美少女が家にやって来たのだが、一週間でいなくなるらしい。
@kamokira
第1話 君は僕の後ろに立っている。
童貞、コミュ障ー
ありとあらゆる弱者男性としての要素を兼ね備えた男が一人、
都内の一角にある2LDKのマンションの3階の自室にいる。
「ムフォフォ!! カップ麺うま!! ズズズ..」
高校二年にして、毎夜インスタント食品を食らい尽くす生活に味をしめ、
自身の健康寿命と引き換えに、一時の快楽を貪る。
「そういや..」
男は汁の残りがまだ入っているカップ麺を机の上に置き、
愛機パソコンの画面を開く
検索ツールの見出しに出てくるニュース一覧。
普段は漫画やゲームなどがおすすめとして表示されるこの中に、
さっきとりわけ目を引く記事があったからだ。
<都市伝説> 全国各地で多発!!
ある日突然、貴方の家に見知らぬ美少女がやって来て..。
記事の内容によると、
どうやら最近、全国の至る所で、戸籍も出生も不明の美少女が、
ある日なんの前触れもなくやってくるという事象が多発しているらしい。
これだけ聞くと、まるでご都合主義の三流恋愛小説の主人公になったかのような、ウハウハな気分を味わえそうなものだが、それ以上の、衝撃的な一文は次の通りだーー
ただし、訪れた美少女は皆、”一週間”でいなくなる
一週間、たったの、一週間。
成虫になった蝉の寿命と同じくらいにしか、美少女は存在しない。
いや、そもそも記事には美少女と記載されてはいるが、
その美少女とやらの顔写真はどこにも掲載されていないし、記事によるとどうやら、訪れた美少女は、カメラのレンズに映り込まないと言うではないか?
仮にそうだとしても、絵とかなんとかでいくらでも描画できそうなものを..。
それに、カメラだって、レンズに映り込まないのなら、日光写真とかを使えば良い。
ぷっ..。やっすいフェイクニュースだな..。UFOが落下したとかの方が、まだ信憑性がありそうなものを..。
まぁ、でもこれは都市伝説だ..。
異世界に行けるエレベータとか、ひとりかくれんぼとか..、
小学生の時に興味本位でやって、どっちもなんともならなかったじゃないか..。
Youtuberのわざとらしい演技に、当時はまんまとのせられたものだな。懐かしい..
そう言って、パソコンの画面を閉じた時だった。
ーコツン
窓に何か、モノがぶつかる音がした。
そして、男が最初に考えついたのは、
虫。真夏のこの時期、家の中の明かりに寄せられて、稀にカナブンなどが
窓ガラスに体当たりする事を、男は知っていた。
だから、男は窓の方へ歩を進めた。カーテンを閉めるためだ。
遮光性のカーテンを閉めれば、うざったい虫どもが衝突する事もなくなる。
しかし、今度の音は明らかに、虫のそれとは違った。
ーゴン
まるで、バットのような鈍器で、思い切り窓ガラスを叩くかのような音
振動が走り、家はほんの一瞬だけ、ミシッと揺れた。
「え..?」
これには、流石の男も恐怖で慄く。尻餅を付き、後ろに倒れた。
腰が抜けてしまい、立つ事もままならない。
しかし、
男は、恐る恐る、窓の方へ這って進んで行った。
親を呼ぼうにも、父は単身赴任、母は出張で帰ってくるのは深夜0時すぎ。
時計は今、22時をさしたところだから、母がドッキリで、窓から帰宅なんて
ありもしないドッキリ展開はないー
だとするなら、やはりいるのは強盗か....。
ギィ
窓を開け、外の夜景を一望する。少し遠くの大通りを行き交う通行人。
エアコンの換気扇、洗濯物の物干し竿、昔父が買ってくれた観葉植物のガジュマルーー
徐々に視野を狭め、音がしたバルコニー付近へ、目線を行ったり来たりさせる。しかし、そこにあるのはいつもと同じ光景だった。
それがわかった途端に、男は掻いていた冷や汗を引っ込め、一呼吸ついた。
「ふぅ..。何もなし。とんだ杞憂だったようだ..」
さて、部屋に戻ってオ○ニーでもしよう!!
そうして、後ろを向いた、
その時だった。
「こんばんわ..」
そこいたのは、顔を赤らめながらもこちらを凝視する。
セーラー服姿の美少女だった。
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