第22話 TJの占い

 ティナは支部に戻るとTJとソフィアに占いの事を話して、約束を取り付けた。

 次の日、支部の広間にみんなが集まると、ソフィアが話した。


「今日は少し余興をします。TJは占いができるそうだから、みんなでオープンに占ってもらいましょう。TJ、準備はいいかな?」

「ええ、いつでもどうぞ」


 実はTJの占いは半分は普通の占いだが、種を明かすと一部にはデータを駆使したAIや時間制御を応用しているところがある。確度が普通より高いわけだ。そのことは誰にも言わないが。


「はい、じゃあ初めに訊きたいことがある人は?」

 ティナが提案した。「一人ずつ順番に訊くようにした方がいいよ」


 アイリスが同意した。「面白いわね」

「そうね。じゃあティナから右回りに順番で行く?」と、ソフィア。


 マークが催促する。

「どうでもいいから早くやろうぜ」


 ティナが言った。「じゃあ私からね。何にしようかな? うーんと、私の前世と私の将来を占ってくれる?」


 TJは少し困惑した。

「前世と将来? いや最初からえらくヘビーな案件だな。ちょっと待ってくれよ」ごそごそと端末だのなんだのを調べている。


 アイリスが言う。「ティナ、一人一件ずつじゃないの?欲張りねえ」

 マークが白けた表情で言う。「何件でもいいよ。TJ受けたれ」


 TJは手元を見続けている「あいよ。もう少し…… よし、完了っと」

 ソフィアが言う。「何か、普通の占いとは違うわね。何してたのかしら」


「うん、あーはい、ティナ。わかったぞ。まずお前の前世は猫だ」偉そうにTJが語り始めた。

「えーねこー?」ティナは不満顔だ。


「そうだ。にゃーにゃー鳴くやつだ。家猫でぐうたらして過ごしていたようだぞ」

 アイリスが怪しむ「それ本当なの、適当に言ってるんじゃない?」


「そんな事は無い。私の水晶ツールでは猫の確率が一番高いと出た」

「嘘くさーい。そんなツールあったっけ? 占いなのに確率って何よ」


 TJは無視する。

「それからティナの将来。将来は猫もどきだ」

「何よそれ、猫ばっかりじゃん」 


「もどきって言っただろう。猫になる訳じゃなくて猫のような自由気ままで幸せな生活を送るということだ」

「紛らわしいわね、全く。本当でしょうね?」


「ああ、前世よりも自信を持って言える」

「じゃあいいわ。次、アイリスの番」


「私? じゃあ異性運を占って。結婚はいつ頃とか、あ、最初からTJとマークは外しといて」


 ルカはアイリスが独身であることを初めて知った。まあ、連れ合いがいる気配は無かったのでそうだろうなとは思っていたが。


「わしは許容範囲という事じゃな」思わぬヨギからの声。

「議長、論外です」アイリスは瞬殺した。


 TJはティナの時よりは少ない操作で何か調べて答えた。

「アイリスはですね。適齢期は過ぎていますね」


「何をー」アイリスの顔が歪んだ。

「あなたの異性運は千年前がピークでしたね。その頃だったら引く手あまたでしたのに。でも安心してください。今でもそのマニアに受けそうな美貌と性格は健在です。四十歳以上のおじさまにはまだまだ行けます」


「喧嘩売ってんの? TJ」少しアイリスが切れそうになってきた。

「あ、ちょっと待ってください。あ、チャンスですよ。来年あたりに劇的な出会いがありそうです。若くてハンサムな男です」


「適当言ってないでしょうね? ええ?」

「いや、本当ですって。その優しい性格が来年、もっと優しくなると、すごい恋愛ができそうですよ。お姉さん」


「皮肉言っているんじゃない? そんなに殺されたい?」

「めっそうもない。約束します。大恋愛間違いなし」


「覚悟しておきなさいよ。嘘だったらただではおかないから」

 とほほ。何で占いでこんな目に合わされるんだ。(TJ、自業自得です)

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