第38話 再び貴族の娘の度が過ぎたイジメ。

下級貴族の娘が、伯爵家の娘と話をしている間に友人の男爵家と子爵家の娘が協力をして、気付かれない様にして下級貴族の娘の背後からワインやステーキソース等を掛けられて、ドレスの後ろのスカートが酷い事になっていた。

 

嫌がらせが段々とエスカレートしてきて、今度は交代をして……子爵家と男爵家の娘が話を掛けて話をしている間に、伯爵家娘が調子に乗って護身用のナイフを取り出しドレスを切り裂こうとして鞘からナイフを抜いた。

 

それはやり過ぎだろ。会場を駆け抜けて伯爵家の娘のナイフを持つ腕を掴んだ。


 

「さっきも、やり過ぎだし。王城で、それも皇女殿下のいる部屋でナイフを抜いたんだぞ?今回でお前は、お終いだぞ?」


 

この王国の法律は知らないけど、常識的に考えればお偉いさんというか国王よりも偉いミリアが居る部屋で、武器になる物を所持していて鞘から抜いたら違法だろ?多分。違法じゃなくても危ないので排除対象だよな……


 

「何よっ!誰なの!?あっ!さっきの平民!貴方まで貴族の服を借りてまで、会場に入り込んだのねっ!!」


 

自分で騒いで注目を集めてくれた。大人しくしてれば注意で……は済まないか。言い逃れも出来ないだろ……護身用のナイフには伯爵家の紋章も入ってるし、懐に仕舞った鞘にも紋章が入ってるのを見たし。

 

今回の主役のミリアが騒ぎに気が付き、近づいてくると全員が注目をして目で行き先を見ると、ナイフを出している娘を見ると婦人方が悲鳴をあげだした。


注目をされている事に気付くと、ナイフを手放し自分が被害者だとアピールをして悲鳴を上げると仲間の二人も気が付いて、伯爵家の娘の演技に合わせて俺に襲われていると証言をし始めた。


 

「キャー!やめて下さい!キャー!誰か助けて!」


「あの男性に伯爵家のお嬢様が襲われています!助けて下さいッ!」


「あの者は貴族の格好をしていますが平民です!お嬢様を襲うために変装をして会場に入ったのです!」


 

はぁ……?勘弁して。また俺が捕まるのか?これは、また投獄コース決定か?


 

「手を話しなさい!無礼者!私は伯爵家の娘なのですよ!」


 

まぁ……良いか。手を離した所で逃げられないし、ここから逃げた所で伯爵家だし、身元がバレバレで逃げれないだろ……王国外に逃げた所で過酷な人生になるだろうな。

 

ユウヤが伯爵家の娘の手を離すと、落ちたナイフを拾いナイフを持ち、構えた。


 

おおぉ。これ予想外の展開じゃん!俺を刺す気なの?まさか下級貴族の娘を刺すのか?俺を刺すのか?

 

バリアは、ここじゃ目立ちすぎるしなぁ……俺は帯剣してたんだっけ……王様から本当に貰った紋章入の剣で、実戦では使え無さそうな豪華な剣だけど。バリアで覆って破損しないようにして……切れ味も良くした。


 

「この無礼者を……」


 

あ、俺を刺すのね?うわ。面倒……これから死罪になるかもしれないけど、俺が殺す訳にはいかないし。女の子を斬り殺せないな……

 

一応、自己防衛と自害の防止をさせてもらうか。


 

「悪いけど死にたくないし、自害をされて死なれたら困るんでナイフを使えなくさせてもらうよ」


 

シュッ! ピンッ! カラン……


 

ナイフの刃が根本から切り落とされてナイフの切断された刃が床に落ちた。


 

「刃を回収してくれる?」


 

近くに居た兵士にお願いをして、床に落ちた刃の回収をさせた。


 

「は、はい」


 

刃も回収されて一応、安全になったかな?残りは一緒に居た娘たちだね……ナイフを持ってるかもしれない。


 

「ミリア、そこの二人も女性の護衛に捕らえさせてくれるかー」


「はい。ユウヤ様」


 

ミリアが女性の護衛に指示を出すと、あっけなく二人が捕らえられた。


 

「な、何よ!私達は何もしていないわよ!」


「そうよ!食事とお話をしていただけですよ」


 

我に返った伯爵家の娘も、抵抗をしようと騒ぎ始めた。


 

「皇女殿下様の前で……剣を抜きましたよ!やはり、この者は皇女様を暗殺しに来たのです!私は事前に情報を得て……暗殺の阻止をしようと!」


「だってさ……ミリア」


 

そう言うと俺はミリアを見た。当然、剣は鞘に収めてある。


騒ぎの中心が、自分達の娘だと気が付いた両親達が騒ぎ始めて近寄ってきた。


 

「なにかの間違いです!うちの娘が、この様なバカな事をする訳がありません!」


「そうです。きっと脅されてやったに違いないです」


「そうだ!その男の暗殺の計画に気付き勇敢にも立ち向かおうとしたのではないのか!」

 

「お黙りなさい!はぁ……その方は私の大切な婚約者ですわ。それにユテーリア国の王子ですわよ?わたしの護衛でもありますの。帯剣に抜剣も許可しておりますわ。それに剣にユテーリア王国の紋章が入ってるのが分かりませんの?」


 

その言葉を聞いて両親と娘達が青褪めて、その場に座り込んでしまった。


 

「ご婦人方には護身用、自害用にナイフの携帯を認めておりますが、宮殿、王城の中までは認めておりませんわ」


 

他にもナイフを隠し持っている御婦人が居るらしくざわついた。


 

「王城内でナイフを抜いた時点で重罪ですし、わたしの婚約者で他国の王子に刃を向けたのですよ。他のお二人も爵位の下の娘をイジメるのを確認しております。シャルロッテが貸したドレスを汚す所を多数の者が見ておりますので厳罰は覚悟しておきなさい」


「酷いですわね〜。全く……わたしのドレスを汚すなんて~ふんっ」


 

シャルロッテがミリアの話が終わると、頬を可愛く膨らませて怒っていた。


 

「後はグラシス国王にお任せしますわ」


「ご迷惑おかけ致しました……それにユウヤ王子様のご助力に感謝をいたします」

 

 

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