第35話 下級貴族へのイジメ。
ミリアが頭を下げると、あの大騒ぎは一部の使用人しか知らなかったので、知らない使用人達が固まった。あのミリア様が頭を下げた?信じられない物を見るような感じで見守っていた。
「ホント酷いよな〜全く……どうせ付き合ってた元彼とかじゃないの?それで、言い難かったから友達って紹介したんじゃないの?」
「はぁ……やっぱりそう思ってしまいますよね……同じ立場なら疑いますわぁ……。すみませんでした……あのモンスターが現れた時みたいに、引っ叩いてくださっても構いませんわっ」
持っていた物を落とすくらいの衝撃的な発言を、使用人達が聞いてしまった。ミリア様を引っ叩いた!? 何をしてるんだコイツは!? 皇帝が知れば、間違いなく斬首は間違いないなぁ……コイツは……バカだ!と皆がそう思った。
「おい。ちょっと待て!なんか皆、勘違いしてると思うぞ……?敵視というか軽蔑している目で見られてるんだけど?俺を、この屋敷に居づらくしたいなら先に言えよ……出てくからさ」
ミリアが周りを見渡すと、使用人達が驚いた顔と軽蔑している顔をしてユウヤを見つめていた。
「違います!!わたしを襲った同種のモンスターと対峙して放心状態だったわたしを、我に返す為に引っ叩いてくれたのです!勘違いしないで下さい!その結果また、わたしの命を助けてくれたのですよ。命の恩人ですわっ!それより何故あなた達が主の話を聞いているのですか!まったく……失礼な!」
使用人達が納得したのか、安堵の表情に変わり我に返って仕事に戻った。
「もうユウヤ様、無しでは生きていけませんわ」
「もう分かったから、横になって休んで黙って」
「はぁい……すみませんでした……♡」
「分かったから、もう良いって」
ミリアを膝枕して寝かせて頭を撫でてあげると安心したのか、また泣き出して抱きしめてきた……
「今日は、気が済むまで泣いてて良いよ」
「はい……ぐすんっ……うわぁ~ん……ユウヤ様ぁ……安心しましたぁ。大好きです……」
「俺も好きだよ……」
「はぁい……ううぅ……ぐすんっ……ユウヤ様ぁ……」
30分程したら落ち着いて眠ったので、メイドさんを呼びミリアを抱きかかえ、部屋に案内をしてもらいベッドに起こさないように寝かせ、寝ているミリアの柔らかく涙の跡が残る頬にキスをして部屋を出た。
ついでに俺の部屋に案内をしてもらい、ベッドに横になると眠ってしまった。
翌日……
国王からのお誘いで、ミリアの歓迎会が開かれる事になった。
昨日の事を謝罪をするために、早めにミリアと一緒に王城に向かいミリアム王子に会った。
「昨日は、恥ずかしい所を見せてしまって悪かったよ」
「いえ。無事に仲直りができてホッとしました。これからも二人仲良くお過ごしください……恐怖で周りの者の寿命が縮まりますので……」
「ホントですわ……わたしの寿命も縮まりましたわ……」
「え?俺だけ悪者じゃん……」
ミリアの方を見ると俯いて気不味そうにしていた。
「すみません。わたしが原因ですね……」
「俺も悪かったって」
「いえ……完全に、わたしの……配慮が足りなさすぎました」
ミリアムが、また困った顔をしだして巻き込まれないように、この場を去る言葉を考えた。
「仲良くお願いしますね……私は準備があるので失礼します」
「俺もトイレに行ってくる」
「ここでお待ちしていますね」
トイレを済ませて帰ろうとしたら……道に迷った。あれ?部屋のトアが開いていて、数人の貴族たちが居て話声がを聞いていると、どうやらミリアの歓迎会の出席者の控室の様だった。
この世界の時間の調整は難しい。尚更、遠くからの参加予定ならば、前日に着くようにしなければ間に合わなくなる。1日で着ける場合であっても、前日もしくは早朝に着けるようにしなくては間に合わなくなる。更に下級貴族であれば、絶対に遅れる訳にはいかないので、こういう控室が用意されているらしい。
俺も中に入って少し休んで、友達が出来れば嬉しいんだけどな……。それとメインは、ミリアを待たせている部屋を聞きたいんだけど……何て説明をしたら良いんだ?ミリアの居る部屋って何ていうの?待合室と説明すれば、ここだと言われそうだし。それか一般の待合室に案内をされそうだし。
「ちょっと貴方の使用人が、ぶつかってきてドレスが汚れたのですがっ!使用人の無礼は主の責任ですわよねぇ〜。まったく……どうしてくれるのですかぁ〜!?」
「え?あぁぁ……すみません……」
「すみませんで、済むと思っているのですかっ?今日は、大切な皇女殿下の歓迎会なのですわよっ!」
どうやら下級貴族の使用人が、中級か上級貴族の娘に、ぶつかってしまったようだ。だけど明らかに暇つぶしと、権力の差を見せつける為にイジメをしてる様にも見えるんだけど。どこの世界に居てもイジメはあるんだなぁ……
「ですが……お嬢様の方から、ぶつかっていたように見えたのですが……」
あぁ〜……ダメでしょ!そこで反論しちゃ……。適当に、謝っておけば良いんだって……
「下級貴族が、伯爵家の私に意見するのですか?私が嘘を言ってるとでも!?」
「その様な事は……」
「あら……ごめんなさい……貴方が、おかしな事を仰るから、動揺してしまってワインを溢してしまいましたわぁ〜」
持っていたワイングラスを傾けて下級貴族の娘のドレスにワインを掛けた。
あからさまだしエスカレートし過ぎじゃない?ワイン掛けられた娘が、目を潤ませて耐えていた。それより……誰か助けないの?
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