第12話 逆光(『晴読雨読』45巻より)

『逆光』   2―C 山根やまね よう


誤解は想い違い

過ちは重い違い 

れて がれて 失っても

戻せると思えたのは なぜ


絡めた指が するり離れる

気配だけがくすぶったまま 


細く長く 伸びた影ひとつ

振り返れば終わるから

光だけを見て 『今』から目を背けた


「それでもいい」と言ったのは

あの日の僕の唇

「それじゃ嫌だ」と求めたのは

あの日の僕の執着


離れた指が 消えていく

僕の届かない場所へ


うまく息が出来なくて

目を開けていられないんだ

眩しさ逃れるフリして 喪失に目を閉じた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る