第21話 無事に授与式が終わると、また面倒事が……

ミリアが列に戻ると、王様や他の人はどうして良いのか分からない様子だったが、俺は更に分からないよ。


はぁ……これじゃ誰も動けないし発言できないんじゃないの……?仕方ないので王様に声を掛けた。


 

「王様、ミリアに構わず普通に進行をお願いします」



ミリアに構っていたら帰るのが遅くなる。



「そ、そうですな……これにて授与式は……終了とする!」


 

王様が終了と宣言をしたが誰も動けない。


そう、この中で一番地位の高いミリアが動かずにいるのに下級の者が、先に退出や立ち上がっては失礼になるらしいが、その地位の高い人は俺の隣でニコニコして笑顔で俺を見つめて満足そうにしている。


 

「すみません、王様お先に失礼します……」


「今日は有難うございました」


「今日は楽しかったですわっ♪」


「それは良かったです。皇女殿下」


 

大扉を出て少し歩くと兵士が声を掛けてきた。


どう見ても俺より少し年齢が上くらいで10代後半くらいかな?


 

「お前が、あのモンスターを倒したヤツか?」


「まぁそうだけど……」


「強そうには見えないな?本当にお前が倒したのか?」


「貴方……勝手にユウヤ様に話を掛けるなんて失礼ですわねっ」


「なんだコイツは……?お前の妹か?」


「婚約者ですけどっ」


ムスッとしたミリアが言い返すと。若い兵士が、うわっ。という顔をして同情するような顔をした。


「お前も大変だな!」


 

おおぉ・・・命知らずのバカが、ここに居るな。王の間に居た人が聞いてたら失神するんじゃないの?


 

「失礼な奴ですわ!」


「それで何の用なの?」


「あ、俺と対決してくれ!」


 

あ、俺は対人戦が出来ないんですけど……?殺し合いなら出来るけどさ……


っていうか誰か止めてよ。


あぁ~ミリアの目が、いつもより輝いてるよ。


 

「ユウヤ様……決闘ですか?」


「いや、帰ろうよ……疲れたんだけど」


「逃げるのか?」


「俺は薬屋で兵士でも無いし、冒険者でも無いんだけど?そんなヤツに対決を申し込むってどうなのよ?」


「なんだと?冒険者と聞いていたぞ!」


「それでキミは兵士の中で一番強いの?」


「一番では無いが強い方だぞ!」


「そういう事だったらミリアの護衛を倒せるようになったらね」


 

ミリアの護衛に丸投げして回避させてもらうよ。


 

「すまないが護衛中なので、遊んでいるヒマは無いので悪いな」


 

は?回避したら護衛に回避されて返ってきちゃったよ。おいおい……ミリアからも何とか言ってくれよ……。ミリアを見るとミリアも対決を見たそうな表情をしてるし。俺が負けるのは良いんだけどさ……痛いのが嫌なんだけなんだよね。だって俺はただの薬屋なんだからさ。


 

「はい。分かりました……で、どこで戦うんだよ?」


「向こうに試合で使う闘技場があるから、そこを使うぞ」


「分かった」


 

はぁ・・・面倒だなぁ~


 

「何で止めないんだよ……」


「何でって……ユウヤ様が負けるはず無いですものっ♪」


「俺は護衛でも剣士でもないんだけど?」


「モンスターを倒したじゃないですかぁ」


「俺は戦いが嫌いなんだけど……?」


「そうでしたか……すみません」


 

申し訳無さそうな表情をしてミリアが俯いてしまった……


 

「はぁ……最後だからね」


「は、はいっ♪」


 

闘技場に着くと……何で観客がいるんだよ!?


かなり本格的な闘技場だし……って、王城の闘技場だからか!

 

なんというか計画的だよね?観客も居るし、王族の席も用意されてるけど来てないけど、俺達じゃなくて他の冒険者だったら来てたと思う。冒険者の実力を見る為の試合だろこれ。


王城の闘技場を若い兵士が勝手に使えるわけが無いしな。若い兵士なら練習場が使えるくらいじゃないのか?


王族の席に堂々とミリアが座ってるし。


 

「剣は?木剣にする?」


「何でも良いぞ?」


「じゃあ木剣でお願い」


 

そう言うと用意してくれた木剣を受取り、さっそく構えた。


 

「さっさと終わらせて帰って休みたい」


「こちらは、いつでも良いぞ!」


 

構えていた剣を鞘に収める動作をした。アニメとか映画であるような居合い切りの真似をしてるつもり。


 

「貴様……舐めてるのか!」



そんな事は知らない対戦相手が怒り出した。



「そう思うなら、いつでも打ち込んで来ても良いぞ」


 

剣の届きそうな範囲に入ってくると、剣を抜く様な動作をして剣を収める動作をした。バリアを斬れないようにしたのを相手に叩きつけると剣ごと吹き飛んだ。

 

一瞬の出来事で会場の観客も何が起きたのか理解が出来ずに静まり返っていた。え?バレた?大丈夫だよね?バリアは見えないハズだし。


 

俺が焦りだす頃に歓声にが沸き起こり大騒ぎになった。


 

「きゃぁ♡ ユウヤ様~スゴイです!わぁ~♪」


 

さて……終わったし帰ろうかな。


 

「すまないが……俺とも勝負を頼めるか?」


「いや……疲れてるんだけど……勘弁して」


「そこを何とか頼む!」


 

いかにも軍人って感じのゴツくて剣の達人って感じだし……恐いんだけど。ホント勘弁してよ。


 

「これが最後なら良いですけど……」


「ああ、最後だ。これ以降は俺が阻止する事を約束しよう」


「分かりました」


 

歓声を聞きつけた王様や貴族やお偉い様も見に来ちゃったじゃん。

 

居合い切りの構えをした。うん。これ恥ずかしい……だって真似事だからね……。出来る人がやれば格好良いけどさ映画で見た真似をしてるだけだし。子供のゴッコ遊びだよな……


 

相手が斬り掛かって来ると、剣の届きそうな範囲に入って来るのを待ち……入ってくるのを確認して、剣を抜く動作を少しして剣を収めると、バリアを叩きつけ吹き飛んだ。


今度は、すぐに歓声が上がって大騒ぎになった。


 

「きゃ~♡ ユウヤ様~また勝ちゃいましたねっ♡」


「もう終わりですよね……?」


「ああ。完敗だ……降参だ。剣が全く見えなかった……流石あのモンスターを倒しただけの事はあるな……」

 

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