呪詛吐き

呪詛吐き

　だって、吐くものでしょう？

「ほんと死んで欲しいわぁ」

　なんて、そんなのありふれた言葉でしょう？

「消えてほしい」

　だって、言うものでしょう？

　きっとそう。

　誰だってそう。

　だって、そうじゃない？

　みんな言うでしょう？

　言葉の意味は分かっていても。

　だって、言うでしょう？

　みんなだって言うでしょう？

　その言葉がどれほど重くて、実際そうなった時のことなんて考えずに言うでしょう？

　じゃあ、どうするの？

　どうすればいいの？

　こんな言葉が、本当になったなら、私はどうしたらいいの？

「自殺教唆？」

　聞き覚えがあって、そんな聞き覚えのある言葉を聞かされて。

　私はいったいどうするの？

　友達死んだらどうするの？

　教唆なんかしてないの。

　だって死んで欲しいって言っただけ。

　それって私の思いでしょう？

　死んで、なんて。

　死んだら、なんて言ってないの。

　思ってないの。

　死んで欲しいも、消えて欲しいも思ってないの。

　勝手に死んだの。

　死んだら勝手なの？

「あの子が悪いの」

　私は言うの。

　それで、どうするの？

　どうなったの？

　口を吐いたその言葉が、なんの違和感もなく受け入れられたらどうするの？

「あの子が悪かった」

　なんてなったらどうしたら？

　安心したらどうしたら？

　私が悪くてどうするの？

　私が悪いは思いでしょう？

　私の確かな想いでしょう？

　あの子のことを思い出しよう？

　思いにできずにどうするの？

「君は悪くない」

　みんなが言ったらどうするの？

　私の想いはどうするの？

　罪悪感だけどうするの？

「私が悪かった」

　私が言ったらどうなるの？

　認められずに消されるの。

　嘘だけほんとでどうするの？

「ごめんなさい」

　そんな言葉でどうするの？

　消えた命はどうするの？

「私が」

　私はとっくにどうしたの。

　どうにかなっててどうするの。

　わたしはわたしはわたしなの。

「私が死んだらいいのにね」

　最後の呪詛吐き、さようなら。