第19話 ライバルはお嬢様
【前回のあらすじ】
# ♪ ♭
午前の授業が終わり、
共同生活を続ける三人は、持ち回りで皆の弁当を作ることにしていた。今日の当番はレもんだ。
「おい、何でおにぎりの具がたこ焼きなんだよ!?」
「おれちゃまに聞かれても……こっちは
不平を漏らしつつ、
「単にウマいもん入れりゃいいってわけじゃねぇ。相性が大事なんだよ」
「そのココロは?」
「バンドメンバー。そういや今日から募集なんだよなー」
「他にもツテはあるけど、それが無理なら……
「悪いが、おれちゃまは辞退するじぇ」
「だよな。雑に数合わせってわけにもいかねーし、やっぱそこそこ音楽できる奴じゃねーと――」
「それはわたくしのことかしら?」
割り込んできた声に、
「何でお前が人の教室いんだよ……昼メシはもう食ったのか?」
「一時間前にブランチを頂きましてよ」
いかにもお嬢様然とした
「ただの早弁じゃねーか!」
「デキる女は食事もスマートに済ませるものでしてよ!」
「誰だァ? この人」
「一年ときの
「宿命の
「
「筋肉隆々の着ぐるみをお召しになられていた方ですわね。朝礼でお見かけいたしましたわ」
ぴあ
一方で、
「
登校初日の初顔合わせから、それがぴあ
事実、成績はどの科目も常に学年一位、不動の学級委員長で、校歌のピアノ伴奏も毎回任されている。
そんな才色兼備の女が、唯一の敗北を喫したのがスポーツテストであった。
立ちはだかったのは誰あろう、
測定器具を破壊しないよう手加減した
目の前で聞かされた、歯ぎしりと地団駄のいたたまれなさときたら。
(運動で一番になれなかったのを根に持たれてるのかもしれねーな……とんだとばっちりだぜ)
あれ以来、
まさに今、この瞬間も。
「ところで
「な、何だよ」
ぴあ
「これは一体どういうことですの!?」
突きつけられた学校新聞の紙面に、
『眠れる美少女(20)をめぐって恋の鞘当てか!? 凶暴ヤンキーと真面目ギャルが屋上でタイマン決闘!』
廊下を駆け抜け、一直線。
「オラァッ!! 誰が凶暴ヤンキーだァッ!!」
出くわした男子部員が、ほうほうの
「編集長っ!! 凶暴なヤンキーが殴り込みに来ましたぁっ!!」
はたして部室の奥には、地味な三つ編みメガネながら、風格を漂わせた女子生徒が鎮座していた。
「何だべ、うっつぁし……んぁ? どしたぃ、
「おい、話がちげーぞ!! メンバー募集だっつったろーが!! 何だこのフザけた記事はよぉ!!」
『当方ギター、ベース。それ以外のパート求む。※記事の写真がメンバー近影』
「要項は載せてあっぺし、おめらの写真も使うって許可したっぺよ」
「盗撮とか聞いてねぇよ!! つかこれ、ドローン撮影かっ!?」
編集長は悪びれずにうなずいた。
「試運転中たまたま
「言われてみれば……確かに迫力あってカッケーな!」
「あなたが丸め込まれてどうしますの!?」ぴあ
「なして
編集長の問いかけに、ぴあ
「だって、これじゃ
「ただなんねぇ関係と違うんけ?」
質問を振られた
「ま、
「色々……ですって…………?」
「ま、待てって! まだ何もしてねーから! これからっつーか……」
「……そう……ですの」
一転しての神妙な面持ち。ぴあ
「……決めました。こうなったら、わたくしもバンドメンバーに立候補いたしますわ!」
何が「こうなったら」なのか。
「はぁ!? り、立候補って……一応募集かけちまったし、お前もちゃんとオーディション参加しろよ?」
来るもの拒まず。とはいえ、公平性を考えて釘を刺すことも忘れない。
「望むところですわ。
「だから勝負じゃねぇって……」
自称ライバルによる嫌がらせもここに極まれリ、と
# ♪ ♭
★ぴあ
https://kakuyomu.jp/users/mano_uwowo/news/16818093086176441008
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