ムーンサイド・ドロップアウト

空間なぎ

第1話 タイトルがあまりにも、と思う自意識過剰

タイトルがあまりにも変というか、意味がわからないというか、しかし(仮)をつけてのちのち近況ノートで「タイトルを正式に○○にいたしました」などと報告するのは違うと思っている。そもそも報告しなくてもいいだろう。そもそもタイトルを「タイトル」にしたほうがそれらしく、自意識過剰について語るのだから「自意識過剰」にすべきだったと思わなくもない。が、眠れない夜にしょっちゅう月を眺めていた身としては、どこかシンボルとして取り入れたい気持ちがあり、どのみち誰もこんなエッセイもどきは読まないだろうとタカをくくっていることも同時にお伝えしておく。もし見る人がいれば、の話。


執筆活動の息抜き、そして今後の人生を考える上で1度エッセイというものに手を出してみたくなった。この不可思議な文章を、果たしてインターネットの海に公開(航海?)する必要があるのだろうかと何年か悩んだ。しかし、その悩んでいる間、数冊ほど自意識や生きにくさをメインテーマにしたエッセイを読み、私は思った。


他人の人生、めちゃくちゃタメになる。


私だけかもしれない。意外と普通の感覚なのかもしれない。誰と誰が恋仲だとか、誰が豪邸に住んでるとか、誰がどうやって成功したとか、そういった意味ではない。他人がのたうち回って苦しんで、それでもまぁまぁ生きているエッセイに救われている。わかるわかる、と共感することもあれば、それはないわ、とドン引き(という言い方を最近あまり聞かない気が)することもある。そうやって読むのは私だけではあるまい。まったくもって通常の感覚であった。


振り返ってみれば、こうして自己がそのままに登場する文章を書くのは高校のノートの端ぶりだろうか。思いつくままに小説の設定を書いたり、しょうもない疑問をメモしたり。感情表現の統制が行われていた家庭(とは何だろうと自分でも疑問に思ったが、感情表現の統制が行われていた)で育った影響もあるのだろう、書き綴る言葉の世界だけが自由だった。無論、書いたものを見られたら終わりなので、消しゴムを忘れた日にはだいぶ苦労した。


心のうちで話す部門の口数で競うなら、私はきっと世界1位にはなれなくとも日本で7位か、今住んでいる地域で2位になれると自負している。それほどまでには、こうして心のうちで言葉がとめどなく流れているのであって、それが勝手に小説になったりエッセイになったりしないかなぁと幾度となく夢を見ている。ついでにそれがうっかり何かの大賞になって、おまけに宝くじも当たって、…………その先の幸せが思い浮かばなかった。唯一いる友人はことあるごとに上記の願望をつぶやいているのだが、私にはいまいちピンと来ない。たしかに大賞も宝くじ当選も欲しくはあるのだが、それより名誉でも金でも変えようのない自意識をなんとかしたいのだ。変えようはなくとも、変わりようはあるかもしれない。でも、変えたいのだ。ここまで書いてようやく、20年後に自分がこの文章を読んだらきっと「あの頃は若かった」だの、「黒歴史」だの、そんなことを思うのだろうなぁとしみじみ穏やかな気持ちになった。


改稿が好きである。脈絡もなく話題を変えたわけではなく、心のうちで話す言葉や書く言葉の良さは改稿にあると思うので、この話を持ち出した。口から出る言葉は苦手だ。間違えても直せないし、見直すこともできない。小説の執筆が好きなのは、間違いなく改稿という楽しさがあるからだ。一発勝負は大嫌いだが、そんな自分を直そうと取り組んだ小説は、気づけば約2年のうちに20万字を超え、閲覧数は1万PVを超えた。自己満足のために書いた小説なのに、いろいろな方が楽しんでくださっている(怖いもの見たさや、その他の理由の方もいるのかもしれないが)ことを思えば、感謝の念しかない。実際、12時間に1度は読者の皆様に感謝の念を送っている。本当に、健康に幸せに生きてください。お願いします。


不思議なことばかりだ。エッセイを書きたいと初めて思った数年前は、タイトルとなんとなくのテーマこそ思いついたが、肝心の本文は400文字で手が止まってしまったのに。今はこうして心の声をそのまま書き進めることができて、きっと気取ったり誤魔化したりしないから、書けたんだろうなと振り返る。これが公開されたとて、世間は相変わらず朝が来て昼を過ぎて夜に帰って、誰かが喜んで誰かが悲しんでいるだろうけど、おおむね炎上も反応もなく私の文章の上を通り過ぎていくんだろうけど(不適切なことを書いたとて、自分では気づけない客観性の欠如が恐ろしい)、おおむね自分の心象を素直に文章にできたことを喜びたい。畢竟、どう足掻いても自己満足。


そこに1ミリグラムの利他の精神で、公開する。誰かの役に立てばいいが、百合小説目的で作家のフォローをしてくださる読者の方々が通知からうっかりこれを読んでしまい、作者の強すぎる自意識が作品を読むたびチラついてしまい、イライラしてしまい、あるいは読まなければよかったなどとガッカリしてしまい……これぞネガティブ。

そうなっても仕方ない、と割り切るしかない。その覚悟があるのかと問われれば、ない。


最後に、小説の執筆頑張ります。

自己満足もとい自分の書きたいように書く前提はありつつ、読者の皆様に楽しんでいただけるように。これでは、もはやちょっと長めの近況ノートであって、エッセイのような何かにすらなっていない気がする懸念を抱えながら、本日はここまでとします。ありがとうございました。

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