24.隣町のウェズリー

 ちょっと待てよ?……ってことは、オレさまたちをがけうえおそってきたのはしろ鹿しかのバケモノってことか?!そうなると、石段いしだんにいたしろいイヌのバケモノは一体いったい……?オレさまがあたまかかえているときだった。

 ドドドドドドドドッ

 ものすごい足音あしおとが、森中もりじゅうひびわたった。すると、20ぴきほどのイヌたちが集会所しゅうかいじょへやってた。

『よう、ラングレン。ひさしぶりだな』

 一番いちばん先頭せんとうにいる、大型おおがたイヌがニヤリとわらった。

『おい、ラングレン。だれだあのえらそうなやつは?』

『アイツはドーベルマンのウェズリー。隣町となりまちのボスだ』


【ドーベルマン】

 体長たいちょうおよそ72cmの大型犬おおがたけん。カラダは黒光くろびかりして、細身ほそみ筋肉質きんにくしつきびしい訓練くんれんにもえられるタフボディ。警戒心けいかいしんたかく、攻撃的こうげきてきおも警察犬けいさつけんとして活躍かつやくしてるんだ!


『どうだ?そろそろこのまちおれわたになったか?』『チッ、そんなワケなかろう!かえれ!』

『ラングレン。あのウェズリーって野郎ヤロウは、このまちねらってんのか?』『ああ、そうなんだハサウェイ。あの犬種けんしゅは、なわばり意識いしきたかくてな。このまち自分じぶんのモノにしようとしているんだ』

 なんだか、めんどくせぇ野郎ヤロウだな。

『オイ、おまえ。このまちのボスはラングレンだ。おとなしくかえれっ』

『ん?だれだおまえは?イングリッシュ・セターだな、新入しんいりか?』

新入しんいりっていうか、なつあいだここに世話せわになってるんだ。いいからかえれよ』

生意気なまいきな……んでろ!おい、ラングレン。今日きょうこそ決着けっちゃくけてやる、かかってい!』

 ウェズリーは、キバいてラングレンを威嚇いかくした。

『ちょっとって!ボスはあたま怪我けがしてるんだ、今日きょうのところはかえってよ!』

 フォンダは、ウェズリーのまえふさがった。ラングレンは、ゆうべのハサウェイとのたたかいであたま怪我けがしているのだ。

だまれ!そこをどけ、おんな!』

『きゃんっ!』

 なんと、ウェズリーはフォンダを頭突ずつきでばした!

『オイ、てめぇ!雌犬じょせいすとはとんでもねぇ野郎ヤロウだな!オレさまが勝負しょうぶしてやるよ!』

『ハサウェイ、やめときな!ソイツは元警察犬もとけいさつけんなんだ。あまりにも乱暴らんぼうでクビになったんだ!』

 クロードが、オレさまをめるようにカラダをわせてきた。

元警察犬もとけいさつけんだと?!なぁに、大丈夫だいじょうぶさ!オレさまはラングレンに相撲すもうったんだ!(ギリギリだけど)オイ、ウェズリー!やってやるぞ!』

『あ?なにってんだ、くろブチくんよ。相撲すもうじゃねぇよ、真剣勝負しんけんしょうぶだ!あたまくだいてやる!』

『なっ?!』

『ガルルルルッ!』

 







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