魔力切れ
魔力が切れるまで魔法を使い6階層で魔物を倒していく
「魔法が切れた?」
狛が突然立ち止まる
……なんだ? 魔法が切れたのか?
狛のステータスは恐らく力特化、そして今までは魔法も使っていなかった
魔力総量はかなり少ない筈だが魔法を使い始めてから結構時間が経っている
……相当魔力効率がいい魔法か元々の魔力総量か
ステータスには差が存在する
元々の素質によって変わる、狛は案外魔力総量が多いタイプだったのかもしれない
最も魔力は魔法を使い続ければ増えるから気にしない者が多い、相当ぶっ飛んでるステータス所有者でも無ければ余り気にしなくていいとまで言われている
「魔力切れだな。魔法の維持が出来なくなったんだろうよ」
「途中から長時間の奴に切り替えたんだがもう切れたか」
「ほう、簡単に切り替えれるのか」
「変えれるみたい」
「かなり便利な魔法だなぁ」
「魔力はどうやって回復するんだ?」
「魔力は魔法を使っていない間に回復する。身体を休めればその分回復量が上がる。あとは道具だな」
「体力と似た感じか」
「まぁそんな感じで良いと思う。取り敢えず休憩してから帰るぞ」
「まだ動けるぞ?」
「身体強化系の魔法は結構身体に負担が来るから思っていたより体力がなんてケースが多い」
「それは気をつけないとな」
「特に魔力が切れるまで使っているからな」
5階層と繋がっているゲートで休憩をする
「聞いても大丈夫か?」
「……詠見の事か」
「彼女は探索者の知り合いって事で良いのか?」
「あぁ、そうだ」
「高レベル探索者?」
「そうだぞ。今のレベルは知らないが70は超えてたはずだ」
「凄っ」
レベル70越え
それは数人しか居ないと言われている
詠見はそのひと握りの探索者
「それで彼女には姿が変わったこと伝えてないのか」
「正確にはお前以外には伝えていない」
ぎゅっと身体を抱えるように体操座りをする
そして太ももに顔をつける
「そうか、理由を聞いてもいいか?」
「本当に個人的な理由だ。くだらない理由だ」
明確に言語化できない
ただなぜか言いたくないのだ
迷惑をかけている事は理解している
性別が変わった、求めてなんていない変化
変わってからずっと肉体に酷く違和感をもっている
……俺はこの身体が嫌いだ
「そうか、なら仕方ない」
「すまん」
「謝る事じゃねぇよ。言うかどうかはお前が決める事だし俺が口を挟む事では無い。けど彼女は心配してる。だから事情は言わないやぼかすなりでも連絡は取った方がいい。縁を切りたくないならな」
こちらから連絡を取らなければ詠見からも連絡を取る事はないだろう
そうなれば話す機会は無くなる
探索者だからと言ってもダンジョンで遭遇するのはかなり珍しい
ましてや深い階層へ向かう探索者なら長い期間潜る事もあり予定していた時間通りに地上に戻ってくるとも限らない
「……そうだな」
「話は変わるが彼女は魔法特化? あの見た目で近接戦闘は……いや刀ならワンチャンあるな」
「あ、あぁ、詠見は魔法特化だ。かなり特殊な魔法を使う、あの防具も魔法関連だった筈だ」
魔法特化の探索者は耐久、防御性能よりも魔法の補正性能の高い装備を身に付ける傾向にある
高レベルとなると防御魔法の1つや2つは持っている
「やっぱりか。高レベルって魔法特化多いのか?」
「そうだな、近接特化は案外珍しい。レベル70越えだと俺以外だと1人か? 魔法と近接両方を使う奴は居るがあれは例外だからな」
「例外って?」
「戦闘狂で才能の塊、ダンジョンで戦う為に生まれた存在なんて言われ方もしてる」
「と、とんでもないな……高レベルってやっぱ凄い人が多いのか?」
「凄いかは分からないが変人が多いな」
命懸けの戦いをし続けている中で常識なんて物は一切通じない
必要なのは経験と己の技量、そして何があっても砕けぬ精神力
高レベル探索者は最低でも数年間、己と同等かそれ以上の相手と戦い続けた者達
凡人も並の天才も狂人も善人も悪人も志半ばで死ぬか引退している中で最前線で戦い続ける存在
その領域に常人では至れない
「変人が多いのか。皇さんはそうには見えなかったが」
……俺と詠見は変人だと見えたって事かまぁ否定はしないが
自分自身普通ではないと自覚している
ダンジョン狂と言われる程ダンジョンに潜り続けて現役最年長の皇さんを超えるレベルを持っていた
常識的に考えれば変人ではあるだろう
「あの人は確かに常識人だな。頭のネジが飛んでる訳でもない。ただあの歳になっても潜り続けてるから変人ではあると思うぞ」
「……それもそうか」
高齢になれば身体が老いる
老いた身体で激しい戦闘は厳しい
そのためある程度の年齢になったら引退する人が多い
高齢でもダンジョンに潜り続けるのはリスクが大き過ぎる
「休憩は終わりだ。今日は帰るぞ」
「分かった」
「次から積極的に魔法使っていこう。スキルや派生魔法得られるかもしれないしな。身体強化なら今の戦闘スタイルでも使える」
「だな!」
「魔力残量には気をつけろよ。戦闘中に切れたらやばいからな」
「気をつける!」
ゲートを通り地上を目指す
その道中で襲いかかってきた魔物を俺が倒す
「それで武器は暫く剣にするか?」
「そうする、あそこだとハンマーは厳しそうだし剣に慣れておきたい」
「そうだな。暫くは6階層〜9階層の予定だからな」
「罠に気をつけないとな」
「罠は引っかかったら危ないからな。最も不自然な動きをする事が多いから案外気をつけていれば分かる」
「そうなのか。今回だと……背中向けて逃げるか」
「そうだ、まぁ基本深追いしなければいい」
何事も無く地上に到着して狛は鎧を脱ぎに行く
俺は翼を解除する
「車乗るか」
早足で車に向かう
探索者達がザワついている
……なんかあったのか?
近くの探索者達の会話に聞き耳を立てる
「凶悪犯罪者がダンジョンに入ったんだってさ」
「マジかよ」
「それも大量殺人鬼、別のダンジョンに入った事ある探索者だってさ」
「やばくない?」
「やべぇよ、潜んでるらしい」
「なら暫くはダンジョン無理だな」
「レベルは?」
「20くらいらしいぞ」
「下の階層で潜んでたら怖いな」
「レベル20か俺無理だわ」
「暫く辞めとこう」
「そうだね」
……殺人鬼? まじか
ダンジョンの中に警察は入れない
入ったとしても魔物に襲われてしまう為捜索どころでは無い
だから犯罪者がダンジョンの中に逃げるケースはある
大抵魔物に食われるが元探索者の犯罪者となると話が変わる
それなりのレベルと経験があればダンジョン内でも生き残ることができる
そうなれば対処法はその探索者よりもレベルの高い探索者による捜索及び捕獲、討伐
……レベル20か、急いでないとはいえ出来るだけ早くレベルを上げたいんだがな
今のレベルではその殺人鬼にあったら殺されかねない
どこに潜んでいるか分からない以上ダンジョンに入るのは危険
「まぁ続報を待つか」
車に乗り狛が来るのを待つ
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