第2話「グリーンマン」

灯が消える。

40代手前、日本人という戸籍ではあるが、生まれた時から家族を知らず、生きるために戦いの道を進んだ。


多くの屍を紡ぎあげ、平和を得るために紛争地域の場所にいった。

積み重ねた戦闘技術や殺してきた感情もただ一人の平和を夢見る女にはかなわなかったらしい。


10も下の女に惚れていずれ敵になるとわかっていたのに情に絆された。

今回は負けだ。


哀しそうな顔した彼女の顔を見ながら胸に痛みが宿る。


お互い珍しい傭兵だったんだ。いずれ死の先であうだろう。


次は全うに生きたいもんだ。


そう、そして傭兵緑川修二の人生はここで終わったはずだった。




「血まみれの手を抱えながら善たる心か、存外珍しいな」


白い空間に現れる一人の勝気な紅い髪の美女。スタイルがよく胸元もまた豊かで想像しうる最高の蠱惑的な美女という感じだ。


「なるほど、異世界転生という奴か」


「なかなか柔軟だなあ、その年にしては」


「神様でいいんだよな?あんたよりは若いはずだ」


「神にそこまでの返し、いいな、許す」


「そいつはどうも」


修二は肩を竦める。


「まあ、簡潔に話す方がいいだろうから、簡単にいうぞ」


目の前の女神はにこやかに微笑んだ。



要点をまとめると


・緑川修二は異世界ヴェルナンドに転生させられる

・スキルや能力は現在の肉体に応じてヴェルナンド基準で決められる

・レベルとスキルは取得制、修二は地球時代の能力に準じて取得済

・使命はなくお願いとして砂漠になった世界を緑地化してほしい

・修二は業はあるがそれ以上に善性の魂をもっているので死んだ際に業は消えた

・緑地化するスキルの適正が高く最善に使えるため修二を選んだ

・望みはできうる限り聞く。

・一応創造神らしい


「随分簡単な説明だな」


「長ったらしい説明など不要だろ、それに私の世界は数度滅び、その都度転生者をおくっているが、面倒な奴らばっかりだ、ならば死地をいった男をおくったほうがいい、幾分かそちらの世界よりかは生きやすいだろうからな」


「まあ魔法やスキルなんていう特殊な技能があるならそうだろうなあ」


「さて何を望む?」


「さあ食い扶持を稼げてそれなりに暮らせれば」


「ならばそのように、存外、そんな男が世界を変えるのだろうなあ」


「どうかな」


修二は肩を竦めると


「まあとりあえず年齢とかはいじくらないでいいし、なんとなく適当に加護とかもらえたらそれでありがたいかんじだ、とりあえず緑化しながら世界を旅すればいいんだろ?」


「理解がはやくて助かるよ、若くしなくてもいいのかい?」


「今まで培ってきたものを捨てるにはどうにも落ち着きがなくてね、どうせ寿命もかわるんだろ?恐らく種族も変えるだろうし」


「いいね、面白い、神の意図をお見通しか、私は創造神ヴェルナ、貴方の名前をグリーンマンとして生きてもらおう」


「緑の男ね、それはいい、では次の世を楽しむとするか」



修二・・もといグリーンマンの人生はここからはじまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

緑の聖者は砂礫の大地に実りを与える シンゴペンギン🐧 @ganjisu14

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画