恋は難しいって知ってました?

@MOYOHA

第1話 同期4人の飲み会

 入社して同じ部署に配属された同期が4人(久高雫、本田椿、阿部功太、石木渉)毎日覚えることだらけの中で、近くにいた同期の結びつきは強くなる。

「わたる!あべ!」

 環境が変わって、人と仕事にやっと慣れた頃から4人で飲みに来ている居酒屋。お互いの名前を気軽に呼べるようになって、仲の良さは他の部署の同期には負けないという自信がある。酔いも回って本田のボルテージが全開になった頃、俺らの名前を店に響く声で叫んでた。

「雫!本田!」

阿部が負けじと同じように叫ぶと

「ほんだだー?だれにむかって呼びすてにしてんだー」

 目が据わった本田が阿部に食ってかかってた。

「椿って言うと余計怒るだろ」

2人のやり取りを横目で見ながら、お酒を飲む雫に見とれていると

「あー、わたるがしずくを見つめてるー!」

 不意を突かれて、飲んでたビールを吹き出してしまった。

「もう何言ってんの、椿。酔い過ぎだよ、大丈夫?渉も大丈夫?」

「ぜんぜんだいじょーぶ!しずくはわたしのもんだからとらないで〜」

 雫を羽交い締めにする本田を引き剥がそうとする阿部と、気にせず大笑いをする雫が本田の頭を撫でる。

「本田なんかあった?」

 いつもより本田の飲むペースが早いのは、みんな気づいてた。

「あれだろ、教育係の…ほら目力強めの亀井先輩」

「かめい!!そう!あいつ!!私に何の恨みがあるの?何かあるごとに、俺の話聞いてた?って言うけどさー、聞いてたってわからないこともあるじゃん!なのにー、もうー」

 泣き真似しながら、残ってたビールを飲み干すと次のハイボールを頼んでた。

「こんなにいい子なのにねー。でも亀井先輩に教えてもらった人は、有望株が多いって課長が言ってたから、椿も期待されてるんだよ」

「ああ、それ俺も聞いたよ、亀井先輩とペア組んでた人は出世コースに乗れるって」

「またまたー、あんなしんどい目にあうぐらいなら出世なんてくそくらえー!」

「そんなこと言わないの」

「しずくとわたるはいいよね、優しい優しい佐藤先輩で」

「ホントだよ、俺だけ女性の柏樹先輩って何なんだろ…」

「あざとい系で並べたか〜?」

「おい!本田、お前言っていいことと悪いことって、雫も渉も笑うんじゃない!!」

あたふたする阿部をさかなにまた乾杯して、その日は、みんな飲みすぎていた。




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