第5話「そんなHな事できません!(そこまでしろとは言っていない)(エリナ√)」


 僕は記憶をロードした。

 前回は苦しくもカサンドラにヤられてしまった。

 僕は婚約後の男の尊厳を踏みにじられた日々を思い出すととても恥ずかしくなった。

 しかしこのゲームのエロさは全年齢版の筈なのだが、エロゲーかと思う位にはエロい。

 まあ規制部分が多かったり本番行為がなかったり色々表現は抑えられてるのでR15相当になってはいるが……これを僕に貸してくれたミキは普段こんなゲームをやってたのか?

 最近のJKは進んでるんだなぁと驚いていた。


 しかし今はそれよりもカサンドラの攻略回避である。

 僕はwikiの紹介欄に彼女のある特徴が載っている事を思い出した。

 さっそくこれまで攻略回避した悪役令嬢達を同じ方法で回避していくとカサンドラから呼び出しがかかった。

 ついにカサンドラの√に突入するかの分岐点である。


「さぁてユーリちゃん、これからこのチョーカーを着けて貰う―」


「そうはいくか!」


「きゃっ!?」


 僕は彼女をベッドに押し倒すと彼女に馬乗りになった。

 彼女は笑いながらも不機嫌そうな声で僕に尋ねた。


「ユーリちゃん、これはどういうつもりかしらぁ?」


「こういう事ですよ!」


「!?」


 僕はカサンドラの脇の下に手をやると執拗にくすぐった。

 彼女は震えながら顔を赤くし笑いをこらえている。

 それはもう必死に。

 しかしそれはもう限界だった。


「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


 彼女の気品の高いイメージをズタボロにするが如く大きな声で笑いだすカサンドラ。

 その表情はただくすぐったくて笑ってる訳ではない。

 カサンドラは脇の下や足の裏が性感帯であり、人一倍感じやすいのだ。

 僕は一度くすぐるのをやめて放心状態のカサンドラの横に転がっている「あのチョーカー」に手を伸ばす。

 性的興奮を感じると電流が流れる奴だ。

 僕はさっそくそれをカサンドラの首に装着する。

 さあ、淫乱女解体ショーの始まりだ。


「な、何をする気?」


 恐怖に満ちた目で僕を見つめるカサンドラ。

 前回の√でこんな顔を見せた事は一度も無い。

 彼女は感度が何倍にも増大している脇の下をくすぐられると、チョーカーがどれだけ電流を流し続けるか即座に理解していた。

 だから僕に婚約候補破棄を自分から申し出てくれた。


「こ、これでいいでしょ?だから許して―」


「駄目です。それじゃあ僕の気が収まりません」


「なんで?まだ何もしてないのに……」


 これからするんだよなぁ……。

 前回の√の事で彼女には身に覚えがない復讐だろうが、いずれやる気だったんだから同罪だ。

 僕は怯える彼女の足の裏に手をやった。

 前√であれだけ足で僕の事を攻め立てたのは彼女が感じる為だったのかもしれない。

 僕は満を持して彼女の足の裏をくすぐった、大体30分くらい。


「んほおおおおおおおお!!!」


 カサンドラの情けない悲鳴が寝室の外まで響いた。


 ―


「じゃあ用も済んだし帰って下さいよ」


「ユーリちゃん、あなたの事は諦めるけど、諦めないわよ」


「?、どういう事ですか?」


「私自身の婚約は諦めるけど本命のユリアちゃんとの婚約を邪魔してあげるってコト♪」


「え!?」


 これからずっとこの執念深い粘着質なカサンドラに邪魔されたらたまったものではない。

 僕は記憶をロードしてやり直そうとするが何故かここで強制オートセーブが発動してしまう。

 こういう時に限って発動するのが便利機能「オートセーブ」だ。

 頼みもしないのに勝手にセーブしてくれる(オフには出来ない)。

 この記憶のセーブデータはひとつしか作れない上に強制上書きされるのだ。

 何とも時代に逆行した時代錯誤のシステムである。

 僕は今後のお邪魔キャラであるカサンドラとの対決を覚悟しつつ、寝室から出て行くカサンドラを見送った。


 ―


 僕が寝室を抜け出しカサンドラからの追跡をかわし、屋敷内を探索している。

 狙いは勿論ユリア……ではなくモリガンさんだ。

 彼女ならこの事態を何とかしてくれる、そう信じての行動だった。

 しかしカサンドラの追跡は執拗で僕の行動を完全に先読みしていた。


「ユーリちゃぁん、逃げないで出てきなさぁい」


 僕は袋小路に追い詰められた。

 そもそもどの寝室に誰がいるかなんて知らないんだ。

 僕はしかたなく近くの部屋に入った。

 そこには突然の来訪者に目を丸くしている少女がいた。

 彼女の名はエリナ、茶髪のショートヘアの童顔の女性だった。

 彼女は可愛らしいフリフリの付いたピンクのパジャマを着ている。


「しっ、大きな声を出さないで。モリガンさんの部屋を教えてくれる?」


「えっ?急に何ですか?」


 エリナは急な申し出に怯えてモジモジしている。

 一方で僕は早く答えが知りたかった。

 しかしその時の物音が外に聞こえてしまう。


「あーら、そこにいたのね♪」


 カサンドラが扉を開けて寝室に入って来る。

 僕とエリナはカサンドラが連れて来た兵達に拘束されてしまった。

 どうやらその妖艶な肉体で誘惑したらしい。


「僕達にこんな事してどういうつもりだ!」


 カサンドラは僕達に笑顔を向けながらチョーカーを取り出す。

 以前と違うのはその数が二つという事。

 そしてそれを僕とエリナの首に装着した。


「エリナちゃんは勝負なんてする娘じゃないからすぐに諦めちゃうでしょ?でもそれじゃあつまらないじゃない?エリナちゃんとユーリ君には電流耐久デスマッチをやって貰うわ」


「な、なんだって!?」


 驚く僕とエリナ。

 特にエリナはこのチョーカーの事を知っていた様で心底怯えていた。


「わ、私、あんなHな事できません!」


 Hな事?どんな事だろう……思わず想像した僕はズボンを熱くしていた。


「あーら、嫌々言いながらちゃんと見ていたんじゃない。いやらしい娘ねぇ」


「そ、そんな、私……」


「誤魔化しても駄目よ。あなた今パンツ履いていないでしょ。とんだ淫乱娘だわ」


「な、なんだって!?」


 思わず彼女を二度見する僕。

 あの可愛らしいパジャマの下には彼女の全てがあるのだ!

 見てみたい……しかし僕にはユリアがいる。

 その思いだけが今の僕の理性の防波堤になっていた。


「ぼ、僕達ど、どうすればいいんですか?」


「簡単な話。エリナちゃんが勝てばエリナちゃんはあなたの婚約者になる。あなたが勝てばエリナちゃんも私も諦めてあげる」


「エリナさんが負けたらどうなるんだ?」


「この娘の恥ずかしーい過去を王国中にばらしてあげる」


「そ、そんな。酷過ぎる……」


「私、絶対に負けませんから!」


 エリナは涙ぐみながら僕に密着してきた。

 その豊満なナイスバディが僕の身体に当たる。

 彼女の吐息が耳に当たる、その瞬間電流が少し走ったが僕は耐えた。

 それを幸いと捉えた僕は小声で彼女の耳元に囁く。


「カサンドラの事なら僕が揉み消してあげる。だから君はこんな事しなくていいんだ」


「あなたはカサンドラさんの事を知らないからそんな事言えるんです!私、負けませんから!」


 エリナは膝を床に付けると僕の下半身に抱き着いた。

 僕の足に豊満な二つの山が当たる。

 彼女は胸に手をやると自分で揉みしだくように上下に動かし始めた。

 シルクのパジャマのサラサラとした感触と二つの柔らかい肉まんの感触が僕の足に伝わって来る。

 僕はそれに耐えきれずにその感触の虜になった。

 その瞬間、激しい電流が首筋を襲った。


「はーい、エリナちゃんの一勝ね。後一回負けたら終わりよぉ」


 カサンドラが急に独自ルールを口にする。

 要するに三本勝負と言う奴だ。

 ユリアの事も大事だし、エリナの事も守りたい僕はその提案に逆らう事が出来なかった。


「くっ、じゃあ遠慮しませんよ!」


 僕はエリナの服の上から胸に手をやると陶芸でろくろを回す要領で動かした。

 僕は転生に前には陶芸に凝っていて、家族が使っているのも僕のお手製の食器だ。

 漆塗りまでしっかりと施してある本格的な物だ。

 何を言いたいかと言うと、僕の手先はとても器用だと言う事。

 乱暴に揉みしだくのではなく、柔らかいプリンを扱うかの様に繊細に手を動かしていく。


「ひゃん!そこらめぇ……」


 そして彼女の胸の南半球に弱点がある事が分かると僕はそこを重点的に攻めた。


「らめぇええええええええ!!!」


 エリナの首筋に電流が走った。

 エリナはうなだれる様に髪を前に垂らしぐったりとしている。

 僕が大丈夫かと心配して近付いたその時である。


「もう負けられないの!」


 彼女は目を見開き鬼の様な形相で僕に抱き着いた、いやしがみついた。

 手は背中に回しがっちりと上半身を固定、そして下半身は足を組み付かせ交差させ固定した。

 俗にいうダイシュキホールド、である。

 彼女の力はゴリラの様に凄まじく、僕は抜け出す事が出来ない。

 彼女の肉体が押し付けられ早くも興奮寸前の僕に止めをさしたのは甘い口づけだった。


「んーーー!」


 彼女の甘い唇が吸い付くように僕の唇に重なる。

 それは呼吸ができなくなるほど長く続いた。

 僕はそのまま完全に落ちてしまった。

 僕の首筋に電流が走った。

 これで2勝1敗、エリナの勝ちである。

 ああ、ユリアごめん……僕は誘惑に負けエリナと婚約した。


 ―数ヶ月後


「ほらほらエリナちゃん、恥ずかしがってたら何にも出来ないわよ?」


「は、はい!」


 カサンドラの師事でめきめきと情事の腕を上げてきたエリナ。

 しかし驚くべきは彼女に勇気が出て来たことである。

 僕はエリナに強引にドレスのスカートの中に顔を入れられた。

 幸いパンツは履いていたが、彼女のぬくもりを顔全体で僕は感じていた。

 彼女は僕の顔を抱きしめて放そうとしない。

 僕の目の前には一面に黒い布が広がっている。

 視界を奪われた僕の耳にはカサンドラとエリナの微笑が聞こえていた。


 BADENDその4、エリナEND

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