夢で会いましょう

天川裕司

夢で会いましょう

タイトル:夢で会いましょう


僕は或る女優さんを担当してるマネージャー。

マネージャーとしてはまだ新米で、逆に女優さんから怒られたりする。


彼女の名前は松木夢果(まつき ゆめか)。

女優歴、30年のベテランで、彼女に逆らえる者はほとんどいない。


そんな彼女がここまでのし上がれた理由は…


監督「いやあ〜〜今日もよかったよお!夢果さん最高!」


ってな感じでどんな役柄もこなしてしまい、

初めてマルチ女優みたいな感じの栄冠に輝いたから。

それなりの評価を受けたからである。


その夢果さんとある日、僕は2人きりになってしまった。

「気まずいなぁ。仕事挟んでたらいいんだけど、プライベートでこれはキツいなぁ」


そう、仕事終わりに公園でばったり会ってしまい、

それから何故か彼女は僕にくっついてくる。

別にそれほど多く話すでもなく、

ただ暇してたから?みたいな感じでずっとついてくる。


「できたらもうそろそろアレなんだけど…」

ってなった時、


夢果「ねぇあんたさ、私の役柄でどんなのが好き?」


と聞いてきた。

いきなり聞かれたのでちょっと面食らったが、

まぁとりあえず仕事の話でもあったので

僕はそれとなく…


「そ、そうですねー、デビュー当時にシンデレラの役してたじゃないですかぁ。あれなんかよかったですね〜♪とても輝いてたし、初々しかったし、才能の発揮がこれからって感じで…!」


夢果「ああ、あの役ねぇ…」


それからしばらく黙った後、


夢果「まぁあの時は若かったから。今じゃもうできないけど、環境と条件変えたら何とかできるかもね?」


夢果「ねぇ、見たい?あのシンデレラの役、どうしても見たいってんなら見せてあげるけど?」


「え?」


よくわからなかったが、

とりあえず彼女の機嫌をとるため、

俺はうなずいた。


(その夜)


そしてその夜のこと。

いつものように職場へ行くと…


「わっ!夢果さん、どうしたんですか!?…めっちゃ若返ってる…」


夢果「フフ、驚いた?女優も或るていど極意をつかめばね、こんな役柄だって簡単にこなせてしまうの」


正直驚いた。

夢果さんは今年で50代。

それがどこからどう見ても20代に若返っており、

シンデレラの衣装に身を包み、

職場で俺が来るのをずっと待ってくれていた様子。


「ゆ、夢果さん、これならもっともっと演技の幅とか作品のテリトリーとか、思う存分に増やせて行けますよ!」


夢果「ほんとにそう思う?」


と言った時点で…

「はっ!」と目が覚めた。


「……なんだ、夢か」


(翌日)


そして翌日。

職場へ行くといつもの出で立ちで

夢果さんが控え室にいた。


「おはようございまーす」

と言って挨拶しながら今日の段取りを話そうとした時、夢果さんはスッと手を差し出し…


夢果「昨日の出演料(ギャラ)」


「え…?」


夢果「ちゃんとあなたの願い、叶えてあげたでしょ?」


夕べ見たあの夢は…。

さすがに極意をつかんだ女優とは凄いものなのか。

あんな演技までこなせてしまうとは…?


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=KZwD3p_NKyA

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夢で会いましょう 天川裕司 @tenkawayuji

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