第15話 かんぱぁ~い!

 ごめんなさい……昨日挙げた話なのですが、まだ先のものでした……。

 上げ間違いです、本当に申し訳ないですほんとうに……。一旦削除して上げ直します。なので今日はもう一話投稿します。


 コメントくださった方もありがとうございます……! 消えちゃったのですが、読んでスクショしました!笑 このあと主人公の規格外さがどんどん露呈していく様をお楽しみくださいませ!

――――――――――




「かんぱぁ〜い!」

 

 ダンジョン攻略を終えて、二日酔いが抜けた茨木の送迎で借宿へ帰ってきていた。

 ダンジョンから出て、茨木にただいま戻った、と敬礼したら本気で嫌な顔をされた。あ、覚えてるんだ。おしぼり帽子

 

 さて、夕餉飲み会だ。


「がっはっは! あの魔石と素材の量には笑いが止まりませんぜ! 久しぶりに金欠になったが、一瞬で解決しましたな!」

「うむ、豊かなことは良いことだ。日々の酒も旨くなろうものよ、な? 茨城」

「はい、そうですね。量が量ですのでまだ買取価格は出ていませんが、かなりの額になるかと。……いただきます」


 ドランがビールを注いで、茨木が躊躇しつつもそれを飲む。二日酔いだったのにドラン容赦ないなぁ。

 まあ経費が……って嘆いていた問題がいきなりなくなったんだ。めでたいことだ。

 二日酔いで茨木の肝臓を労わろうかと思ってたけど、まあいいや。

 飲んじゃえ飲んじゃえ。かんぱーい!


「正直助かりました。ちょっとこの金額はなんて報告しようか困っていましたので……。経費の問題は解決しましたが……配信に関しての問題が出てきましたね」

「うむ、そのことについて茨木に尋ねようと思っていたのだ」


 茨木が難しい顔で現状を説明する。

 ドランのお酌をしながら。あ、注ぎ返されて余計に難しい顔になった。


「簡単に言いますと、シルヴァローズの皆さんが強すぎたのです。そのせいで……というのもおかしいですが、映像を加工していると思われたわけです。私も皆様のことを知らなければ加工映像だと思っていたかもしれません」

「まあ、元の世界でもフィオナの爆撃魔法は伝聞だと大げさに誇張されて、信じられないことが多々あったからな」


 そういうやつらは皆対峙したとき、もの言えぬまま火の海に溺れていったものだ。

 アリシアがさもありなん、としたり顔で言う。


 なんとなく予想はしていたが、僕たちはこの世界でも上位の実力であるようだ。逆にそうでないと何をして200年も生きてきたんだとなっていたが。

 かなり喜ばしいことだ。武力は大抵のことを解決するからな。


 力がないと何もできない。

 それは200年の年月で痛いほど身に染みている。


 ビールで喉を潤し、フィオナに視線をやる。

 AI疑惑の当の本人は、話も聞かずにエビチリに春巻、麻婆豆腐を食べていた。

 視線に気づくと、


「まーぼーいる? 全部はだめ」


 と、こてんと首を傾げ、口元にエビチリソースをつけながら聞いてきた。

 アリシアがフィオナの口元を拭いてやる。


「爆撃のあとのご飯はおいしい。私は今、三大欲求が満たされている」

「俺もです!」


 君たちの三大欲求の形歪んでるから見直したほうがいいよ。

 まあ、魔法だけしか興味ないよりは健全か。

 ドランは……変わらないな。いや、ドランの前にグラス5個あるしなんならひどくなってるわ。

 なんにせよ、戦いだけに身をおくよりも、たぶん、おそらく、きっと、健全なのだろう。


 話を配信に戻す。


「それで茨木よ、我らはこれからどうすれば良い? 配信を続けてAIとやらではないと証明するか?」

「いえ、そのことなんですが……公式マークがつくまでは、配信は控えたほうが良いかと。それと、もっと性能の良い機材も手配しようと思います」


 今、AIだの加工映像だの言われているのは政府からの公式マークがついていないというのもあるらしい。

 それがつけば、否応にも認められるだろうとのこと。

 機材の購入に、今回の魔石買取から少し引いても良いかと聞かれ、承諾する。こっちは養ってもらっている身分だしな。


 そういうことでしばらくは無理に配信することもないか。


「ふむ、相分かった。その間は暇になるな」

「酒を飲みましょう」

「食の探求をする」


 こいつら……。まあずっと戦いばっかりだったしそれでもいいか。

 アリシアは? ユーリ様のお傍にいられればなんでもいいって? アリシアはなんか趣味見つけたほうがいいよ。

 読書とかどう? ……似合わなさすぎるか。


「それも良いかと。ただ、皆様には早めに冒険者ランクを上げていただきたいと思っています」

「ほう、その心は?」

「今日は中位ダンジョンを探索してもらいました。それは特例で許可が降りたのですが、実は中位はC級冒険者でないと入れないのです」


 冒険者の実力に見合ったダンジョンを探索するためとのことらしい。


 本当なら、最低位はF級から、低位はE級から、中位はC級から、上位はB級から、最上位はA級から、入れるらしい。


 確かに若者は無茶をするものだからな。それもそうだろう。

 ちなみに僕たちはF級冒険者らしい。

 史上最強のF級じゃない? 茨木にそう聞いたら、それはそうでしょう、と引きつった顔で言われた。

 茨木の空きかけのグラスにビールを注いでやる。


「ふう……。組合の方では皆様の実力はもちろん把握しておりますので、最低限の実績を積んでもらえたら、と」

「分かった。……皆、聞いたな。しばらくは配信を休みとし冒険者ランクを上げつつ、各自酒や料理に勤しむとしよう」

「はいよぉ! 地球にかんぱぁい!」

「爆撃してごはんたべる。日々。日常」

「御心のままに」

「あ、それと皆様、インターネットの使い方の講習をしましょう。……特にアリシアさん」


 私か!? と驚いた顔をする。なんで驚いてるんだ、それが受けなきゃいけない理由だよ。


 僕はともかく、確かに全員ネットの使い方は学んだ方が良さそうだ。ちゃんと使えると何かと便利だしな。

 そういえば200年前に読んでいたマンガはもう完結してるだろうし、読みたいな。もうタイトル忘れたけど。


 そんな話をしつつ、明日はダンジョン配信なし! 休み! と盛り上がり、宴が進んでいった。


 次の日……休みって言っておいて良かった。

 うぅ……気持ち悪い……。

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