Singularity
chapter 1
2045年9月2日。イチロクフタマル。
霧雨けむる伊丹飛行場に、僕を乗せた高麗陸軍のオスプレイ輸送機は降り立った。
輸送機は兵隊や物資を積んで元気よくインチョン国際空港を飛び立ち、深い青色の波をたたえたトンヘをぬけ、中国地方の山々を横切った。やがて眼下には都会の街並みが開け、空港が見えてきた。
正確に言うと、ここは<ITAMI Air Base>。米軍が接収した軍用飛行場だ。米軍がここを管理運営しており、連合国軍がそれを使わせてもらっている形に現在はなっている。敗戦国の日本国民が旅行で飛行機を利用することなど当分の間ないだろうから、それで今のところ問題はない。
暦の上ではとっくに夏の盛りを越したとは言え、暑さは依然として厳しい。大阪に転属になって、上官に着任のあいさつがあるもんだから、僕はこのクソ暑いのに陸軍正服。ま、早い話が軍服の背広版だ。背広じたいが軍服由来だから、「軍服の背広版」という表現が適当かどうかよくわからないけれど。金モール入りの制帽、アーミー・グリーンの開襟型夏季ジャケットにネクタイといういでたち。米軍ではこれをClass-A Army Service Uniformというんだそうだ。米軍のコピーに等しい我が高麗陸軍でも、これを正服とは言わず、ふだんはクラスAと呼んでいる。そのほうが耳で聞くぶんには、紛らわしくなくてわかりやすいから。
外ではオスプレイのプロペラが排気ガスと雨粒を盛んに宙に巻き上げている。僕は制帽が飛ばされないよう手で抑えながら、管制塔ターミナルに向かって滑走路を小走りに駆けていった。
ふとターミナルのほうに目をやると、夏季勤務服に身を包んだ若い兵士が一人、傘をさしながらこっちに向かって走ってくるのが見えた。ベレー帽を被り、白の半袖開襟シャツにアーミー・グリーンのスラックスという、僕よりいくぶんは涼しげな装いだ。ちなみにこっちはClass-B ASUだから、呼び方は「クラスB」。
彼はみるみる近づき、やがて僕の目の前で立ちどまった。
「……必・勝!」
兵士は右手を挙げてそう叫ぶや、僕に向かって敬礼した。忠誠、団結、必勝……今となっては数少ない、大韓民国陸軍時代以来の伝統だ。階級章をみると彼は下士官。
「ヤン・ヨハン少尉。お迎えに上がりました。司令部までご案内いたします」
下士官は直立不動の姿勢でそう言うと、携えてきたもう一本の傘を差し出し、入れ違えに僕の手からカーキ色のダッフル・バッグをもぎ取った。僕はありがたくその傘を頂戴し、彼に伴われていったのである。
近くに停めてあったライトグレイのEVマイクロバスに入ってみれば、運転席のないガランとした車内。座席とモニター画面があるのみ。どことなくMade in Korea とはしつらえが違うそれは、見たところ日本軍から接収した兵員輸送車両のようだ。日本車の内装デザインは我が国産車とは印象が微妙に異なる。どうやらゲストは僕ひとり。バスは僕が乗り込むとすぐ動きだした。
バスは空港を出るとすぐ横のハイウェイに吸い込まれ、占領軍車両優先レーンに乗っかった。そして天井の赤青ライトが点灯し回りはじめると、周囲の車は一斉に端によって我々に道を譲りだす。これはハイウエイの完全自動運転が実現した頃から見られるようになった光景だ。バスはそうして一般車両を脇へ脇へと追い払いつつ、徐々にスピードを上げ、阪神高速十一号池田線をスルスルとひた走った。
空港周辺は倉庫や工場のような建物が建ち並ぶ、殺風景でガランとした工業地域。マイクロバスはそこを走り抜けると間もなく住居地域にさしかかった。走行中視界に入るものといえばトラックに乗用車、バス、道路、また道路、両脇の防音壁。あとはどこまでも続くどんよりとした空の色……まったくもってハイウエイの風景などいずこも似たりよったりだ。
退屈のあまり、僕は天井の車載マイクに向かいネット・ラジオをリクエストした。
「ウンニョ、K-POPチャンネルを頼む」
するとまろやかな、えも言われぬ美しい女性の声が車載スピーカーから響いた。高麗軍セントラルAI〈ウンニョ〉の声だ。
― ピッ……KBRラジオ、〈I love K-POP〉を選局します……
音声案内の後、輸送車のチープなスピーカーからは西暦2000年代のK-POPラップ・ナンバーが流れだした。それはまるで1950年代のジャズのレコードか、AMラジオのようなこもった音で。この輸送車のメーカー、製造コスト削減とは言えケチりすぎだろう。
変な話、その時の僕には、そんな安っぽい音響が何故だか妙に心地よかった。おかげで僕は心身ともリラックスし、しばしのあいだ車窓の風景と音楽を楽しめたのである。
やがて出迎えの下士官がおもむろに口を開いた。
「あのう……少尉殿」
「ん?」
「ひとつお聞きしてもよろしいですか?」
「もちろんだ」
下士官の面影にははまだ、あどけなさが残る。志願兵で昇進が早かったのかも。僕とそう年齢が変わらないからと、親近感を持ったのかもしれない。僕はウンニョに向かって音楽を止めろ、と命じた。
「どうした?」
「はい、私にはどうしても解ふ」
「言ってよし」
「はい、日本がアメリカに一発かまされたのは核開発と、武力による領土の原状変更だったと思うのですが、わが国だって核兵器はありますし、他国の領土を侵略した国は日本だけではないと思うのです。だのになぜ、日本だけが罰せられるのですか?」
僕は返答するのが少々おっくうになった。シンプルなわりに明快な答えがないから。
「まあ、成り行きってやつかなあ」
「はぁ……」
下士官は納得していないようだ。少し不親切だと思われたかも知れない。
「君が疑問に思うのはもっともだよ。僕だって同じ思いだから」
共感を示されて、下士官の表情が少し明るくなった。
「まあ、核兵器に関して言えば、わが国の核兵器は北の将軍さまが持っていたものを我々が引き継いで管理している、という表向きの理由があるが、日本にはそもそも核はなかった。それだけの違いさ。独島と北方領土の侵略について言えば、日本はなめられたんだな、軍事的に」
「はあ、しかし少々強引な気がします。無理やりこじつけて難癖つけたみたいな……」
「君の疑問は世界中の人が持っているものだよ。まあ、タイミングも悪かったなあ。アメリカの大統領選挙があったし、その顔に泥を塗ったみたいな感じになったから。おかげで景気もよくなったし、史上初の女性大統領として箔がついたしね。要するに大した理由などないよ」
「その程度のことでたくさん人が死んで、国家が踏みにじられるなんて、あんまりですね」
「まあ、そんな話は人類の歴史上、いくらでもある話さ。日本にだって隙はあった。いい気になって<一人前の国>だの<誇り>だの<矜持>だのと、イキがる連中が国の中枢を握ったから。アメリカという虎を尾を踏んでしまったわけさ」
「万事、アメリカの機嫌次第、ということですか?」
「ほぼ、それに尽きると言っていい」
「つまらないなあ。これだけの犠牲があったのだから、ちゃんとしたそれなりの理由が欲しいですね」
下士官は微笑んで言った。
「少尉殿、日本はいいですよ。女はカワイイし食いもんはウマい。任務だって楽勝です。ようこそ日本へ」
バスはその後淀川を越え、オフィス・ビルが建ち並ぶ大阪中心部に入った。
大阪の街は効率化され多機能化された大都市だ。それがどこかの国の首都であったとしても不思議ではないほどに。見渡す限りの広大なコンクリート・ジャングルのあちらこちら、大中小様々な形状の高層ビルがニョキニョキと、あたかもバオバブの大木のようにそびえ立っている。その下には何車線もある広い道路が整備されていて、それが縦横無尽にどこまでも果てしなく伸び、その上を高架式の環状道路が天蓋のようにふさいでいる。コンクリートの森は幾つかの運河で分け隔てられ、その島々を数多くの橋がつなぐ。その様はまるで街全体が大きな汚水の河に浮かんでいるような、そんな錯覚すら引きおこすほどだ。
あたかも一独立国家の構成員……大阪の民衆はある種の大国意識で結びつき、首都東京をライバル視している、と言われる。それはこういった広大な空間に巨大インフラや資産を保有している、という自負心からかもしれない。とはいえ大東京とは異なり、大阪の空は広く感じる。巨大摩天楼が東京ほどには密集してはいないからだ。その数と規模において大阪の建物は東京のそれに及ばない。そして今や大阪の街は、連合国軍の精密爆撃で来上がった廃墟の跡が街のあちらこちらに散らばっている。モザイク状に、あるいはまるで絨毯にあいた穴のように。それは何だか計画的で大規模土地開発事業のようにも見える。
ほどなく、我が兵員輸送車両は大阪府庁にほど近い超高層オフィスビルに到着した。空港からはほんの2〜30分ほどの行程だった。
〈General Headquarters Korean Army Occupation Force》との看板がビル 玄関脇にたっている。高麗共和国占領軍総司令部。略してGHQ/KAOF 。
45階建てのこのビルはもともと、IT系巨大企業<HARD CRANK>大阪支社があったところだ。当該建物も占領軍が接収した。その規模と立地において、我が高麗共和国占領軍総司令部たるにふさわしい建物だったからである。空港にせよオフィス・ビルにせよ、占領軍が使用する施設およそ全て、表向きは日本政府が借り上げたうえで占領軍に提供する形を取る。しかしその実態は連合国軍最高司令官やその取り巻きの単なる我がママ、思いつきの押しつけでしかない。敗戦国の日本には占領軍からの要求を拒否する自由などあって無きがごとしなのだ。NOと言うならYESと言わせるまでのこと。むろん占領軍はその賃料、補償費用その他一切を負担することはない。降伏文書に従い、請求書の宛先はすべて日本政府である。
バスはビル正面入り口の車寄せに停車し、僕は広々としたエントランスからロビーに入った。そこは天井の高い、開けた空間。素材の大理石とガラスが醸し出す、清涼ではりつめた空気に満ちていた。左手を見ると無人の受付カウンターがあり、背後の壁には大型モニターが掲げられていて、その画面上をネオンのような円形オーディオ・スペクトラムが漂っている。本来そこにはビル所有者であるHARD CRANK社のロゴがあるはずなのだが、モニターがそれを上から覆い隠している格好だ。
僕は受付カウンターに歩み寄り、モニター画面に向かってこう告げた。
「ウンニョ。第29歩兵連隊第12中隊、ヤン・ヨハン。着任手続きを」
するとまた、あの美しい女の声が響いた
― アニョンハセヨ、ヤン少尉。ご苦労様です……
― 生体認証をします。頭を動かさず、しばらくそのままじっとしていてください……
AIが何かを話すたびモニターの音声波形がキラキラとゆらめいて、ちょっと幻想的だ。AIの音声は音響技術により僕の耳の周辺でしか聞こえないようにスピーカー設定がなされている。だから僕とAIとのやりとりが周囲の人におおっぴらに公開されるようなことはない。
― 認証完了。第29歩兵連隊第4大隊第12中隊、ヤン・ヨハン少尉。
― これより24階・General Staff Section.1 、総務部人事課まで出頭願います。
ー エレベーター・ホールは正面玄関から向かって左奥にあります……
音声案内と共にモニター画面には小さなウインドウが開き、現在位置と館内見取り図が表示された。僕はAIの指示通りエレベーター・ホールに進み、数ある行列の中から比較的人数の少ないのを選んでエレベーターに乗り込んだ。
この建物には2つの総司令部が同居する。連合国軍総司令部(GHQ)大阪ブランチと、連合国軍を構成する高麗共和国占領軍の総司令部だ。連合国軍のGHQは高麗国軍の建物を間借りしている格好だが、その実態は高麗国軍であり、米軍の連絡将校が常時詰めているに過ぎない。そして僕は高麗国軍から連合国軍に転属させられた形なっているが、実際の活動は高麗国軍が行う。
エレベーターには既に先客が数人いて、そのうちの一人はシックな紺色のスーツに身を包んだ、かなりイケてる女だった。女と僕はその時思わず目が合った。
ロングヘアを大胆に後ろで束ねた、大人びたシニョン……
真っ白な肌にエキゾチックな切れ長の眼……
これが僕とスナとの初めての出会いだった。スナの名は、ネック・ストラップのIDカードに「ソ・スナ」とあったのを目敏くチェックした。もちろん、そのカードが乗っかっているオッパイが結構でかいということも。IDカードによると彼女の所属はCIS/Special Staff Section(幕僚部・民間諜報局)。米軍が主体の連合国軍内部では英語が公用語で英語表記が基本である。この部局のミッションは日本の治安維持についての政策立案と、日本政府が総司令部の指示を順守しているかどうかを調査すること。軍服でないところを見るとたぶん彼女は民間人要員、いかにも頭が切れそうで気位も高そうだからリサーチャー、調査専門官か何かだろう……とりとめもなく僕はそんなことを考えていた。
やがてエレベーターの扉は開き、<General Staff Section.1>の看板がある窓口が目の前に現れた。僕は受付カウンターに歩みより、そこにいたアジア系の女性スタッフに高麗語で話しかけた。
「第29歩兵連隊第12中隊所属、ヤン・ヨハン少尉であります。本日付けをもって参謀第2部・翻訳通訳部に出向を命ぜられました」
するとPC作業中の女性職員が一人、顔を上げた。
「……認識番号を」
「1910-0829-45-815W」
僕が告げたのはアメリカの社会保障番号に相当する国民登録番号だ。現在ではこれと軍隊の認識番号が共通なのである。
女性はキーボードで何かを打ち込み、モニター画面と僕の顔を見比べた後、極めて事務的にこう告げた。
「OK、手続き完了です」
彼女はそう言うと静かに立ち上がり、背後のファイル・キャビネットに並べられたクリア・ファイルを指で繰りはじめた。そしてその中から一つを選んでICカードを一枚取り出し、僕に手渡した。
「こちらへどうぞ」
僕はオフィスに招き入れられ、居並ぶデスクの谷間をどんどん進んで奥の一室に伴われた。そこはフロアとはパーテーションで区切られただけの簡易な空間だ。
女性はノックもせず部屋のドアを勝手に開け、誰かに来客を告げた。中では部屋の主らしき人物が、デスク上のモニター画面を一心不乱にチェックしている最中だった。手には紅茶か何かが入ったカップを優雅に持ち、株かFX取引のチャートのようなものを食い入るように見つめている。
「お! ちくしょう、下げて始まりやがったか」
主は人事課長のチェ中佐。その風貌は軍人というより銀行マンだ。待たされることそれからしばし、ふいに課長が僕たちに視線を向けた。
「なんだ、また野郎か。あれほど女をよこせと言ったのに……ったく連隊本部のアホどもめ。まあいい、とにかく仕事は山積み、猫の手も借りたいぐらいだからな」
課長はそうボヤきつつティー・カップを脇に置いた。そして僕からICカードを受け取ると、それをリーダーに通して投げ返した。ようやく彼が挨拶をくれたのはその後のことである。
「ようこそ、地獄の一丁目へ……」
熱い歓迎の言葉もそこそこに、課長は女性に向かってパチンと指をならすと、いいからもう出て行け、とでも言わんばかりに手を宙で払った。
僕は手招きする女性ともう一度エレベーターに乗り、今度は25階にあるGeneral Staff Section.2(参謀第二部・通称G2)の窓口に案内された。そしてそこでセキュリティ・チェック済みの連合国軍正規モバイルPCを一台支給された後、G2翻訳通訳部の一室にデスクをあてがわれ、翌日以降ここで勤務することと相なったのである。
バッグの所持品をデスク引き出しに整理していると一人の男性がやって来て、開かれたままのドアをノックした。
「部長のキムだ。平壌大学法学部法律学科卒だって?弁護士資格はもうとったのか?」
男性はそう言うと僕に握手を求めた。
年齢は四十半ばぐらい。銀色をした短かい髪を端正にまとめ、精悍な顔立ち。かなりの色男だ。180cmほどの長身は鍛え上げられ、キリリとひきしまっている。襟の階級章は大佐。
僕はその場であわてて直立不動の姿勢をとり、敬礼をした。
「お目にかかれて光栄であります、キム大佐殿! 資格は取得済みであります」
キム大佐は僕と握手のあと、部屋の様子を眺めながら歩きだした。
「まったく陸軍上層部のおエライさん方ときたら……占領行政なら法学部出身だろうってんで、バカの一つ覚えみたいに特幹将校を送り込んできやがる。法律・行政・政治……専門分野の区別もなしに、だ。ハハハ、おかげでGHQの将校は弁護士出身だらけさ」
大佐は僕の椅子に浅く腰掛けると膝を組んだ。
「ところで君の専門分野は?」
「企業財務とM&Aであります、大佐殿」
「ふむ……俺は士官学校出の純粋培養、娑婆のことにはうとい。だが、その話だけでも君の調査能力には期待がもてそうだな」
「おそれいります、大佐殿!」
「それで……君は高学歴なのにどうして歩兵を希望した? 法務将校なら歩兵よりもっと待遇がいいはずだし、キレイなおネエちゃん達だってわんさかいる。三食昼寝付きはキライか?」
まさか、軍隊に居座るつもりなど毛頭なかったなどと、正直に言えるはずもない。僕はかねての想定問答通り、模範解答で応じた。まるで企業の就職面接か何かみたいだけれど。
「軍隊とはすなわち陸軍、兵といえば歩兵! 自分は戦闘が性に合います。それで歩兵を志願しましたっ!」
「……フフそうか? まあいい。おそらくベストな人選なんだろう。AIってやつは何を考えているんだか外部からは皆目見当もつかんが、結果的にはピンポイントで核心をついてくるからな。いずれにせよ他国の占領など百年に一度あるかないか、世界史レベルの話だ。貴重な体験だし、願ってもない出世のチャンスでもある。せいぜい実績を残したまえ」
「ありがとうございます、大佐殿!」
大佐は椅子から立ち上がってズボンのヨレを直した。
「惜しむらくは美女通訳じゃなかったってことか。ま、所詮はアメリカさんにお付き合いのやっつけ仕事。日本の占領統治など我が国防衛の任務ではない。肩肘はらず気楽にいこう。えっと、ヤン……ヨハン少尉、だったな?」
このあと、ヒトハチフタマルから将校クラブで歓迎会をするので参加するように……部長はそう言い残すと僕の尻を軽く叩いて去っていった。
どうやら僕は運がいいようだ。温情にあふれ、惚れ惚れするぐらい洗練された上官に恵まれたようだから。
大佐を見送ったあと僕は中断していた片付けを再開、最後に支給されたモバイルPCのセットアップをして音声・マイクのアプリを立ち上げた。するとすぐに連合国軍セントラルAIが女性の声で話しかけてきた。
― Hello,Second Lieutenant Yang.
― How are you today?
― I am an intelligent Personal Assistant.
― What can I help you with today?
英語圏仕様のAIにはどうやら設定変更が必要なようだ。
「Um...Korean please........」
― 了解、高麗語モードに設定変更します。変更を保存しますか?
「設定保存」
― 設定保存しました。少尉、G2にようこそ。フライトは快適でしたか?
「フライト? ああハハハ、ありがとう。ところで麗しい声だね。君の名は?」
― お褒めにあずかり光栄です。miAと呼んで下さい
「OK,mIA……ついでにチと尋ねるが、将校クラブ本日おススメのアペタイザーは何だい?」
― 少尉の注文履歴を検索します。お待ちください……
― シーフードがお好きのようです。それで間違いございませんか?
「そうだな、よく食べるよ」
― 本日はヒラメのフェ(なます)、サンナクチ(タコのおどり)がおすすめです。
「洋食がいいね」
― イタリアンでよろしければ、本日のシェフお奨めは……イワシのマリナーラ、真鯛のカルパッチョ、イカのインパナータ等ございます。その他にも当該店舗ではヴェルミチェッリのアマトリチャーナが好評です。是非お試しください。
音声案内と同時にモニター画面には小さなウインドウが立ち上がり、将校クラブのメニューの抜粋が表示された。
「ハハハ、鯛以外食ったこと無いのばかりだな。試してみるよ」
― いずれも少尉のパーソナルデータ上、満足いただける確率が高い候補です。ビールはもちろん白ワイン、もしくは焼酎をあわせご注文ください。私からシェフに少尉のティストを送信しておきます。
「Thanks mIA......ところでキム大佐殿が部下の評価を下げるのは、いったいどんな場合だ?」
― 質問の内容が漠然としているようです。大佐の人事評価の傾向を分析しますか?
「続行」
― 大佐の人事評価に関するデータを検索します、お待ち下さい。
― 軍のデータベースによれば、生真面目、融通がきかない、熱血漢、猪突猛進……大佐のネガティブな評価の70%は、これらのキーワードに関連したものです。
― キーワード以外での傾向も参照しますか? これには少々時間がかかります。
「いや結構だ。なるほど、さっきの返答じゃ落第だなこりゃ。では大佐のお気に入りになるにはどうすればいい?」
― 質問の内容が漠然としているようです。大佐の興味関心分野について検索しますか?
「んー、とりあえず続行」
― 大佐の興味関心や好みに関するSNSの記事を検索します。しばらくお待ちください………
― 読書傾向からみた興味関心分野の上位は、歴史、戦史、古典兵法書、経営学、行動経済学、企業マネジメント関連、電子工学関連。
― 趣味はサッカーでアーセナルの熱狂的ファン。
― 愛車はBMWのクーペ。御祖父様からの入学祝いの贈り物で、士官学校時代からずっと大切にしておられます。独身時代、現在の奥様とのデートにも使われた思い入れのある車です。
― ひいきの芸能人は演技派女優、ユ・ミヒャン
― 音楽はクラシック、中でもブラームスをこよなく愛しておられます。
― お酒は焼酎派、もっぱら一人酒を好まれます
― 人物は実直で飾らないタイプを好まれます
― 以上がSNSの検索・更新履歴からみた、大佐の興味関心上位の項目です。大佐は履歴へのアクセス制限を一切設定しておられません。他にどんな検索結果をご希望ですか?
「ストップ、もういい。また今度聞かせてもらうとしよう。そろそろ将校クラブへ行かないと、それこそ大佐殿の機嫌を損ねてしまいそうだ。検索履歴アクセス制限を設定、ログオフ、mIA……」
― アクセス制限を設定しました。ご一緒できて光栄です少尉。楽しいひとときを……
mIAの別れの挨拶とともに、パソコンは自動的にスリープモードに入った。
将校クラブはビル最上階のラウンジにあった。ネイビーを基調色とする間接照明の薄暗い店内、ローテーブルにシックなソファ。調度品の全てが低く統一された店舗設計は深海を思わせる。
僕が到着すると、白のユニフォーム、Class-B ASUに身を包んだ二十人ばかりの将校たちがテーブルを囲み、カクテルを楽しんでいた。キム部長が僕に気がついて手招きしてくれる。近づいてみて驚いたのは、先ほどエレベーターで出会ったスナがそこに座って微笑んでいたことだ。後にわかったことだが、スナの所属する幕僚部・民間諜報局はG2に一旦移管された後幕僚部に戻されたものの、近々廃止されて再びG2に統合される予定とのこと。それでスナの同席に合点がいった。確かに双方のミッションには重複する部分が多い。
「みんな聞いてくれ。新入りのヤン・ヨハン少尉だ。面倒見てやってくれな」
ヤンです、どうぞよろしく……僕が挨拶すると皆立ち上がり、順番に握手をして歓迎してくれた。冗談を交えながら僕の自己紹介と質疑応答の時間が、そして翻訳通訳部の将校とスタッフの自己紹介がそれに続いた。皆若くて魅力的、有能そうな人達ばかりだ。印象は悪くない。これなら何とか楽しくやっていけそうな気がした。
部長はその場で皆にこんな話をしてくれた。
短期の戦闘終結で日本の生産設備・インフラの状態は良好だった。だから日本の復興は早そうだと世界中から思われていた。ところがいざフタを開けてみれば、放射性物質による環境汚染が深刻であることが次第に明らかになってくる。フグシマの原発の廃炉も終わらぬうちに、だ。日本軍の弾道ミサイルのサイロがあったホガイド、フグシマ、ニガダ、ワッカヤマ、シマネ、コチ、カゴシマ、オギナーは放射性物質で汚染され、かなりの地域が当分の間、人の立ち入れない禁足地となったという。除染完了の目処は全くたたないのだそうだ。
キム部長が一足先に席をはずすと、一人の民間人スタッフの男性が僕に声をかけてきた。
「これから少尉のアシスタントを担当させていただきます、調査専門官のパクです。どうぞよろしく。業務の引き継ぎは僕にお任せください。ご不自由がないよう精一杯お手伝いさせていただきます」
彼はきれいにメイクアップしていて、耳にはピアス、目にはブルーのカラーコンタクト、茶髪のヘアスタイルはボブカット……そんな中性的な装いの美しい男性だ。ひょっとしてゲイなのかもしれない。今時の軍ではめずらしい話でもないが。
「この後、街に繰り出しての飲み会です。いやだとは言わせませんよ。部長の方針で新入りの方には皆で酒をおごることになっているんです。飲める、飲めないにかかわらずね。まあ、今夜は楽しみましょう」
それからみんなしてタクシーに分乗し、ネオンやイルミネーションきらめく大阪の高級歓楽街、〈キタシンチ〉にくり出した。
街ですれ違う日本人は暗かった。みな自信を失い、政治不信に陥り、将来不安におののいていた。
失業に年金破綻、ハイパーインフレ、米ドル・高麗ウォン支配。
窃盗・強盗・殺人・放火
自殺者やメンタル疾患の急増、アルコールや薬物中毒の蔓延。
顔認証と監視カメラとドローンによる監視社会……。
しかし自業自得だ。すべては自ら招いた結末なのだから。
そして彼ら日本人は我々占領軍に憎悪と敵意、そして恐怖の入り混じった、何とも言えない複雑な眼差しを向てくる。一人前の男たちはやっかいに巻き込まれないよう、できるだけ我々から視線をそらす。無理もないだろう。いかめしい軍服を着た敵国軍人がアサルト・ライフルやカービン銃、ピストルで武装し、偉そうに自分たちの街を闊歩しているのだから。
「アメリカは裏切り者だ。最初は日本の核武装に反対しなかったじゃないか」
同僚たちによれば、これが今度の敗戦についての日本の支配的な世論だそうだ。しかしそんなことは言い訳にはならない。アメリカが世界の王様ではないのだし、正義の絶対的基準でもない。例えアメリカに裏切られたのだとしても、今日の敗戦という事態が日本自ら招いた結果であることに変わりはない。
道路の両脇にびっしりと立ち並ぶキタシンチのテナント・ビル群。せり出した店の看板が、まるで空中のドミノ倒しのようにひしめき合う。そんな高級歓楽街の一角にある、とある高級クラブに我々はなだれ込んだ。それは看板がどこにあるのかさえよくわからないような、メンバーズ・オンリーの閉ざされた地下空間。入った瞬間非日常、気分がすこぶるアゲアゲになる。
黄昏色の間接照明とスポットライトの落ち着いた店内。
店の広さとは不釣り合いなほど高い天井。
ホール中央にはせりあがった円形ステージがあり、その上ではスーツ姿のバンドが生演奏で客を楽しませている。効果的にちりばめられたテンション・コードとドラマチックな転調が聴衆の感情をめまぐるしくゆさぶる、都会的でこジャれた曲だ。ジャズとかフュージョンっぽい。そのまわりでは客とホステスの何人かがダンスに興じていた。
我々はその店のVIPルームの、やたらと豪華なソファに行儀よく並んで座った。
「あらーん、いらっしゃいまっせ~。将校ご一行様……今日、キム大佐殿は非番?」
上品にメイクして、キモノやドレスで着飾ったゴージャスなホステス達。彼女らの「オモテナシ」を受けながら、我々はキム部長がボトル・キープした高級ブランデー、リッチなフレンチ・ワインを何杯か楽しんだ。黙って座っていればホステスが笑わせてくれるし、退屈そうにしていればホステスがダンスに誘ってくる。若い将校ご一行様は借りてきた猫のようにお行儀よく、VIP待遇のオモテナシを受けていた。
そこはメニューもなければ請求書も領収書も存在しない、不思議な世界だった。頼みもしない料理やフルーツやスナック類が次々と運び込まれ、注文さえすれば畑違いのものだって何だってそこで提供される。一般客の区画ではソファーの上で出前の「こってりラーメン」をすする者さえいた。この店のスタッフの辞書には「できません」という言葉がまるで存在しないようだ。今夜あのホステスが欲しいと無茶ブリされたって、彼らならきっと何とかするんだろう。ホステスのドレスの胸元に札束をねじ込み、ミニ・スカートの下から手を突っ込んでいる男性客。ホステスはシャンパン・グラスを片手にゲラゲラ笑っている……まさにカオスだ。
どうやらここは高麗陸軍御用達か、実質的な経営者が軍関係者ってとこだろう。そうでなくとも軍の厳重なセキュリティ・クリアランス済みだろうし、おそらく軍との裏取引か何かが存在するはずだ。我々は請求書を見せられることも、支払いを求められることもなくその店を後にした。
その後仕事が残っている人とはそこで別れ、僕は同じチームに所属するメンバー数人とそのまま〈ツルハシ〉へと流れていった。そこはキタシンチとは対照的に、庶民的で手垢にまみれたような下町風情の残る街。オオサカにはコリアンタウン、K-POPに韓流ドラマ、コリアンコスメ、コリアン・ファストフードと何でもござれだ。いったいここはどこの国だと言いたくなる。
〈朝鮮崇拝!〉……高麗文化を愛好する日本人をそう罵り、悔しがる嫌韓日本人がいるらしいが、今となっては所詮負け惜しみのたわごとでしかない。
ツルハシに限ったことではないが、幹線道路から少し脇へ入るとあちこちに大阪の「別の顔」が見え隠れする。第一印象である「現代的な大都市」とはまた少し違う顔だ。洗練されたモダンなデザインのオフィスビル。そうかと思うといつの時代に建てられたのかわからないような薄汚れたビル。そういう背の高い建物や低いのの隙間を戸建て住宅のような古い民家が埋めている。大規模商業施設に集合住宅、カラオケ店やパチンコ店や風俗店、バリエーション豊かで無国籍な飲食店、そうかと思うと古風な伝統的産業の店があったり、狭隘で薄汚れた庶民の店があったり……そういった大中小様々の建物が雑然と、所せましと乱立しているのである。そして細い道路や路地がその間を縫うように入り組んでいて、まるで迷路のようだ。「猥雑」という言葉はまさにこの街のためにある。
何軒かハシゴして結構いい気分になった頃、あるヤキトリ屋でスナと隣同士になった。聞けば彼女は名門・梨花女子大出のエリートで、実家は某機械工作メーカー経営のお金持ち、という典型的お嬢様。卒業後は母親の経営する貿易会社に入社予定だったらしい。しかしそこはお転婆な彼女、嫁入り前の青春の記念にささやかな冒険旅行が突然してみたくなった。そんな折、大学就職課の求人情報で偶然見かけた軍の民間スタッフ募集広告に応募したのだそうだ。もちろん実家はひっくり返ったような大騒ぎになったが、成人した彼女の決断に干渉することはできない。以来彼女は軍に居座り、家族の目から解放されてのびのびやっている。どうやらスナは僕に関心があるようだ。控えめに自己アピールをしてくるのでそれがわかる。スナはモバイルフォンを取り出し、メッセージ・アプリのメンバー登録をしようと提案してきた。いつ利用する機会があるやらわからないが、特に拒否する理由もない。
そんな時、思わぬ事件が起こった。
我々が高麗語で会話しているのを小耳にはさんだ「酔っぱらい」がカラんできたのだ。その中年男はかなりの酩酊状態で我々のテーブルの脇に立ち、ろれつが回らない舌で「チョンコロ」だの「ゴキブリチョン」だのと言い始めた。顔色を失った友人たちがあわてて酔っぱらいをぶんなぐり、無理やりテーブルに連れもどしたが、彼は言うことをきかなかった。何度となく我々のテーブルにやって来てはカラんでくる。友人の多くはとばっちりを食うのを恐れ、ついには彼を見捨ててその場から逃げ出してしまった。
「エイ チャム、シクロウン。イ ヤルグジン バボガ モラゴ?」
(このしつこい奴め。このイカれた阿呆は何を言ってやがる)
ソフト・モヒカンのヘアスタイル、屈強なスポーツマンタイプのカン少尉が僕に尋ねた。気にしないで、知らない方がいい……僕は彼にそうアドバイスした。
しかし酔っぱらいはしつこかった。カン少尉は立ち上がると彼の胸ぐらをつかみ、あっちへ行け! と日本語で怒鳴りつけて彼を突き飛ばした。普通ならそれで終わるところだ。ところが懲りない酔っぱらいがカン少尉の背後から絡みついたものだから、少尉は飲みかけのビールをこぼし、股間をビショビショに濡らしてしまった。
これで完全にカン少尉の堪忍袋の緒が切れた………。
少尉は酔っぱらいの髪の毛をわしづかみにして店の外へ引きずり出すと、歩道に寝転がった男の顔面をしたたか蹴り上げた。まるでサッカーボールをロングパスでもするように。ごつい軍靴の先を食らわされた酔っぱらいの顔は無残につぶれ、頭蓋骨がコンクリートに激突する、ニブい、不気味な音が周囲に響きわたった。どうやら酔っ払いの気管はとめどなく溢れだした鼻血で詰まったらしく、呼吸困難にあえいでいる。しかしその弱々しいうめき声も徐々に聞こえなくなっていった。それを見たスナが突然悲鳴をあげたものだから、それ以上無残な光景が目に入らないよう、僕は彼女の顔を自分の胸でふさぐしかなかった。
「ヘッ! イ ピョンシン!」(このクソったれが!)
罵声とともに誰かが酔っぱらいの頭を蹴り飛ばし、その全身がだらしなく波打った。カン少尉のアシスタント、キム君の仕業だ。
キム君はピクリともしない酔っ払いの顔を覗き込んだ。
「イノム チャシク。チュゴボリョッソ?」(このガキ! くたばりやがったのか?)」
大至急「清掃」を手配します……キム君はすぐにモバイルフォンで日本の警察に事情を話し、現場の後始末を命じた。
このような場合でも、日本人警官が我々に事情聴取するというようなことは一切ない。警察には我々を捜査する権限などないからだ。誤解を恐れず単純化すれば、我々占領軍は日本の法律を超越した存在である。降伏文書の合意に従い日本の国家主権は占領期間中、相当部分が休止ないしは極めて制限された状態で、我々に献上した占領統治権より下位なのだ。日本国は占領軍の指導や助言のもと、制約された主権を行使しうるにすぎない。
それに我々G2将校にはその目的を問わず、どこであろうと無令状で捜索差押えをする強制権限が連合国軍最高司令官直々に与えられている。そのうえ任務の遂行を妨害する者があるときは、例えそれが何ぴとであろうと無警告で射殺する「事実上の」許可もある。いわゆる「殺しのライセンス」というやつだ。従って警官が我々を誰何したところで、そもそも意味はないのである。
もちろんこんな話は国際法上、厳密に言うと認められない。しかしそれを取締る機関が存在しない状況では事実上野放しとなる。国家の上に国家無く、連合国は利害の異なる諸国の寄せ集めに過ぎないのだ。また日本政府が降伏文書のこういう運用に文句を言わない以上、それを追認したことにされる。ことほどさように敗戦というものの現実はシビアなのである。
厳密な議論を始めれば、そもそも今回の連合国軍成立過程や日本への軍事力行使、GHQによる軍事占領や軍政統治など、あちこち瑕疵だらけで全てが違法となりかねない。国内法でさえ適当でいい加減な部分が払拭しきれないのであるから、国際法となるとなおさらのこと。だからといって占領行政をいちいちストップさせていては物事はいっこうに前に進まなくなるのである。不幸なことに、日本が頼るべき国際法は絶えず未整備で発展途上の段階にあり、国家間の力関係で物事が決まるきらいがある。そしてそれは何も今回の件にはじまった話ではない。連合国が成立以来とってきたアクション全般について言えることだ。正解が無いなかで我々は、Try and Error を続ける他ない。
カン少尉は僕にスナをつれて司令部にもどるよう指示し、タクシー配車サービス・アプリで車を手配してくれた。そうして僕はスナを連れ、パトカーの赤色灯が回転する騒々しい事件現場を後にした。やれやれ、着任早々とんだ歓迎会になったものだ。
事件は後日、事もなげにもみ消された。司令部に所轄警察幹部が呼び出され、頭部のない身元不明の遺体として処理するよう圧力がかけられた。テレビや新聞社には占領軍検閲部門から圧力がかけられ、ニュース上は交通事故死という扱いになった。もちろんその場にいた被害者の友人達は「それはおかしい」と異議を唱えたが、とりあう者など誰もいなかった。
後日、カン少尉は憲兵司令部(PMO)に出頭を命じられ事情聴取を受けたが、特段のお咎めもなく、事実関係の確認だけで十分後には解放されたとのことだ。
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