不審な男

澄瀬 凛

不審な男

 目の前には、まだまだランドセルに背負われている感が否めない幼い少女。

 そんな彼女の背を、少しずつアクセスを踏み、車を減速で走行しつつ、追っていく。

 そこへ、男の座る運転席のウインドウがコツコツと叩かれた。


「ちょっとすみません、警察の者です。失礼ですが、こちらでなにを?」

 思わずブレーキを踏み、慌てた。これでは、あの少女に自らの存在を気づかれてしまう。そんな男の不審な反応を見た警官が免許証の提示を求めてきた。

 あぁ怒られる。もうおしまいだ。男は身の縮む思いだった。


 数時間後。

 男は連行された警察署で、怒鳴られていた。



「わざわざレンタカーまで借りてなにをやってるのよ」

「し……仕方ないだろ。いつも乗ってる車で行ったらあの子にすぐバレる」

「だいたい学校の登校にまでこそこそ着いていくなんて。まるで不審者じゃない」

「可愛いを父親が見守ってなにがいけないんだよ……」


 男を連行した警察官は、そんなのやりとりを複雑そうな表情で眺めていた。

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不審な男 澄瀬 凛 @SumiseRin

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