26.動き出した一族

『よっしゃあ!オレさまのちだっ!!』

『ハサウェイ!スゴいぞ!』

 クロードは、うれしそうにかおせてきた。

『ハサウェイ、よくやった!』

 ラングレンは、ほそめて微笑ほほえんだ。

大丈夫だいじょうぶなの?きずせてごらん!』

 フォンダは、心配しんぱいそうにはらきずやさしくめてくれた。

『まさか、ウェズリーさんがけるだなんて……』

 ざわ……ざわ……

 仲間なかまたちがざわついたとき、ウェズリーがました。

『うっ……』

『よう、大丈夫だいじょうぶかい?ウェズリー』

『クッ……うるさい!そこをどけっ!くろブチ!』

『そううなよ。おな犬族イヌぞくじゃねぇか!仲良なかよくしようぜ』

 しかし、ウェズリーは無言むごんのまま仲間なかまたちにささえられてもりからった。

 がつくと、もうそらはオレンジいろまっていた。

『オレさまは、明日あすもう一度いちど大翔ごしゅじんさま獣護山ししもりやまのぼる。しろ鹿しかってのが、どうもにかかる』

『おい、やめとけって!ハサウェイ』『そうよ、危険きけんだわ!』

『クロード、フォンダ、心配しんぱいするな。オレさまがつよこと充分じゅうぶんわかったろ?へへっ』

 オレさまは、みんなの心配しんぱいをよそに、ハルトとしろ鹿しかなぞくため、ふたたやまのぼるを決意けついした。


 同時刻どうじこく獣護川ししもりがわ河川敷かせんじき……

「それじゃあ、またね!ライト、レフト」『ワンッ』『ワンッ』

 双子ふたりは、クロードのぬしれんあそんでもらっていた。

『いやぁ、れんくんは本当ほんとう人間にんげんだな、レフト』

『ああ、まったくだ。ジャーキーおやつまでっててくれるなんて、感動かんどうしたよ。さて、スッカリくらくなった、おれたちもかえろう』

 ……が、かえろうとした矢先やさき、ツインズのまえ何者なにものかがふさがった。

『っ!!だれだおまえは?』

 おれたちよりすこおおきいくらい……中型犬ちゅうがたけんか?

 くらがりで姿すがたえないが、ソイツはおそろしいはなっていた。ツインズは、かんじたことのない恐怖きょうふ支配しはいされていた。

『おい、おまえら。最近さいきんこのまちにやってた、人間にんげんどもとそのイヌっているか?』

 それは、あきらかにハルトとハサウェイのことだと双子ふたり確信かくしんした!









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