第39話 ファンベル王国の王国軍の剣術の先生と腕試し。
ミリアの隣に行くと耳元で囁いた。
「また俺が捕らえられるのかと思ったんだけど?」
「はい?何でですの?」
「こういう場面で、毎回捕らえられてるからさ」
「もぉ。そんな訳が無いじゃないですか!わたしの前で捕らえさせるわけ無いですっ!それ以前にユウヤ様は他国の王子なのですよ?」
「そう?皆の前で、捕らえますわよって、誰かさんが言ってたよね?」
「ううぅ……イジワルです。ホントにユウヤ様はイジワルです!むぅ……」
「あはは♪悪かったって」
ミリアも頬を可愛く膨らませて、腕にしがみついてきた。
「下級貴族のイジメは、許しませんからね」
「そうですわよ。わたしも許しませんわよっ」
シャルロッテもミリアに続いて、可愛く頬を膨らませて怒った表情で発言をした。
何というか……シャルロッテは、威圧感は無い代わりに可愛いオーラなので、怒った表情をしていても恐さとか威圧感がないね。でも一緒に居ると癒やされる感じかな。
「なぁ~シャル悪いんだけどドレスを、また貸してくれないか?」
「わぁ♡ シャルと呼ばれましたよお姉様!」
ミリアにジト目で見られた……
「ズルいですわよ……シャルロッテ!」
「え?あ、わたしに言われましても……ドレスですわね。はぁい♪ 分かりましたぁ~」
シャルは逃げるように下級貴族の娘の元へ行ってしまった。
「ズルいですわよ……シャルロッテを愛称で呼ばれるなんて」
「じゃあ……ミリ?」
「ううぅ……それは、イヤですわ!ミリアで良いですわ」
悔しそうな顔をして、俺の腕を引いて元の場所に戻ってきて豪華な食事の続きをして、ミリアは色々な人と話をしているけど俺は暇だった。
「さすがユウヤ様でした。剣筋が見えませんでしたよ」
ミリアム王子が話を掛けてきてくれた。
「あ、ミリアム王子」
ごめん。全然気が付かなかったよ。
「どちらで剣術を習ったのですか?」
「え?あぁ……独学ですね。完全に自己流ですよ」
「独学で、そこまで……スゴイですね。是非、王国軍の指導をしてもらいたいですね」
「ダメですわよ!わたしと居る時間が無くなってしまいますッ」
ミリアが、話を聞いていたのか話に入ってきた。
スゴイな……他の人と話をしていたのに……でも助かったよ。
「この王国にスゴイ冒険者や剣の達人は居ないの?」
「王国軍に、剣の指導をしてくれている冒険者は居ますよ」
「おおぉ。戦ってみたいですね」
「良いですね!是非お願いします」
「ユウヤ様また試合ですかぁ?」
あれ?前回は喜んでたのに?ミリアが嬉そうな顔になったのでイジワルをして、からかってみた。
「前回は、喜んでたよね?」
「ユウヤ様が負ける訳が無いじゃないですか。格好良いお姿を拝見させて頂きますわ」
「え?でも負けるかもよ?」
「でしたら。相手の方のお名前が、帝国まで名前が届いているはずですわ」
「俺の名前も知らなかったよね?」
思い出したようだった。急にミリアの表情が曇ってきて心配そうな表情に変わった。
俺は無名の薬屋という設定だったんだよね。
「気を付けてくださいよ……」
「俺、暇だし今から良いかな?」
「今からですか?」
ミリアム王子が国王の方を見ると、グラシス国王が頷いた。って、あんたもかい!他の人と話をしていたよね?俺達の話も聞いていたのか?
多分……他の人の話は、相槌だけをして話は聞いていないんじゃないの?気になる俺達の話を聞いていたっぽいんだけど?そんなので良いのか?
ミリアと国王の目が合い、お互いに頷いて国王が立ち上がり国王が話を始めた。
「ユウヤ様と王国で最強の冒険者の試合をしたいと思う。観戦をしたい者は付いて参れ」
ん?なんだか、また観客が居る前で戦うのか……?
王城の敷地内に軍の練習場があり、そこで戦うことになった。
「ユウヤ様……不安になってドキドキ……してきました」
「さっきは賛成って言ってたのにね」
「それは……ユウヤ様が負ける訳が無いと思っていたので……」
「負けたらどうしよ?」
「えッ!?」
ミリアが心配な表情になった。ミリアムの話を聞いてると、そこまで強そうな感じでは無いので大丈夫だと思うけど。
闘技場の上には、標準的な体格の男性が立って待っていた。
「俺と戦いたいというのは、お前さんかぁ?」
「あぁ。そうだよ」
「見た感じ普通の少年に見えるのだが……手加減した方が良いかな?」
相手の冒険者がニヤリと笑った。
「それは、お任せするよ。自分の実力が分からないんで」
「そうかそうか……大会とか出た経験が無いのか?」
「剣術を習っていなかったし。大会にも出た事はないね」
「では、軽く始めるとするかぁ……」
相手が木剣を2本構えた。
おおぉ。初めて二刀流を見るよ……2本のショートソードか~普通の剣だと重くて片手じゃ持てても振れないしね。
双剣より長めで間合いが分からないな……
どんな戦い方なんだろ……?相手の出方を見た方が良いのかな?俺から攻めてみるか?全く剣術は知らないけど……片方で受けて、もう片方で攻撃してくる感じだよな……多分。だったら俺から軽く攻めてみるか。
シュッ! ドスッ!
……あれ?思いっ切り胴体に入ったけど?二刀流って……防御も重視ってイメージなんだけど?違ったんだ?
「ぐはっ……うぅっ!」
「だ、大丈夫です?」
「ゆ、油断をしてしまった……もう一回頼む……!」
「……はい」
今度は、攻撃を待つか……
ヒュン! バチンッ。 ヒュン!バチンッ。 ヒュン!バチンッ。
う~ん……コイツは強いのか?攻撃も余裕で防げるんだけど……大して早くないし……大丈夫か王国軍、こんなヤツに教えてもらって。
二刀流をフル活用して剣を2本で打ち込んで来るけど全て防ぎ懐へ入って木剣を首に当てた。
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