声をかける間もなく、ホスト風の男は掲げた手の表面から、辺りに散った光の粒――霊質を残らず吸収した。
(……!? この男、何をして……)
「
マキナの声が路地裏に響くと同時、ホスト男の見開かれた
「遅いッ!!」
「うっ……!?」
すくみ上がる
「フッ……ボクの魔眼に魅了された哀れなメス豚め。さあ、
「キメェこと言ってんじゃねぇ――っ!!」
「ぐはぁ――っ!」
ホスト悪魔は
ある意味窮地を脱した
「あぶねー……あまりにもキモすぎて固まっちまったぜ」
「はっはっは。敵は男の色香を使う相手を間違えたようだねぇ」
マキナは用意周到に小瓶の蓋を空け、散らばった粒子を一気に回収する。
「……おや? ザコの割には大量じゃあないか」
「ボーナスキャラとかじゃねーの? 知らんけど」
「なるほどねぇ。すると、あれはドロップアイテムかな?」
ホスト悪魔の消えた跡には、抜け殻のように靴とスーツが転がっている。
「おっ、結構持ってんじゃねーか。カード類まであるぜ」
「正義のヒーローは追い剥ぎも手際がいいねぇ」
「茶化すんじゃねーよ。土産だ、ウチの居候の」
金品はレもんと
(ソラオク……? 聞いたことねーブランドだな。ま、いっか)
戦利品を
*
悪魔組織・七伯爵のアジト。
この場に残る二者の前で、構成員の安否を示す宝玉がまた一つ、輝きを失った。
「ソラオクも
「ま、予想どおりね。ところであいつの策って、一体何だったのかしら」
ボスは知ってるんでしょう? と尋ねる妖艶な悪魔に、威厳をまとった影が答える。
「ソラオクは我ら七伯の中で最弱……しかし、自分より弱い悪魔の力を無条件で吸収する特技がある」
「初耳だわ」
「……と、履歴書に書いてあった。野良悪魔を吸収し続け、力を
「それって、相手の方が強かったら結局意味なくない?」
艶魔の鋭い指摘が、ボスを口ごもらせた。
「……もっともだ。奴は
ボスが言い終えようとするタイミングで、ドアがノックされた。
「入れ」
入室してきたのは、ロングスカートにヒールを履いた女の悪魔だった。
「あたしの部下よ」と、艶魔。「報告を頂戴」
部下に耳打ちされた艶魔は、一言「そう……」とだけうなずき、舌なめずりをする。
「学園の偵察か」
「ええ。新聞部とかいう連中に嗅ぎ回られて、引き上げざるを得なくなった……けど、最後にいい情報を拾ってきてくれたわ」
「聞こう」
艶魔は一呼吸を置いて言い放つ。
「
「自ら
「大丈夫よ。正面から挑むような愚は犯さないから」
そう言い残すと、艶魔――シアティは長い髪を大きくなびかせながら、部下を引き連れ退室していった。
*
講堂では、週初めの全校朝礼が開かれていた。
「
壇上から優しく穏やかな声を響かせるのは、白衣を身に着けた妙齢の女性だ。産休に入った養護教諭の代わりに、新しく赴任してきたという。
(へー。きれーな先生だなー。保健室が無駄に
この時の
まさか十日と経たないうちに、この「
(次章につづく)
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