第6話「リサと遊ぼうよ!(リサ√)」


 僕は記憶をロードした。

 今度はエリナと勝負を始める直前にオートセーブが起こったようだ。

 僕はこの機能を歯がゆく感じた。

 だってカサンドラに追われる直後だったらエリナの部屋に入らずに済んだからだ。

 メアリーやレイア、他の令嬢達なら話し合いが迅速に進みこんな事にはならなかったかもしれない。


 恋愛と言うのは少なくとも恋愛感情を持った同士がやるのが絶対である、というのは大きな間違いで、形だけでも恋仲になろうという行動でも十分恋愛と呼べる。

 政略結婚も愛の無い結婚というだけで結婚と呼ぶわけだし。

 何が言いたいかと言うと僕と彼女らは現在一応は恋愛関係と言う利害関係にある訳で、それがこじれている一部の令嬢以外とは友好関係にあるはずである(自身との婚約破棄がかかっている場合を除く)。

 だから彼女達と接触できれば僕に勝算はあるはずなのだ。

 だから僕の取る方法はただ一つ、助けを呼ぶしかなかった、不自然でない形で。


 エリナが過去の記憶と同様に僕の足に抱き着こうとしてくる。

 僕はそれに合わせて壁際に張り付いた。

 無論僕のSOSが良く聞こえる様にする為である。

 エリナの二つの豊満な感触が僕の胸に伝わる。

 僕は興奮しながらもSOS信号の発信に備えた。


「うわああああ!!!!!」


 僕は電流に合わせて渾身の大声を発した。

 カサンドラはと言うと僕が苦しんでると見て愉悦の笑みしか浮かべていない。

 その油断が命取りだった。


「はぁい、エリナちゃんの一勝ね。ユーリちゃん、後がないわよぉ♪」


「誰の後がないのかしら」


「え?」


 カサンドラの背後にはあのモリガンがいた。

 カサンドラは恐怖で怯えた顔でモリガンを見つめている。

 僕達の事などもう頭の中に無い様だ。


「や、やめ!」


「ふん!」


 モリガンはアイアンクロー、顔を掴むプロレス技をカサンドラにかけ、その体を細い片手で宙に持ち上げる。

 成人女性を片手で軽々と持ち上げる筋力に僕はただ恐怖した。


「私言ったわよね、面倒は起こすなって。後他の令嬢とユーリ君との争いにも不可侵だと」


「ひゃ、ひゃい」


「じゃあこれはなんなのかしら?私にはエリナちゃんにあなたが勝負を強要している審判気取りに見えるんだけど」


「決してそんなことは……」


「カサンドラさんは嘘を付いています!厳しい処罰を!」


 カサンドラは告げ口をした僕をジロリと睨みつける。

 しかしその眼光よりも恐ろしい視線がカサンドラに注がれた。

 モリガンの魔王の如き眼光である。


「あなた、ちょっと話をしましょう?二人っきりで」


「いやああああああ!!!!」


 こうして嫌がるカサンドラを引きずりながらモリガンさんは部屋を出て行った。

 大事な忘れ物を残して。


「あのー、リサさん、でしたよね?なんでいるんです?」


 ピンクのシングルの縦ロールが可愛らしい少女が興味津々で僕の事を見て来る。

 どうやらモリガンさんと一緒についてきたようだ。

 僕の傍らにいるエリナには全く興味を示していない。

 アウトオブ眼中って奴だ。


「リサと遊ぼうよ!」


 リサはその不釣り合いなピンクのセクシーなネグリジェをふりふりとさせながら僕に抱き着いてきた。

 その控えめな二つの小山が僕の胸板に当たる。


「あ、あの、ユーリさん嫌がってるしやめません?」


 カサンドラがいなくなった安堵からエリナが口を挟んでくる。

 子供っぽいリサなら大丈夫だと思ったのだろう、だがそれは甘かった。

 リサは真顔でエリナに超接近すると物凄い圧を発して発言した。


「リサはユーリお兄ちゃんと遊んでるの。お姉ちゃんは引っ込んでてくれる?」


「は、はい……」


 エリナは涙目で引き下がるとベッドに身体を丸めてもぐりこんだ。

 しかしリサは布団をひっぺがすとエリナを蹴り上げ部屋の隅に追いやった。


「そこはお兄ちゃんと遊ぶのに使うの。邪魔しないでよね」


「ひっ……」


 エリナへの暴行に耐えかねた僕は勇気を出してリサに忠告した。


「その辺にしておくんだリサ。これ以上はモリガンさんに言いつけるからな!」


「モーちゃんなら了承済みだよ?好きに遊んでいいって♪」


「モーちゃんてあのモリガンさんの事だよな?」


「そうだよ?」


 モリガンさんをそんな風に呼ぶなんてこの娘はモリガンさんとどういう関係なんだろう。

 僕がそう疑問に思っている内に僕はベッドの上に追いやられていた。


「しまった!」


「お兄ちゃんのエッチぃ~。いいよ、リサが気持ちよくしてあげる」


 リサは僕にまたがると牛を乗りこなすかのようにその腰を振り出した。

 リサの下半身の柔らかい感触が振動しゆさゆさすりすりと僕に伝わって来る。

 思わず見えたピンクのパンツが止めを刺した。

 チョーカーを装着している僕の首筋にわずかながら電流が走る。

 こんな中学生か高一みたいな娘に僕は欲情してしまうのか?

 しかしリサはさらにそれに追い打ちを掛けて来る。


「うぷぷぷ、こんなんじゃ足りないよねぇ?もっと刺激的にいこうよ!」


 リサはそう言うと僕の首に手をやる。

 そしてその手に力を入れ僕の首を絞め始めた。

 ミシミシと音が鳴り、僕の息が出来なくなる。

 僕の苦痛と反し僕の【自主規制】は【自主規制】だった。

 僕は遠くなる意識の中で愛する彼女の事を思い出した。


「ユリア……」


「きゃっ!?」


 リサが驚いた様に手を首から話す。

 例の電流チョーカーから電流が流れた様である。

 カサンドラに僕は一応心の中で感謝した。


「お兄ちゃん、楽しそうな玩具持ってるね♪」


 リサは不機嫌になる様子もなく、むしろ新しい玩具の発見に喜んだ様でとてもはしゃいでいる。

 そしてチョーカーに手をやると外し、自分の首に装着した。

 そして鞄から黒い塊を取り出すと僕の方に向き直った。


「これからお着がえするからお兄ちゃんはあっち向いてて」


「は、はい!」


 僕は逆らうと何されるか分からない恐怖で後ろを向いた。

 後ろでする衣がすれる音に僕は若干ながら興奮していた。


「こっち向いていーよ!」


「!?」


 僕の向いた先には黒のラバースーツを着たリサがいた。

 彼女の手には同じくラバー素材の黒い手袋を装着している。


「うぷぷぷ、これから沢山あーそぼ♪」


 ―


「脱いで」


「は、はい!」


 僕は恐怖で言われるがままパンツ一丁になった。

 周囲にはリサの焚いたアロマキャンドルのいい香りが僕を刺激している。

 そしてリサは鞄から小瓶を取り出すとその中身を口に含んだ。

 そしてそれを口移しで僕に飲ませて来た。

 僕は耐えきれずそれを飲んでしまった。


「けほっ、けほっ!何を飲ませたの!?」


「媚薬だよぉ。だんだんHな気持ちになってきたでしょぉ?あふん!」


 リサはチョーカーからの電流を受けて感じている。

 彼女はSでもありMでもあるのだ。


「じゃあオイル塗りごっこしよ♪」


 リサは別の小瓶を取り出すとその中身を僕の身体に塗り始めた。

 オイルの冷たい感触と彼女の柔らかい小さなお手手の感触が僕の肌に伝わって来る。

 飲まされた媚薬の効果もあってか僕の身体は敏感になっており、特に胸の辺りと太もも辺りを触られた時にはもう限界に達していた。


「ああ!もう限界だ!じれったい、早く続きをやってくれ!」


 しかし僕に返って来た答えは予想外の物だった。


「リサ子供だからわかんなーい。どうすればいいか教えてよ」


「え!?それはその、ごにょごにょ……」


「えー?聞こえなーい。もっとちゃんとおねだりしてよぉ」


 煽る様に言って来るリサ。

 僕は渾身の声を振り絞ってこういった。


「リサ様お願いします!もっと触って下さい!」


「うぷぷぷ、いいよぉ。二人で一緒に気持ちよくなろうねぇ♪」


 チョーカーからは電流が流れリサは僕以上に興奮していた。


 ―数ヶ月後


「ほらほら!お兄ちゃん、もっとおねだりしないとだめでしょ!」


「ほ、ほぁい!(は、はい!)」


「リサ、周囲に気付かれたら面倒だからもう少し静かにね」


「はぁい」


 リサが僕を鞭で打ち(玩具なのでそんなに痛くない)、モリガンはその横で紅茶を飲んでいる。

 あれから僕はドMの素質を発揮してリサの虜になってしまった。

 鞭だけなく洗濯ばさみでもろうそくでも興奮するようになってしまった。

 完全に女王様とその下僕である。

 僕の資産はモリガンが管理し僕の痴態も外に漏れる事は無かった。

 モリガンの手腕で僕の領地が一層栄え権力が増大した事を考えるとお家的にはよかったのかもしれない。

 一方僕的にはこんな醜態をユリアに見せる事などできるはずもなく、彼女と会う事は永遠になかった。


 BADENDその5、リサEND

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