第57話 バカ貴族の刑罰を決めた。
外の護衛が慌ただしく入ってきた。
「王様が、お越しになられています。ミリア様とユウヤ様と謁見をと申されていますが?」
「バカ貴族の事じゃない?」
「ですわね。お通しして構いませんか?」
ん?俺が屋敷の主じゃないし、ミリアが決める事じゃないの?悪い気はしないけど。
「あ、うん。でもミリアの屋敷だし、俺が決めることじゃないと思うよ?」
「……わたしの夫のユウヤ様に、お伺いをしたのですわ。この屋敷もユウヤ様の物になりますし♡」
「えっと……まだ結婚してないって」
「まだですが、結婚は決まっていますわよ?」
「あ~うん……そうだね」
「お通ししてください」
ミリアが護衛に指示を出すと、俺の隣にミリアが座り対面に王様達を迎え入れた。
「そちらにお座りください」
「押しかけて申し訳ないです」
国王が謝罪をして頭を下げて、対面のソファーに座ると、お付きの偉そうな人は座らずに国王の後ろに控えた。この人は国王に意見もしてるし、相談もされてるので普通のお付きじゃないよな……服装もお付きの格好じゃなくて貴族っぽいし。宰相とかだよな多分。
「なんの御用かしら?」
「その……我が王国のバカ貴族が、とんだ無礼を行い申し訳ないです」
「それで、どうなさるおつもりで?」
「即刻、斬首を考えておりますが……刑を執行する確認と許可を頂きに参りました」
「そうですか。それで良いんじゃないのかしら」
機嫌の良かったミリアが、不機嫌そうに国王に返事を返すが、俺は納得が出来なくて反対意見を出した。
「ミリアを襲ったんだよ?そんな簡単にラクに死なせたくないな……。子爵家の爵位の剥奪、財産の没収で平民への格下げ。盗賊と護衛は斬首でも良いけどね。それと空いた爵位と領地に下級貴族のレニアを入れてあげてくれる?王国の為に店で頑張って働いてくれてるし」
「もぉ!何でですの?下級貴族の娘ばかりをご贔屓にしてますわね!」
あからさまに不機嫌そうになった、ミリアに国王とお付きの表情が青褪めて怯えていて、そんな国王たちを無視をしてミリアに向かって返事を返した。
「頑張っている者には褒美を、害する者には貴族であれ厳罰を与えられるって分かりやすくて良いんじゃない?レニアは目に見えて頑張ってくれているし」
「はい。仰せの通りに……」
「ミリアは、信頼が出来る仲間を作っておいた方が良いって理解してくれないの?」
「ですが……ユウヤ様は男性の仲間は、いらっしゃらないでは無いですかぁ~。ふんっ」
ミリアが不満そうだけど、俺に反撃が出来て少し嬉しそうな表情で言ってきて、そっぽを向いた。
「え?居るよ?少ないけどね」
俺が即答をすると、驚いた顔をして考えてる様子になって分からないのか聞いてきた。
「はい?えっと……どちらにいらっしゃるのですか?わたしの知っている方ですか?」
ミリアが誰だか分からず、俺を見つめていたので……ついニヤっと笑い答えた。
「王城にミリアム王子がいるじゃん」
そう言うと、ミリアは俯いて何も言い返して来なくなった。けれど別に、下級貴族のレニアの事が好きだとか下心がある訳じゃなく、頑張って働いてくれてるし誠実そうで、ミリアの仲間というか味方を作っておいた方が良いと思う。俺はミリアの仲間が女性で安心して見てられるし。
「ううぅ……」
「息子を、その様に思って頂き感謝致します」
国王は、息子の名前が出てきて驚いた表情をして嬉しそうに感謝をしてきた。
「お話を戻しますが……危険な者を平民に落として開放されて大丈夫なのでしょうか?」
王様のお付きのお偉いさんが、緊張をした面持ちで話を軌道修正をしてくれて、疑問点を質問をしてきた。
「爵位も無くなって権力をなくし、お金も没収されて……バカで人望も無い人に誰が手を貸すの?繋がりがあったとしても、他国の王族と皇女殿下が自国に来ている所を襲った大罪人と付き合うと思う?」
「それでも危険だと思いますが……」
「じゃあ何が出来ると思う?」
地位や権力にお金が無くても人望と知略があれば危険だと思うけど……あのバカ貴族には何もないと思うけど?
「毒殺や殺される覚悟で襲ってきたりですかね……」
「毒殺は、一人で出来ないよね?料理ができるわけじゃ無いので厨房に忍び込めないし、何より手足が無いし。殺される覚悟で襲ってくるって言うのも、手足を切り落とされてて無理じゃないかな。さっきも言ったけど子爵という地位を失って、お金も失って人望は元々無さそうだし。誰も手伝ってくれないでしょ」
「そう言われると……危険性は無いですね」
王のお付きのお偉いさんも納得してくれた様子だった。
「残された人生は、親族に恨まれて生きていく事になると思うよ」
「うわぁ……ユウヤ様、想像しただけでキツイ罰ですわね」
ミリアが同情をするような表情をしていた。
「それに……大罪を犯して、命を助けた温情ある国王ってなるんじゃないかな?それに、それを許した皇女殿下って」
「さすがですわね……♪」
「お気遣い感謝致します」
「さすがですな……罰も与えられてお二人の好感度も上げられるとは……」
国王のお付きの偉そうな人も感心してくれた。
「では、さっそくその様に手配を致します」
王様が立ち上がり、深々とお辞儀をして屋敷を出ていった。
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